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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
22章・今年は冬も慌ただしい

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 コボルトの群れを片付けた後は、遠巻きにこちらの様子を窺っていた3体のゴブリン一組が襲ってきた。

 コボルトを倒したときには、既に冒険者の2人は大分消耗していたから、隙が出来たとでも思ったんだろう。


 だが、所詮はゴブリン。

 それもたったの3体だからな。

 一息だった。


 他にも離れた場所にオオカミ等がまだまだいたのだが、そいつらは先程の戦闘を見ていたのか、近づいて来ること無く去って行った。

 賢明だな……。


 さて。

 去って行った魔物の事はもういいか。

 それよりも、こっちの人間の方だな。


 冒険者も商人たちも、無事命を落とす事なく乗り切る事が出来たのだが、商人たちが不甲斐ないせいで、護衛の冒険者たちはしなくていい覚悟を決める羽目になった。

 商人たちの元に戻った冒険者たちは、そのことについて大分キツめに叱責している。


 どんな風な取り決めだったのかはわからないが、依頼主であるはずの商人たちはしおらしくしているし……冒険者たちの方が分が良さそうだ。

 そこら辺の事は、彼等の間で話し合ってもらうとして、この日暮れ前という微妙な時間に、こんなルートを使っていた理由を聞かせてもらおうかな。


「話は終わった?」


 ピーク時は剣を突き付けそうなくらいの勢いだった冒険者たちも、声を上げたことで一通り落ち着くことが出来た様で、話を聞けるくらいになっていた。

 話を聞くために声をかけながら近づくと、一人が顔を上げた。


「あんた、リアーナのセラさんだろう? なんでこんなところにいるのかは知らねぇが……助かったぜ」


 ゼルキスでの護衛依頼を受けているし、地元の冒険者みたいだが、俺の事を知っているか。

 もしかしたら、リアーナに来たことあるのかもしれないな。


「オレはミュラー家に挨拶に顔を出していたんだけど、その帰りだよ。ついでにちょっと寄り道をしてたんだ。……それよりも、アンタたちこそなんでこんな時間に、こんな場所を移動してたの?」


「ああ……それは、こいつらがな……」


 俺の言葉に、後ろに控えていた商人たちを指した。


 ふぬ……?

 と、そちらに視線をやると、やや気まずそうな顔で揉み手をしている商人たちと目が合った。


 ◇


 商人の彼等は、このゼルキス領の領都周辺を主な販路にしていて、いつもこのメンバーで行動をしているらしい。


 そして、護衛の冒険者たちは、領都周辺を主な活動の場としていて、一応ダンジョンでの狩りも出来るようだが、それはあくまで箔付けのためであって、こういった護衛活動の方をメインにしているんだとか。

 まぁ、腕自体は確かに悪くなかったがずば抜けているわけでも無いし、ダンジョンの登録料は痛いだろうけれど、その信用でしっかりペイ出来るんだろうな。


 互いに顔見知りで、さらに冒険者の彼等が無理にダンジョンにチャレンジしたりしないように、慎重なところも性に合っていて、領都周辺を移動する際には時折一緒に仕事をしたりする関係らしい。

 特に今回の様な主要街道では無くて、脇道を利用する時なんかは。


 どちらも慎重で、大変結構な事だ。

 たとえ命を落とさなくても、障害が残るような怪我をしたら、一生困るもんな。

 良いこと良いこと。


 だが、なんだってこの慎重な彼等がこんな無理をしたのかというと、兵たちが戦争から帰還したからだ。

 昨日領都に到着した各地の兵たちは、リアーナの兵を除けばしばらく領都に滞在する。

 その情報だけでも、いい儲けになるんだろう。


 急げば彼等が滞在している間に領都に物を持ち込めるし、あるいは、彼等が自分の領地に帰還する際に途中滞在する街で、物を売ったり宿を用意したり……色々出来るもんな。


 領都に兵たちが到着したのは昨日だが、早朝ってわけじゃ無いし、情報を色々仕入れるのに時間がかかっちゃったんだろう。

 で、仕入れた情報の整理が終わって、顔なじみの冒険者を護衛に雇って、領都を発ったのが今朝の事。


 道中の街等に立ち寄ってはその情報をお金に換えてきたが、特にここまで戦闘が無かったとかで、少々予定よりも早く行程を消化してしまい、ここから一つ前の村に到着したときは、まだ日が高かったそうだ。


 んで、そこで今日は終わりにするかどうかで迷ったそうだが、商人たちは次を目指すと言って、まぁ……今に至るわけだ。


「ちょっと欲張っちゃったね」


「はい……。いや、申し訳ないです」


 そう言った商人の代表らしき男が、護衛に向かって頭を下げた。


「……いいさ。だが、これからは俺たちの指示をしっかり実行してもらわないと困るぞ」


「ああ、もちろんだ」


 護衛の言葉に再び頭を下げている。


 今日は魔物に出くわしたりしなかったから、気が緩んでいたのかもしれないな。

 ここから次の村まで数キロ程度らしいし、それくらいならもう大丈夫だろう。


「まぁ、その辺の事はオレが口出しする事じゃ無いし、君等で決めてもらっていいけれど……、ここの魔物の報告は任せていいのかな?」


 10体少々だが、魔物の死体はあまり放置していい物じゃ無いしな。

 今からは難しいが、朝にでも冒険者なり兵士なりにしっかり回収してもらわないと……。


「ああ、それは任せてくれ。あんたの事はどうする? 伝えておくか?」


「そうだね……。うん、そうしておいて」


 他領で戦ったわけだしな。

 隠すような事でも無いし、名前を出して貰っても構わないだろう。


「そんじゃー、オレはもう行くから、よろしくねー」


 その言葉に、商人たちはどこか不安そうな顔をしているが、そこまで付き合ってやる義理も無いしな。

 想定外の事で少々時間を使ってしまったが、再び出発だ。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラさんを使うと色々高くつくぞぉ!
[良い点] 更新乙い
[一言] 領主の未来の義娘さんに助けてもらったって自慢できるぞ まあ、何のコネもできてないけどな
感想一覧
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