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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 リーゼルたちがやって来て、それぞれお喋りをした後も、俺はしばらく天井や壁を這いまわって中を調べていたが、10分ほどしたところで、セリアーナからいい加減にするようにと言われた。


 まぁ……建設中の建物に、俺だけならまだしも、領主夫妻が揃っているってのは、周りもちょっと落ち着かないだろうしな。

 気になるところは一しきり見て、そろそろ頃合いではあるし、セリアーナに合流して、ホールを後にした。


 そして、向かった先はリーゼルの部屋だ。

 男性棟だが、今は屋敷にいる客人は俺たちだけだし、細かいことは気にしないんだろう。


 ってことで、昨日ぶりのリーゼルの部屋だ。

 昨日も座った席に、今日はオーギュストも一緒に4人で着いていて、お茶が運ばれて来るのを、適当な話をしながら待つことになった。


 こういった時は、使用人が入って来るのを考慮して、誰に聞かれても問題の無い、当たり障りない話をするんだが、これが意外と難しかったりする。

 俺という問題児を加えながら、万が一聞かれても問題無いような内容で、全員がそこそこついて行けるような話題を提供しないといけないもんな。


 思えば、この4人ってのも珍しい。

 いつもはエレナやテレサ、アレクが一緒で、彼等が話をリードする事が多かったから、このメンツでどうしたらいいのかと思わなくもないが……。

 まぁ……リーゼルがいるから、彼が上手い事話を引っ張るだろう。


 気楽なもんだ……と、足をプラプラさせながら、適当に話に相槌を打ったりしていた。


 ◇


 王都の貴族街の外の事についてなど、しばしの間雑談を続けていたが、お茶が運ばれてきたことで、場を仕切り直す事となった。

 ただ話をするだけなら、1階の談話室でもいいだろうに、わざわざリーゼルの部屋に集まった訳だし、何か重要な話でもあるのかな?


 皆に倣って、首を傾げつつも俺はカップを手にしていると、リーゼルが口を開いた。


「セラ君は、ホールの内部を随分念入りに見ていたが、何か面白い物でもあったかい?」


「あのホール全体が、面白いと言えば面白かったかな……? ゼルキスともリアーナとも違う考え方で建てられてたしね?」


「ああ……。そうだね。僕は王都の生まれだし、むしろこれこそが慣れた街並みだけれど、君からしたら妙に見えてしまうか……」


 俺の言葉に、リーゼルは苦笑を浮かべながら返してきた。

 そして、同じような表情をしていたオーギュストが、リーゼルの話を補足し始めた。


「セラ殿が暮らしている、今のリアーナの屋敷はもちろんだが、ゼルキス領の領主屋敷も、元々は魔境の魔物に備えた砦の役割があるからな。このメサリア王国内でも、特殊な屋敷なんだ。同じ領主屋敷でも、他領の屋敷はそうではないぞ」


「そうなの?」


 セリアーナの方を見ると、肩を竦めている。


 この仕草だけで、言葉で答えないところを見ると、セリアーナも何となく知ってはいるが、断言出来るほど自信は無いって感じか。

 知識はあっても、俺の様に領地の外を自由に動き回れるわけじゃ無いからな。

 直接見た事が無いから、答えかねる……ってところかな?


「そうなんだよ。そして、王都の守りはその最前線とも肩を並べるほどの、この国でも屈指のものだ。君からしたら普段の生活と違和感がないかもしれないけれど、他領から訪れた者は、大抵その守りの厳重さに驚くものなんだよ」


「へー……」


 気の抜けたような声で答えるが、王都は相当守りに自信があるってことは分かった。


 ついでに少し古いことではあるが、アカメを捕まえた時の事も思い出した。

 あの時の一連の流れは、魔物を街に運び入れるために、街壁の下に穴を掘って外と出入り口を設けるっていう、荒業だった。


 結局大量の死刑犯を生み出す事で解決したが、俺は当時、大事になったなぁ……と思いつつも、そこまで詳しいことは考えていなかったんだ。

 だが、今日の話などで、今更ながら、ようやくそこまで大事になった理由が分かった気がする。


 王都とその外に繋がる、魔物を通せるようなサイズの、検問が無いフリーパスの通路が貴族街の近くに存在する。

 それは間違いなく大問題だが、それだけじゃ無い。

 何が問題って……貴族街の各屋敷の防衛力が低いってことだよな。


 頑強な街壁と厳重な検問。

 そして、昼夜問わず多数配備されている、巡回兵。

 それらが、纏めて無意味なものになりかねないんだ。


 貴族街の各屋敷の守りが手薄なのは、王都の守りを信頼しているからなのに、もしそれで死者とまではいかなくても、何かしらの被害が出ていたら、王家のメンツは一気に傷ついてしまうだろう。


 数年後に戦争も控えていたし、そりゃー……あれだけ厳しく行くよな。

 そして、パフォーマンスめいたことをしてでも、そのマイナスの印象を払拭したかったってのもわかる。


 コクコク頷きながら隣に座るセリアーナを見ると、目が合った。

 そして、彼女は満足そうな笑みを浮かべた。


 考えが読まれているような気がして落ち着かないが……どうやら正解っぽいね。


セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] アイコンタクトだけで伝わる関係(大体は一方的) [気になる点] そういえば後書き部分のセラさんとセリア様の間には改行があるけど、セリア様とエレナさんとアレクの間には改行が無いんですね。
[良い点] 更新乙い [一言] 貴族の誰かや関係者がテロろうと思ったら楽々だなあって
[一言] ひとり要塞姫(籠城特化)、王都防衛について考えてみた
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