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俺たちが入った部屋は、リアーナの屋敷でリーゼルが普段から仕事をしている、あの広い執務室と同じくらいのサイズだった。
ただ、リーゼルの執務室には彼と、共に仕事をする文官たちの机がズラッと並んでいるが、この部屋の場合は違った。
部屋の最奥に何やら豪奢な机が1台置かれていて、さらにその両側に、真ん中だけスペースを作るように長机が置かれている。
そして、各席には偉そうなおっさんと、少数だがおばさんもいて、彼等は既に着席していた。
彼等は、ごつさや厳めしさや目つきの鋭さから、文官では無くて騎士団関係者だと一目でわかる。
おばさんがたは、親衛隊の隊員かな?
全員の手元には書類が置かれているし、面談に参加する人たちだろう。
その彼等は、一様に部屋に入った俺たち……特に俺をジッと見ている。
頭を動かさずに目だけで、セリアーナたちの様子を探るが、特に何か構えているわけでも無いし、俺だけ見られてるのかな?
アレか?
既にもう面接っぽいものが始まっているとか……?
だが、ドキドキしている俺をよそに、じーさんは気さくにその面々に話しかけている。
総長然り、やっぱりじーさんは騎士団関係者には顔がきくんだろうな。
「セラ、来なさい」
ポケーっとその様子を眺めていると、じーさんは俺の名を呼びながら手招きをしていた。
「ほいほい……」
セリアーナたちは入り口の前で待機しているし、行くのは俺とじーさんだけらしい。
そして、そのまま長机の間を進んで行き、奥の席の前で足を止めた。
両サイドのおっさんたちもだが、間近で見ると迫力が凄いんだよな……。
なんで腕を組んでこちらを見ているだけで、ここまでの迫力を出せるんだろう?
「セラ、こちらは騎士団の総長補佐のロベル殿だ。総長は覚えているな?」
「ユーゼフさんでしょう? そりゃ覚えてるよ」
じーさんのお友達で、騎士団トップのお爺さんだが、じーさんはその彼を指すとそう言った。
それに合わせてその彼は小さく頷いているが、やはり一言も発さずに、ただじっと見ているだけ……。
「それと、そちらは親衛隊隊長のエヴァ殿の補佐をされている、メリア殿だ」
補佐のおっさんの迫力に圧倒されている俺を無視して、さらにそのすぐ手前に座るおばさんを紹介した。
「初めまして、セラさん。エヴァ様から貴女の事は伺っていますよ」
「あ、初めまして……」
エヴァさんは……確か親衛隊の隊長さんだったかな?
一度王妃様と会う際に、紹介された気がする。
しかし、騎士団の総長補佐だったり親衛隊の隊長補佐だったり、補佐ってのがどんな立ち位置なのかはわからないが、中々の大物が揃ってらっしゃる。
紹介してくれたのはこの二人だけだが、この分だと他の面々も結構な役職だったり身分の人たちっぽいよな。
「では、始めようか。アリオス殿、よろしいか?」
「うむ。これを」
じーさんは、懐から何かの書類を取り出すと、ロベルさんへと渡した。
ロベルさんは、じーさんから書類を受け取ると「セラよ」と、俺の名を呼んで、今までの俺の簡単な功績を述べ始めた。
◇
リアーナ領都から王都への最速移動記録。
リアーナでの領都防衛や複数の魔王種討伐への参加。
リアーナのダンジョンでの初期調査……その他色々。
俺がリアーナで暮らすようになってからの経歴が、本当に簡単にだが、机に置かれていた書類に記されていた様だ。
ついでに、俺たちが部屋に到着する前に、既にその情報を共有していたらしい。
大分端折ってはいるし、当たり障りのない内容になってはいるが、それでも結構な大仕事を成し遂げていると思う。
だが、彼等は特にざわついたりはしていない。
淡々と進行していた。
そして……。
「以上の功績を以って、セラ・ミュラー・ゼルキスを、親衛隊に推挙する。よろしいか?」
「異議なし」
一通り読み終えたところで、ロベルさんは俺を親衛隊に入れるかどうかの決を採った。
本来中央騎士団は、見習い期間中の訓練で適性を調べてから、どこに所属させるかの振り分けを行うらしい。
親衛隊ってのは、正式には中央騎士団の一部隊の事であって、あくまで区別をつけるためにそう呼んでいるだけだ。
だが、女性王族の護衛って特殊な役割から、こういった特殊な採用の方法をしているんだろう。
とはいえ、今回のは裏口というか出来レースみたいなもんだし、誰も拒否することなく満場一致で、無事俺の親衛隊への入隊が決定した。
うむ。
何の感慨も無いな!
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




