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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 ぶっ放した矢は狙い通りの軌道で海中に突き刺さり、同時に巻き上がる大量の海水。

 着弾した場所を中心に、霧が立ち込めたようになっている。

 まるで前世のテレビや映画での海戦シーンの様だ。


「おおっ!? やったのか!?」


【ダンレムの糸】の威力を目の当たりにして、側に立っている船長は興奮して、大きな声を上げている。

 甲板に出ていた船員や兵たちも似たような感じだ。

 やっぱ発射時のエフェクトも含めて、派手だもんなぁ……。

 初見さんにはインパクトが大きいだろう。


 さて、それよりもだ……。


「どうかなー……」


 多少横にぶれはしたものの、狙い通りに撃つ事は出来たし手ごたえは感じている。

 ただ、俺からしたら未知の魔物だし、そもそも水中に向かって撃ったのも初めてなんだよな。

 威力はいつも通りだが、魔物相手にどれだけのダメージを与えられたのかはわからない。


 ちょっと調べてみるかな。


「……生きてるね」


 波や水しぶきで見えにくいが、目に力を入れて着弾先を睨んでいると、微かに赤い光が見えた。

【妖精の瞳】の効果で、魔力は赤い光で見えるが……それだな。


 直撃はしたはずだけれど……生きてたかー。


「今のでか!?」


 と、驚いたような声を出す船長。


 まぁ、俺も驚いているよ。

 今まで、ダンジョンを含む地上の魔物で、直撃を受けて死ななかったのって、ボス格を除いたらオオザルくらいだったからな。

 少なくとも、あの魔物はそこまでの強さは無かったはずだ。

 それでも生き残るか……。


「うん。どれくらいダメージがあったかはわからないけど……。あっ、でも死にかけかも」


 ぬぅ……と唸りながら睨み続けていたのだが、体力を始めとしたフィジカル面を表す緑の光は、大分薄く小さくなっていた。

 やはり、相応のダメージはあったんだろう。


「ちょっと見てくるから。その間、他の魔物に気を付けといて」


 アレの対処をしている間に、他にも何体か入って来ていた。

 強さこそ大差ないが、数が増えると面倒さはさらに増すだろう。


「あっ……ああ。気を付けてくれよ」


「ほいほい」


 それだけ言うと、俺は船から飛び立った。

 少々言葉が足りない気もするが、次に撃てるのは10分後。

 それまでに、状況を把握しておかないといけないしな。


 ◇


 船から飛び立った俺は、赤い光を目当てに近付くと、海面近くで、波にあおられて沈んだり浮き上がったりを繰り返している、デッカい物体が目に入った。

 着弾した場所から大分離れてしまっているあたり、波で流されてしまったんだろうか。

 結構ダメージがあったのかな?


「……ぉぉぅ」


 さらに近付いてソレを見てみた。


 やはり、形は魚というよりもトカゲとかワニに近いかもしれない。

 海だが水中だし、ワニでいいかな?


 そのワニだが、中々にデカい体をしている。

 尻尾まで入れると10メートルは超えているだろう。

 太さも胴体らしき部位は2メートル近くあるし、水中戦は挑みたくないスタイルだな……。


 そのワニだが、矢が着弾したのは胴体の上部だったらしい。

 前足が1本と首付近まで大きく抉れていて、すぐ波で流れてしまうが、血もドバドバと出ている。

 潜ろうとしているのかなんなのかはわからないが、残った手足や尻尾を動かしているが、随分と鈍い。

 なんとも痛々しい姿だし、出来れば止めを刺してやりたいが……近付くのは危ないよな。


「放置でいいかな」


 魔物と言えど、流石にここから復活するような事は無いだろう。

 俺が止めを刺すのは難しそうだが、放置していても死ぬだろうし、船の兵たちに任せてもいい。

 他の魔物も強さは大差なかったし、この分なら十分仕留められるな。


「よし……。それじゃー、船に戻って……。んん?」


 海中の魔物にも【ダンレムの糸】が通用する事は分かったし、残りの魔物も俺がやるって事を早く伝えるために、船に戻ろうとしたのだが、振り返った際に船室の窓が目に入り、そこに【小玉】に乗ったセリアーナの姿が見えた。


 ただ立っているだけじゃなくて、こちらに向かって何やら手を動かしている。

 距離があるからはっきりとは分からないが、手招きをしているのかな?


 行ってみるか。


 そう決めて、船の方へ飛んで行くと、船の反対側で魔法が海水に着弾する音が聞こえる。

 魔物は今は向こう側か……。

 そろそろ10分経つし、またさっきの要領で仕留めないとな。


 と、そんな事を考えている間に、窓の前までやって来た。

 それと同時に、セリアーナが窓を開けている。


「まだ生きてはいるけれど……1匹は倒したようね。他のもやれそうなの?」


「うん。海中の魔物にも矢が効いたからね。内側に入り込んだのは、コレで全部倒せそうだよ」


 船室にいながらも、外の様子を加護で見ていたらしく、今の状況は把握できているようだ。

 俺は問題無く倒せそうだと伝えた。


「結構。新たに入ってきたのは2匹よ。他にこちら側に入ってきている魔物はいないから、さっさと片付けてしまいなさい」


「【ダンレムの糸】は連発出来ないけどね……。まぁ、倒してくるよ。もうちょい待っててね」


 そう伝えると、【祈り】を再び発動して甲板に向かった。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] フネの上からぺちぺち矢を撃っているところに、ダンレムの糸による――まるで艦砲射撃! えきさいてぃんっ!
[一言] >直撃はしたはずだけれど……生きてたかー。  うへー。  水中を覗きこもうとする場合、光の関係で対象の本当の位置とズレて見えるはずだけど、その差を物ともせず当てられたかー。  これは漁師…
[一言] 挨拶まわりの時と違って今は装備フル展開だから皆からビビられそう
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