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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 俺たちが乗る船は、甲板の上に客室にあたる部分がせり出ている、前世のフェリーの様な形状になっている。

 その客室部分の屋根に乗って船長が指揮を執っていた。


「船長」


 俺も屋根の上に上ると、彼に向かって呼びかけた。

 我ながら目立つ姿をしていると思うんだが、何に必死だったのか、船長は俺に気付いておらず、いきなり姿を現したように見えたらしい。

 一瞬ギョっとしたような表情を見せたが、すぐに引き締めた。


「セラ殿か。部屋から出て来て良いのか? それに奥様はどうした?」


 船長の声はデカいが、あまり切羽詰まっているような気配はない。

 相変わらず、甲板では海上の何かの捜索をしているのか、アレコレと騒いでいるが……そこまで大事じゃないのかな?


「うん。何かあればすぐに合流するって言ってるよ。恩恵品も渡しているし、大丈夫だよ。それよりも、魔物が内側に入り込んでいるってのはオレも聞いたけど、向こうは何をしているの?」


 切羽詰まってはいないようだが、海上で何かが起きているのは間違いないんだ。

 とりあえず、それを聞かないとな。


「内側に魔物が一匹入ってきた……。それだけだ」


「それだけなの?」


 大暴れして船底に穴をあけようとしたりとか、ひっくり返そうとしたりとか……人を甲板に集めて対処させている割には、どこか必死さが足りない気がしてはいたんだ。

 それでも、もうちょっと派手な事を考えたんだが……随分大人しい気がするな。


「これが地上なら大したことじゃないんだがな……」


 そう力無く呟くと、再び甲板の船員たちに指示を出し始めた。

 詳しく聞くのは、落ち着いてからにするかな?


 ◇


 さて、指示を出し終えたところで、改めて船長に話を聞いたのだが、ようやく現状が把握出来た。


 この船団は、護衛対象となる真ん中の貴族が乗る3隻と、その外周を固める複数の民間船で構成されていて、その外周の船が戦闘を引き受けている。


 前回戦った群れもそうだが、この辺の魔物は海面近くの浅い場所に生息して、深い場所に潜ったりしないそうだ。

 戦闘時もそうで、だから甲板からでも攻撃が通用するそうなんだが、今回は外周を突破されてしまった。

 特別強いわけでもこちら側が油断したわけでも無いが……まぁ、運が悪かったんだろう。


 んで、その内側に入り込んだ魔物を倒す必要があったんだが、こちらに近づきすぎないように距離を取っていて、この船の戦力では、距離を取った水中の魔物を倒す攻撃が出来ず、どうしても倒す事が出来なかったそうだ。

 近付けば倒す事は可能だったそうだが、この船自体がそもそも護衛対象だし、積極的に動くわけにはいかないもんな。


 このままこちらで倒せなかった場合は、外周での戦いが済んだ後に、そこから小舟を出して討伐するっていう、ちょっと危険かつ手間のかかる方法を執るしかなかったようだ。

 数も少ないし強さもそれほどじゃない上に、積極的に船を襲ってくる様な魔物でもないが、かといって放置も出来ないからだ。


 ってことで!


「セラ殿! 大丈夫なのか?」


「だいじょーぶだいじょーぶ」


 不安そうな船長の言葉に、気軽に答えた。


 結局のところ、あまり強くないにもかかわらず後手に回っていたのは、こちらの攻撃が海面で減衰してしまうからだ。

 魔法を使える者も乗っているが、魔法を専門にしているわけじゃ無いし、そこまでの威力を出せなかったんだろう。


 そこで、俺の番だ。


【祈り】を発動してから、さらに【ダンレムの糸】と尻尾諸々を発動して、弓を構えた。

 屋根の上から海面めがけて狙う訳だし、普段は水平に撃つが今日は少し射線を下に向けている。


「よーいっしょ……っと。うん、壁には当たらないね。船長、このまま横に来るように誘導してよ」


 魔物は船から離れた場所を泳いでいるし、角度に余裕はある。

 大丈夫だな。


 俺は、船体に矢が当たらないことを確認して、船長にそう言った。


「あっ……ああ。了解した。だが、無理をする必要は無いからな」


 それだけ言うと、船長は下に向かって大声で指示を出し始めた。

 少々声色が不安そうではあるが、俺が自信満々で出来るって言っちゃったからな。

 まぁ……しっかり仕留めて見せるさ!


 俺が気合いを入れている間に、甲板に出ていた兵たちが、船長の指示に従って弓を射かけたり魔法を放って、魔物を俺の射線に誘導している。

 距離は船から30メートルほど離れた場所を泳いでいるが……なんかワニみたいな影が見えている。

 波も立っているし、はっきり姿はわからないが、少なくともただの大きい魚には見えないし、頑丈そうだ。

 離れた場所からの魔法や弓じゃ、仕留めるのは難しいかもしれないな。


 だが、この矢なら十分威力を保ったまま海中の魔物にも届くはずだ。

 発射の姿勢を保ったまま、誘導される魔物を睨み……。


「……今だっ!」


 射線に入ったところで、俺は矢を放った。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] >>「……今だっ!」 そして流れる様に誤射!! となるかどうか
[気になる点] もう酷いことになる未来しか…w
[一言] 一つ前に書いた感想ですが、数え方が「匹」と「体」のどちらかという意味ではなく、魔物の数が「単数(1)」と「複数(1より多い数)」のどちらなのか分かりづらいという意味です。 >>内側に魔物が…
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