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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 準備を終えた俺たちは、宿を出るとすぐにグラードの街を発つことにした。

 護衛は、俺たちが船から降りた時に合流した兵たちはそのままに、さらに数名増員されている。

 王都に近づくわけだし、治安はそれにつれてよくなるはずだが……ウチの兵じゃ無いし、セリアーナの箔付けのために、中央の兵を貸し出してくれたのかな?


 ともあれ、より厚みを増した編成で、王都への道をガタゴト突っ走っているわけだ。

 それにしても、結構な速度だよな……?


 王都には何度か来たことがあるが、あまり外を馬車で移動した経験は無いから断言は出来ないが、リアーナと違って、王都圏の街道はどこもしっかり整備されていて、馬車で走ってもそこまで揺れるような事はないはずなんだが……。


 俺だけじゃなくて、セリアーナも【小玉】に乗って浮いているから、影響は無いんだが、今は明らかに馬車全体が揺れるどころか、時折跳ねたりもしている。

 窓の外の景色を見ると、馬車は通常の倍以上の速度は出ているはずだ。


「ねー! なんか馬車速くない? 急いでるの?」


 ガタゴトと揺れる音に負けないように、セリアーナに向かって、大きな声を上げた。

 今日中に王都に到着すればいいんだし、こんなに速度を出す必要は無いと思うんだよな。

 何かあるのかな?


「お?」


 大声を出すのが嫌なのか、セリアーナは俺の腕を掴むと、自分の側まで引っ張った。


「元々兵は、私たちの様な護衛対象に外を出歩いて欲しくないのよ。何か起きたら大変でしょう?」


「まぁ、そうだね?」


 街中ですら、外出時には護衛が付くような身分なんだ。

 いくら、街道周囲の魔物や賊の討伐を行って、その上でさらに護衛をつけて安全は確保しているとはいえ、そもそも外に出ないでくれって考えるのは、俺にも理解出来る。


 その言葉に頷くと、さらに続けた。


「それでも、今の私たちの様に出かける必要がある時もあるし、その場合に備えての訓練は行っているわ。お前も見た事が無いかしら? 馬車で移動して、どれ程の速度を出せばどれだけ揺れるかを試したり……。リアーナでもしていたはずよ」


「そういえば、領地の騎士団の皆と移動する時に、オレも何回か馬車に乗ったことがあるね」


 俺が早く移動するだけなら、【浮き玉】で飛んで行けば早いし、他の皆と足並みを合わせるだけにしても、普通に【浮き玉】を使えば便利なのに、馬車に乗せられることは何度かあって、俺も護衛の訓練の一環とは聞いていたから、ちゃんと協力していた。


「場所によって街道の状態が違うから、色々な状況に対応出来るようにはしているけれど、共通しているのは、中にいる人間に負担をかけないようにする事よ。ただ……」


 セリアーナはそこで言葉を区切ると、俺と自分を指した。

 うむ。

 2人とも浮いているな。


「今回は私たちの事を気にしなくていいと言っているから、早く王都に着くことを最優先にして、遠慮なく速度を出しているのでしょうね。昼間だし、街道を行きかう者も多いから事故には気を付けて欲しいけれど、まあ……先行して騎士が走っているから、それも大丈夫かしら?」


「なるほどー……」


 安全面だったり、中への配慮だったり、後は街道の状態もかな?

 速度を出したい理由があって、速度を出せる状況でもあるから、出しちゃっているのか。


「この分なら、結構早く到着するのかな?」


「時間は通常より短くなるでしょうけれど、その分私たちが出発した時間が遅かったし、そう大きく変わる事は無いわ。予定通りよ」


「そっかー」


 俺はともかく、セリアーナは今日は誰とも面会しないことを前提に準備をしていたが、あまり早く着きすぎた場合とかどうなるんだろう?

 そう思ったが、俺が考えるような事はセリアーナが既に考えているだろう。

 心配するような事じゃないか。


「そうよ。まあ、本を読んだりするには少しうるさすぎるけれど……彼等には彼らの事情があるし、我慢しましょう」


 セリアーナはそう言うと、馬車の中を見ながら苦笑を浮かべていた。


 ◇


 俺たち一行は、途中の村で一度休憩を取った以外は、ずっと同じ様なペースで走り続けていた。


 周りにいるのがアレクたちならともかく、そうじゃないから【隠れ家】を使うわけにもいかないし、セリアーナと2人で適当に馬車の中を漂いながら、ぼんやりしていたが、馬車が誰かとすれ違う頻度が徐々に上がってきていた。


 さらに、馬車は決して窓が大きいわけじゃ無いし、外の景色だけだと今どこを走っているのかわからなかったが、日の傾き具合から、どれくらい時間が経っているのかは推測出来る。


「そろそろかな?」


 目を閉じながら【小玉】に乗っていたセリアーナは、俺の言葉に目を開くと、こちらを見た。


「そうね。外を歩く者たちの様子も変わってきているし、後数十分もしないで王都に着くはずよ。髪を直してあげるから来なさい」


「うん、お願い」


 ひっくり返ったりしていたから、その間に髪が乱れてしまっていたらしい。

 馬車から降りる前に、髪を整えておいた方がいいだろう。


 俺は【浮き玉】を抱え込むと、セリアーナの膝へと移動した。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] >>髪 ほんとにすぐ解けるのだ
[一言] 浮き玉がなければ尻が死んでたな( ˘ω˘ )
[一言] 本作と全く関係がない、力士と床山さんが脳裏に浮かんだんですが
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