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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 王妃様から手紙をもらった翌日の昼。


 俺とセリアーナ、そしてオリアナさんは準備を終えて、談話室で城からの迎えを待っている。


 本来ならセリアーナと2人で行くはずだったんだが、昨日の話し合いの結果、オリアナさんも同行することになったんだよな。

 俺とセリアーナのフォロー役だ。


 別に王妃様も周囲の侍女も、皆気の良い人で、俺たちを叩いたり揚げ足とったりとかは、まずしないんだが……それでも、セリアーナからしたら失敗できない相手だしな。


 セリアーナが王妃様と会ったのって何回あったかな。

 確か結婚式の前に会った時は、エリーシャも一緒だったんだっけ?

 こういう時、意外とセリアーナは慎重になるし、念を入れて、セリアーナの方から同行を願って、オリアナさんが了承したことで、こうなった訳だ。


 今日は俺もセリアーナも、身だしなみは自分ではやらずに、屋敷の使用人の手を借りている。

 使用人たちも、今日は王妃様に会いに行くってことを知っているからか、顔がマジだった。


 この屋敷の使用人たち全員と顔を合わせたわけじゃ無いし、まだ俺が来てから数日しか経っていないが、それでも真面目な人間ばかりだってのは分かっている。

 普段から、仕事は手を抜いたりすること無く真面目に行っているんだろう。

 ただ、その彼女たちが、一目でわかるくらいマジだった。


 距離からしたら、ほんの数十メートルで城壁が見えるご近所さんなのに、やっぱり王家ってのは違うんだな……。

 俺も王妃様の施療のたびに緊張はしていたが、アレはどっちかっていうと、身分よりも周囲を固める武装したねーちゃんたちが原因だったしな。

 マイルズだってそうだったしなー……。


 そんな事を考えながら足をプラプラさせていると、向かいのソファーに座っていたオリアナさんと目が合った。

 彼女の恰好はいつも通りだな。

 何が起きてもいい様に、いつも気を抜いていない彼女らしい。


 セリアーナも普段ならそうなんだが……ちょっと王都までの移動の間に気が緩んでいたからな。

 やはりリハビリ期間は必要だったか。


「セラ。貴女は随分と落ち着いていますね」


 目が合った後何も言ってこなかったが、どうやらオリアナさんは俺の様子を見ていたらしい。

 セリアーナですら多少の緊張を隠せないのに、普段通りの俺に少し感心したような口調で語りかけてきた。


「ん? うん。流石に慣れたからね」


 俺はもう慣れたし、王妃様側も俺に慣れているからな。

 施療中に殺気立つような事も無いし、気楽に臨めるようになっている。

 城に入るまでの手続きはともかく、いざ王妃様の前まで着けば問題無しだ!


「セリアーナは……。まあ、いいでしょう」


 俺の次は、セリアーナに視線を移した。

 セリアーナは、背筋を伸ばして目を瞑りながら腕を組んでいる。

 外の様子でも探っているんだろうが、普段のセリアーナなら、目を瞑らなくてもこの屋敷の周辺くらいなら探る事は余裕だろう。


 ……緊張隠しだな。


 オリアナさんもその考えに至ったか、小さく頷いた。


「……何かあるのなら、言ってくださっても構いませんよ?」


「いいえ。貴女ならいざ妃殿下の前に出れば、いつも通りに振舞えるでしょう。それよりも迎えはどうですか? そろそろのはずですが……」


「ええ。今城門の前に兵が集まっています。もう数分で到着するはずです」


「結構。セラ、準備は出来ていますね」


「大丈夫」


 そう返事をすると、足元に転がしていた【浮き玉】に足を乗せて、浮き上がった。


 そして待つ事数分。

 セリアーナがふと立ち上がったと思うと、すぐに廊下から部屋のドアをノックする音が響いた。


「失礼します。城からの迎えが参りました」


 ◇


「……ぉぉぅ」


 屋敷の玄関から外に出ると、目の前には豪華な馬車がドンと止まっていた。


 それだけじゃ無い。

 その馬車の周りには、下馬した騎士が兵士と合わせて十名ほど警備をしている。

 さらに門の外にも、騎士が数名。

 移動するのはたかが数十メートルなのに、随分と厳重な……。


 セリアーナがリーゼルとの婚約を発表したばかりの頃は、学院に通う際には、道中でも学院でも親衛隊による護衛が付いていたが、あの時以上だ。

 やっぱり、王子の婚約者とはいえ、いち伯爵家令嬢と現役の公爵夫人とでは扱いが違うのかもしれない。

 今回は、王妃様直々のお誘いだからってのもあるかもしれないけど……何とも大袈裟な。


 屋敷を振り返ってみると、2階の窓に人影がいくつも見えた。

 恐らく使用人たちだろう。

 野次馬だな。


 そして、それはウチの屋敷だけじゃない。


 敷地が広くて、他の屋敷まで距離があるからはっきりとは見えないが、明らかに窓からこちらを覗いているのがわかる。

 この辺は位の高い家の屋敷ばかりなんだが……それでもこの事態は特別なのかもしれないな。


 なるほど。

 王家の呼び出しってのはこんな風になるのか。

 そりゃ、マイルズだって慌てるよな。


「セラ、行くわよ」


「お? はーい」


 玄関から出てすぐのところで浮いていたが、馬車の前に立つセリアーナに早く来るように呼ばれた。

 俺から先に乗らないといけないからな……。


 急げ急げ。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] さあイクゾー!!(数十メートル)
[一言] 姫はなにげにソロでエライさんと顔合わせる機会が多い子なので嫌でも慣れていくのは必然です度胸が鍛えられてます
[一言] 王妃と会うのに慣れた発言( ˘ω˘ ) 色んな意味で鋼の精神を持ってる
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