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「ふへー……さっぱりした……」
髪を解いて化粧を落とし、服を着替えて顔も洗って……。
さらには、まだそんな時間じゃ無いだろうに、しっかり風呂の用意までしてくれていたため、そちらも堪能してきた。
魔法で髪を乾かす事が可能な人材も揃っていて、お陰様でさっぱりだ。
ここに滞在するようになってからは、いつもセリアーナに頼んでいたが……流石は公爵家の王都屋敷といったところだろうか?
さて……着替えと風呂とを済ませて、これでようやく一息つく事が出来た。
部屋の中は、先程までいた使用人たちは皆下がっていて、もうセリアーナだけとなっている。
これなら問題無いだろう。
「ちょっと、奥から色々取って来るね」
「ええ。いってらっしゃい」
セリアーナに一言告げると、俺は寝室に向かって歩き出した。
【浮き玉】もだが、他の恩恵品もずっと外したままだった。
戦闘を行うような場所に行っていたわけではないが、普段から人前に出る時であろうと、何かしら身に着けていたのに、今回は全部外していたからな……。
落ち着かないんだよ。
さっさと、いつもの姿に戻ってこよう!
◇
【隠れ家】で諸々を身に着けた俺は、ついでに靴も脱いでいつもの裸足になると、【浮き玉】に乗って応接室へ戻ってきた。
やはり、このスタイルが落ち着くな。
今度騎士団本部に行く時もこれにしようかな?
「ただいまー」
「お帰りなさい……。結局裸足なのね」
ソファーに座ってお茶を飲んでいたセリアーナは、俺の方をジロリと一瞥すると、カップを置いて一つ息を吐いた。
「ぬ」
落ち着く恰好を求めると、結局これに行きついてしまうんだよな。
「まあ、いいわ。今日はご苦労だったわね」
そう言うと、俺の分のお茶を淹れながら向かいの席を示した。
「うん。……ありがと」
そちらに座ると、カップを取って一口。
「ふぅ」
「フッ……。珍しい疲れ方をしているわね」
俺がリアーナで疲労する場合ってのは、大体狩りが原因の肉体的な疲労だ。
だから、風呂に入った後はベッドに転がったりして、体を休める事に専念しているが、今日の主な疲労箇所は頭。
そして、精神だ。
寝転がってもあまり回復はしないだろう。
多少はマシっていうくらいかな?
「そうだねー。他所に出かけることは今までもあったけれど、大抵一ヵ所だけだったからね。今日みたいに、他人の多い所を歩きで移動しながら複数ってのは……疲れたね」
改めて自分で言葉にすると、より一層疲れが増した気がしてきた。
騎士団本部には明日にでも顔を出すつもりだったけれど……明後日にしちゃおうかな?
行くのは俺一人になるだろうし、あんまり頭が働いていない状態で行くのは、止めておいた方がいいよな。
「明日は屋敷にいようかな……」
「あら? どこかに顔を出す用事でもあったの?」
「んー? うん。帰りの馬車でねー」
俺は帰りの馬車の中で、じーさんたちと話した内容をセリアーナに伝えた。
◇
「あまり遅らせるのはよく無いけれど……お前の都合がいい時にでも問題無いでしょう。それに、騎士団本部ならお前の身分でも自由に出入り出来るでしょうし、先触れを出す必要も無いわ」
「そっかー」
今までの俺は公的な施設を訪れる時は、先触れを出して、尚且つ誰かの代理的なポジションでいる事が多かったが、まだ王都だけとはいえ、今日からはもう違うからな。
その辺は、多少の融通が利くんだろう。
そして、自由度が上がるのは、公的機関への出入りだけじゃない。
「王都内の移動も、もちろん勝手に他家に入り込んだりは駄目だけれど、ある程度の場所なら自由に移動しても構わないわ」
街中の移動もそうだ。
今まではリセリア家が後ろ盾についていたが、俺自身の身分は平民だったし、一応これでも遠慮していたんだ。
だが、これからは俺の責任でさらに自由に動けるようになる。
とはいえ、出来るようになったからって用も無いのに、無駄に動き回る必要も無いだろう。
「うん。まぁ……でも、今回はいいかな」
俺の言葉に「そう」と頷くと、フッと笑っている。
そして、しばし黙ってこちらを見ていたが、口を開き話を始めた。
「義理ではあるけれど、これでお前は私の妹ね。私もお前への助力は惜しまないから、今後も力になって頂戴」
なんとも珍しい言葉を言ったかと思うと、右手をこちらに差し出してきた。
これまた珍しい……。
スキンシップ自体は、頭を掴まれたり頬を挟まれたり抓られたり腰に手を回されたりと、何かと多いものの、こういうまともなのは……。
「なに? 抱きしめた方がよかったかしら?」
俺の反応が面白いのか、ニヤリと笑うと手を引っ込めて、両手を広げた。
「……いや。こっちの方がセリア様っぽいかな」
こういう風におどけた真似をするなんて、ご機嫌だな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




