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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
22章・今年は冬も慌ただしい
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「ふぅ……ごちそーさま」


 話を聞きつつ、ときたま適当に返事をしながら食事をしていたが、ようやく食べ終えた。

 毎度俺の分の食事は軽めにしてもらっているが、食べ終わる速度は一向に上がらない。

 小さい頃からこうだし、もうこれは変わらんかもしれんね。


「食べ終えたわね。いくつかお前に確認したい事もあるし、場所を変えましょうか」


「そうですね。食器を下げさせたら私も向かいます」


 俺の返事を待たずにセリアーナが立ち上がると、他の皆も彼女に倣い席を立った。

 そして、スタスタと奥の寝室に向かっていく。


 食べたばかりだし、ちょっとはのんびりしたかったが……まぁ、いいか。


「よいしょ……っと」


 ソファーから立つと、【浮き玉】に乗ってセリアーナたちの背を追った。


 ◇


 場所をセリアーナの寝室に移して数分ほど経った頃。

 使用人たちが隣の部屋を出入りした気配を感じたが、食器を下げていたのだろう。

 ほどなくして、お茶の用意を手にしたテレサがこちらに姿を現すと、皆の前にお茶を並べていった。


 彼女たちが先程まで話していた内容は、ゼルキスの街の様子だったり、ウチから向こうまでの街道の様子だったりと、当たり障りのないものばかりだった。

 使用人が部屋に入ってきた時に、彼女たちに話が漏れないようにだろうな。

 部屋のメンツ的に、部屋の前に来たらすぐに気づけるだろうが、相変わらずの慎重さっぷりよ。


 しかし、わざわざ場所を変えたって事は、もう少し踏み込んだ内容になるのかな?


「セラ」


「ほい」


 お茶を一口飲んだセリアーナは、カップを置くと口を開いた。


「ゼルキスへの伝令役、ご苦労だったわね」


「うん。久々に遠出して楽しかったよ」


 セリアーナはフッと笑うと、言葉を続けた。


「結構。戦争の結果や王都やゼルキスの様子は、お前の報告とお母様からの手紙を合わせてある程度把握できたわ」


「うん」


 ミネアさんの手紙か……どんなことが書かれてたんだろう。

 俺の報告なんて大したもんじゃ無いしな。

 きっと親父さんとしっかり情報を共有しているんだろう。

 あまりミネアさんが仕事をしている姿を見た事って無いし、こう言っちゃなんだが、ちょっと意外だったな。


「リアーナは死者はゼロだったけれど、ゼルキスを始め、東部派閥の各領地では数名ほど死者が出ていたそうよ。まあ……派兵する兵の数がウチに比べるとずっと多かったようだし、仕方が無いといえば仕方が無いわね」


「ほうほう……」


 ウチはほとんど戦闘に参加しなかったようだけれど、他のところはそうじゃないのかもしれないしな。

 まぁ……やっぱりゼロって訳にはいかないんだろう。


 しかし、それでも数名ずつなのか。

 どんだけ圧勝だったんだろうな……。


「詳しい報告はアレクたちが帰還してからになるけれど……。帰還は予定通りなのよね?」


「うん。船を使った水路での方が早く帰ってこれるけれど、帰還ついでに領内の周辺を見回って来るって言ってたよ」


「結構。今の時点ではウチが動けるような事は無いし、アレクたちの帰還待ちね。それで、お前は寄り道したと言っていたけれど、どこか用事でもあったの?」


 セリアーナの言葉に、俺は首を横に振った。

 用事じゃなくて、本当にただの寄り道だったもんな。


「折角久しぶりのお出かけだからね。通常のルートじゃなくて、ちょっと違うルートで帰ってみようと思ったんだ」


「ああ……本当にただの寄り道だったのね。なにか変わったものでも見つけたのかしら?」


「変わったものは見つけなかったけれど、帰り道でね……」


 俺は帰還の際に遭遇した商人たちの事を話すことにした。


 流石にリアーナの商人で、暗くなっても次の街を目指すような者はいないだろう。

 ご近所さんの移動くらいならあるかもしれないが、気を抜いたらすぐ魔物に出くわす土地だもんな。


 とはいえ、よくよく考えると、俺はこの領地の事故とかについて詳しく知らないからな。

 もしかしたら、俺が知らないところで頻発してたりするのかな?


「まあ、商売に情報は大事だし、それで儲けを出そうとして無理をするのは理解出来なくも無いけれど……。ウチはどうかしら? テレサ」


「管轄が1番隊になるので、私もすべてを把握出来ているわけではありませんが、リアーナでは、街や村の門限を厳しく定めていますし、夜間に外を移動する者はいないはずです。リアーナも数年前まではゼルキス領でしたが、同じ領地とはいえ、やはりこちら側は魔物と遭遇する頻度も高いし、住民の危機感も違うのでしょうね。ですから、心配は無用ですよ」


「そう。狩場ならともかく、想定しない場所で死者が出るような事態は、周囲の魔物の縄張りにも影響が出るし、その心配が無いようなら何よりだわ。それにしても……お前は妙な事を思いつくものね」


「つい……ね」


 自分でも唐突な思い付きだったしな……。

 ともあれ、リアーナでああいった事態は起きそうにないってことか。

 それは何よりだ。


 その後は、帰還予定日や参戦した兵への報奨金についても少しだけこの場で話を進めたが、俺は途中で眠気に負けて離脱させてもらうことにした。

 座っているだけではあるが、それでも久々の遠出に疲れたのかもしれないな。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 寄り道で救われる命がある ( ˘ω˘)スヤァ
[一言] そしてセラさんが寝たところで大人の話が始まるんですね( ˘ω˘ )?
[一言] 結局室内でも浮き球かあ 足というか下半身が虚弱になりそうで心配 普通の人は疲れてても歩くわけだし
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