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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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「ふへー……さっぱりした……」


 髪を解いて化粧を落とし、服を着替えて顔も洗って……。

 さらには、まだそんな時間じゃ無いだろうに、しっかり風呂の用意までしてくれていたため、そちらも堪能してきた。


 魔法で髪を乾かす事が可能な人材も揃っていて、お陰様でさっぱりだ。

 ここに滞在するようになってからは、いつもセリアーナに頼んでいたが……流石は公爵家の王都屋敷といったところだろうか?


 さて……着替えと風呂とを済ませて、これでようやく一息つく事が出来た。

 部屋の中は、先程までいた使用人たちは皆下がっていて、もうセリアーナだけとなっている。


 これなら問題無いだろう。


「ちょっと、奥から色々取って来るね」


「ええ。いってらっしゃい」


 セリアーナに一言告げると、俺は寝室に向かって歩き出した。


【浮き玉】もだが、他の恩恵品もずっと外したままだった。

 戦闘を行うような場所に行っていたわけではないが、普段から人前に出る時であろうと、何かしら身に着けていたのに、今回は全部外していたからな……。

 落ち着かないんだよ。


 さっさと、いつもの姿に戻ってこよう!


 ◇


【隠れ家】で諸々を身に着けた俺は、ついでに靴も脱いでいつもの裸足になると、【浮き玉】に乗って応接室へ戻ってきた。

 やはり、このスタイルが落ち着くな。

 今度騎士団本部に行く時もこれにしようかな?


「ただいまー」


「お帰りなさい……。結局裸足なのね」


 ソファーに座ってお茶を飲んでいたセリアーナは、俺の方をジロリと一瞥すると、カップを置いて一つ息を吐いた。


「ぬ」


 落ち着く恰好を求めると、結局これに行きついてしまうんだよな。


「まあ、いいわ。今日はご苦労だったわね」


 そう言うと、俺の分のお茶を淹れながら向かいの席を示した。


「うん。……ありがと」


 そちらに座ると、カップを取って一口。


「ふぅ」


「フッ……。珍しい疲れ方をしているわね」


 俺がリアーナで疲労する場合ってのは、大体狩りが原因の肉体的な疲労だ。

 だから、風呂に入った後はベッドに転がったりして、体を休める事に専念しているが、今日の主な疲労箇所は頭。


 そして、精神だ。

 寝転がってもあまり回復はしないだろう。

 多少はマシっていうくらいかな?


「そうだねー。他所に出かけることは今までもあったけれど、大抵一ヵ所だけだったからね。今日みたいに、他人の多い所を歩きで移動しながら複数ってのは……疲れたね」


 改めて自分で言葉にすると、より一層疲れが増した気がしてきた。

 騎士団本部には明日にでも顔を出すつもりだったけれど……明後日にしちゃおうかな?

 行くのは俺一人になるだろうし、あんまり頭が働いていない状態で行くのは、止めておいた方がいいよな。


「明日は屋敷にいようかな……」


「あら? どこかに顔を出す用事でもあったの?」


「んー? うん。帰りの馬車でねー」


 俺は帰りの馬車の中で、じーさんたちと話した内容をセリアーナに伝えた。


 ◇


「あまり遅らせるのはよく無いけれど……お前の都合がいい時にでも問題無いでしょう。それに、騎士団本部ならお前の身分でも自由に出入り出来るでしょうし、先触れを出す必要も無いわ」


「そっかー」


 今までの俺は公的な施設を訪れる時は、先触れを出して、尚且つ誰かの代理的なポジションでいる事が多かったが、まだ王都だけとはいえ、今日からはもう違うからな。

 その辺は、多少の融通が利くんだろう。


 そして、自由度が上がるのは、公的機関への出入りだけじゃない。


「王都内の移動も、もちろん勝手に他家に入り込んだりは駄目だけれど、ある程度の場所なら自由に移動しても構わないわ」


 街中の移動もそうだ。

 今まではリセリア家が後ろ盾についていたが、俺自身の身分は平民だったし、一応これでも遠慮していたんだ。

 だが、これからは俺の責任でさらに自由に動けるようになる。

 とはいえ、出来るようになったからって用も無いのに、無駄に動き回る必要も無いだろう。


「うん。まぁ……でも、今回はいいかな」


 俺の言葉に「そう」と頷くと、フッと笑っている。

 そして、しばし黙ってこちらを見ていたが、口を開き話を始めた。


「義理ではあるけれど、これでお前は私の妹ね。私もお前への助力は惜しまないから、今後も力になって頂戴」


 なんとも珍しい言葉を言ったかと思うと、右手をこちらに差し出してきた。

 これまた珍しい……。


 スキンシップ自体は、頭を掴まれたり頬を挟まれたり抓られたり腰に手を回されたりと、何かと多いものの、こういうまともなのは……。


「なに? 抱きしめた方がよかったかしら?」


 俺の反応が面白いのか、ニヤリと笑うと手を引っ込めて、両手を広げた。


「……いや。こっちの方がセリア様っぽいかな」


 こういう風におどけた真似をするなんて、ご機嫌だな。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 元から年の離れた姉と妹みたいな雰囲気がありましたけれど、これで名実共に姉妹ですね!る
[一言] >「義理ではあるけれど、これでお前は私の妹ね。私もお前への助力は惜しまないから、今後も力になって頂戴」  これでセラが調子に乗って「お姉様と呼ぼうか?」なんて言ってたら、どうなったかねぇ?…
[良い点] 更新乙い [一言] >>結局裸足 そういえば、裸足だもんなあ 足に関しては一家言あるとか何とかな中国辺りだと空飛ぶ破廉恥扱い不可避……? 何だかんだ仲良し主従でヨシ!!
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