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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 船長の元に戻った俺は、【ダンレムの糸】のクールタイムが明けるのを待つと、再び先程と同じ様に魔物に一発ぶっ放した。

 そして、それをもう一度繰り返して、船上での戦いは被害ゼロでの勝利となった。


 結局俺の一撃だけじゃ、魔物を倒す事は出来なかったし、同乗していた兵たちも止めを刺す事は出来なかった。

 だが、瀕死に追い込む事は出来たし、死ぬのは時間の問題だ。

 力尽きて沖に流されるか崖に打ち付けられるか……どうなるかは潮次第だが、処理すること無くそのまま海に捨てておくことにした。


 地上の魔物や獣の場合は、死体を放置するとアンデッド化の恐れがあって、ちゃんと処理をしなければいけないが、海の場合はそうじゃないらしい。

 ある程度の期間、同じ場所にとどまり続ける必要があるが、海だと流されちゃうしな。

 陸地近くの岩場なんかに打ち上げられることもあるが、基本的に海の魔物がアンデッド化する事はまず無いらしい。


 回収も大変だし、そもそも狩りのために戦っているわけじゃ無いし、よほど余裕がない限りは倒した魔物は、その場に捨てていくそうだ。

 俺たちだけじゃなくて、船団の外周を担当している連中もそうしていたし、海では一般的なんだろうな。

 だからこそ、海の魔物の素材は貴重だったりするそうだ。


 そんな事を、狩りを終えて船長室に集まった際に教えてもらった。

 地上での狩りに慣れている俺にとっては、中々に驚きの情報だったな。


 しばしの間そのまま話を続けていたが、他の船から準備が整ったと報告が届き出発となった。


 船団全体が足を止めてしまっていたし、戦闘が長引いていたら、このまま夜は停泊したまま過ごして、朝に出発するつもりだったらしい。

 暗い中での作業は危ないしな。

 そうなると、到着予定も少し延びてしまうが、その心配は杞憂に終わったし……よかったよかった。


 ってことで、船長室での話も終わり、俺は部屋へと戻ることにした。


「ただいまー」


「お帰りなさい。船が動き始めたけれど、もう終わったのかしら?」


「うん。片付いたよ」


 部屋に戻ると、セリアーナは【小玉】に乗って傾きながら、相変わらず窓の外を眺めている。

 こちらを振り向かずにそう言ってきた。


「何か見える? ん? 目閉じてんの?」


 彼女の横まで行って顔を見てみると、目を閉じていた。

 どうやら外を眺めていたのではなくて、加護を使って外の様子を窺っていたようだ。


 目を閉じた状態で加護を使っているのは、たまに見るな。

 広範囲を調べるために集中しているんだろう。


「外を見ていたのよ。まあ、いいわ。お前は奥で汚れを落としてきなさい」


「ぬ」


 何となく服の袖を嗅いでみるが、そこはかとなく海っぽい臭いがする気がした。

【風の衣】を発動していたとはいえ、1時間以上も潮風を浴び続けていたからな。

 今着ているのは、リアーナでの何時もの服装よりもう少しお上品な服だし、繊細な生地を使っている。

 早めに洗っておいた方がいいかな?


「そうだね……それじゃあ、風呂入って来るよ。……ん?」


「貸しなさい」


 セリアーナは、俺の顔に手を当てたかと思うと、左耳に着けていた【妖精の瞳】を取り外して、自分の耳に着けた。

 そして、発動する。


【妖精の瞳】は彼女の加護と併用出来るが……何か外に気になる事でもあるのかな?

 この場で俺に聞かないって事は、大したことじゃないんだろうけれど……。


 まぁ、気にはなるが、さっさと風呂に入るか。


 窓から離れて部屋の奥に行くと、【隠れ家】を発動した。


 ◇


「そう……予定は変わらないのね」


「うんうん。結局1時間くらいしか止まらなかったしね。もう少し長引いてたら、また違ったらしいけど……」


「ああ……そうよね。船だと馬車の様にすぐに動けるわけじゃ無いものね」


「そうそう。アンデッドにもなりにくいみたいだしね」


 風呂から出た俺は、【隠れ家】から出ると、セリアーナに髪を乾かして貰いながら、船長たちと話していた内容をセリアーナに伝えることにした。


 セリアーナが引っ掛かっていたのは、先程の場所にまだまだ魔物が存在したことだった。

 彼女の加護だけだと、魔物がいる事は分かってもどんな状態かって事までは分からないからな。

 だから、【妖精の瞳】を使ったんだろう。

 で、使った事で、その魔物たちは死にかけって事が分かった。


 彼女もずっと陸の人だからな。

 海の魔物の扱いがよくわからなかったらしい。

 そこら辺の事を話すと、少し驚いていた。


 まぁ……ゼルキスもリアーナも、直接海とは縁のない土地だもんな。


「まだ息のある魔物を放置するのはいい気はしないけれど……、環境が変わればまた対応の仕方も変わるものね」


 納得出来たのか、どこか声がスッキリしている。

 そして、髪を乾かし終えたのか、俺の頭を軽くはたくと、再び窓際のソファーへと移動していった。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 又聞きの小ネタだったとはいえ奥様を軽く驚かせる話を提供できたのは珍しい
[一言] 鱗とか考えると地上の魔物より素材の使い勝手は良さそうだけど捨てちゃうのか、モッタイナイ。
[良い点] 更新乙い [一言] 外れ無し!!誤射無し!!ヨシ!!
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