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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 早朝から出発した俺たちは、夕方前にルバンが治める村に到着した。


 彼はもう王都から戻って来ていたが、今までの分の仕事を片付けるために、村を空けていることが多いらしい。

 今日も見回りのために村の外へ出ていて、俺たちがやって来た時には、まだ村に戻って来ていなかった。


 一応礼儀を考えたのなら、代官の彼は村にいて、セリアーナの出迎えをした方がいいんだろうが、まぁ……俺たちが村に滞在しているのは、荷物を馬車から船に積み替える間だけだし、セリアーナも細かいことには拘らないからな。

 特に問題となるような事は無かった。


 そのルバンの代わりに接待役を引き受けたのは、彼の妻の一人であるキーラで、彼女は元々貴族の生まれだし、セリアーナの相手も十分にこなせていた。

 子供も元気なようで、さらには彼のもう2人の奥さんたちも、ちょうどおめでたらしい。

 性別はまだわからないが、これで奥さん3人にそれぞれ子供が出来たことになるし、ルバンのお家は安泰だ。


 そんな事を話しながらお茶をする事、小一時間。

 荷物の積み替えも完了して、俺たちは船に乗ることにした。


 ◇


 俺たちが乗った船は、荷物を運ぶためのものでは無くて、貴族や裕福な商人の移動用に使われる、貴賓室が備えられた豪華な造りの船だった。

 マーセナルの領都にある港に立ち寄った際に、一旦補給を行うが、その後にそのまま王都圏へ向かうことになる。

 約2週間、俺たちの家になるわけだな。


 ちなみに、この船の所有者はルバンだ。


 リアーナには運搬船はあっても、こういった船は無かったが、領地の発展につれて、出入りする者の層も変わってきたことから、どうやってか購入を決めたらしい。

 いくらかかったのかはわからないが、彼はしっかり稼いでいる上にパトロンも多いそうだしな。

 今後はリアーナを訪れる貴人は、彼の船を利用する事が増えるだろうし、まぁ……さらに稼いでいく事だろう。


 さて、それはさておき……。


 出港してから数時間が経ち、もうすっかり夜となっている。

 風呂も入って食事も終わり、


「外は魔物とかいる?」


「いないわね。揺れもほとんど無いし……この季節はこんなものなのかしら?」


「前の時は、海に出る前でもちょっと荒れてたもんね」


 窓辺のソファーに座ったセリアーナと話しながら、船窓から外を見る。

 薄っすら月に照らされて、静かな川面が見えていた。


 いつぞやと違って、時期がいいからか川は全く荒れておらず、魔物の気配も全くない。

 それに、周囲にいる人が普段よりも少ないからか、セリアーナはどこかリラックスしているように見える。


 彼女の加護は、範囲を自分である程度コントロール出来るそうだが、それでも常に数百人の気配を追っている。

 領主の屋敷とその周辺に人が全くいないのは、それはそれで問題だろうし仕方が無い事ではある。

 小さいころからその加護を得ていて、もうその生活に慣れてはいるらしいが、やっぱりストレスはあるんだろう。


 今この船にいるのは、使用人も含めて20人ちょっとだし、周囲には魔物もいないらしい。

 加護を使用したままで、気を緩める事が出来るし、いい環境なのかもしれないな。


「さてと……どうしよっか? 今日は【隠れ家】使う?」


 この部屋は、日常生活に使う魔道具が設置されているし、広さも十分ある。

 リビングと寝室が一緒になっているが、手狭さは感じない。

 前世の様に、世界一周とかをするのならちょっと心許ないが、王都圏までの約2週間を快適に過ごすには、十分過ぎる設備だと思う。


 ただ、それはあくまで船旅の場合にはってだけで、ずっと生活するには何かと物足りなかったりする。

 例えば、照明だ。


 部屋には照明がいくつもあって、暗く感じるような事は無いんだが、決して明るいわけじゃ無い。

 今の様に夜になると照明の下以外では、どうしても少々薄暗くなってしまい、本を読んだりするのは難しくなる。


 もっとも、それは貴族向けの建物でも似たような感じで、リアーナのセリアーナの部屋が例外なのかな?

 あそこは天井と壁と机にしっかりと設置しているから、どんな時間でも変わらず明るさを保てていて、いつでも読書や書き物が出来るようになっている。

 あのレベルを、他の場所……ましてや船の部屋に求めるのはちょっと酷だろう。


 だが、【隠れ家】ならその問題も解決できる。

 照明だけじゃなくて居住性もずば抜けているし、あそこに籠ればどんな環境でも関係無いんだが……。


 窓の外を見ていたセリアーナは、少し考えこむような素振りを見せると、こちらを向いて口を開いた。


「少しは部屋に慣れておきたいし、今日はいいわ」


 そして、視線は再び窓の外へ。


 どうやらこの船が気に入ったようだ。

 海に入ったら揺れも変わったりするかもしれないが、今は穏やかだし、のんびりするには悪くない。

 丁度いい、慰安旅行だな。


「そか。りょーかい」


 そう返事をすると、【浮き玉】から降りて、俺もソファーに座ることにした。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 普段百人以上の気配を追っているセリア様も身内ばかりでなおかつ20人程度しか気配がないところでは気が休まるのですね。普段広告まみれの繁華街を通っている者が、たまに何もない山道を通るようなもので…
[一言] セラさんが浮き玉を降りてソファーに( ˘ω˘ )!
[良い点] 更新ありがとうございます。 [一言] >>風呂も入って食事も終わり、 この部分ですが、文章が途切れてしまっているのか、それともセリフを間に挟んで「窓辺のソファーに座ったセリアーナと話しなが…
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