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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
22章・今年は冬も慌ただしい

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 西部の傭兵が東部との戦争をどんな風に受け止めているのかというと、タフな仕事の割にうま味の少ない厄介な仕事……そんな感じなんだろう。

 だから、西部の傭兵はいまいちやる気がない。

 アレクの話を聞いて、それが分かったのだが……話はそれだけじゃ無いらしく、さらに続けた。


「連中からしたら、東部との戦争ってのはいかに、無理をせずにやり過ごすか……だ。怪我をしても馬鹿らしいしな」


 アレクは言葉を選んだが、要は手抜きだ。

 まぁ、プラスにならないのに命を懸けたくはないよな。


「うん」


 よくわかる……と、頷いていると、今度はアレクじゃなくてジグハルトが話を継いだ。


「そういう時は、両側から互いの事情に詳しい者が仲介して上手く戦場を離脱するんだ。西側なら東部へ行く商人の護衛経験がある傭兵が、東側は西部出身の冒険者なんかだな。もっとも、依頼主への義理もあるし、一度離脱したら戦場には復帰しないっていう暗黙の了解があるから、戦況をしっかり把握しておく必要がある。それに、場合によっては戦場の放棄と受けとめられて、終戦後に揉めたりする原因になったりもする。まあ、状況次第だな」


「ほうほう……」


「東部の方が優勢になる事がほとんどだから、大抵東部側から話を持って行くそうだ。まあ、西側の傭兵連中にしても、劣勢な状況で相手戦力を減らす事が出来るからって口実にもなるしな」


「なるほどなるほど」


 2人の言葉にコクコクと頷いた。


 やらせというか出来レースというか……。

 それでも、互いに損傷無く戦場から戦力を取り除くことが出来るんなら、あり……なのか?


「あっ! じゃあ、今回ウチの被害がゼロだったのはそういうことなんかな?」


 ジグハルトの言っていた仲介云々とか、正にうちが適任な気がする。

 もともと西部で傭兵をやっていて名前が売れているジグハルトを筆頭に、アレクもルバンも西部でそこそこ知られているそうだしな。

 まぁ……彼等は正規兵で傭兵ってわけじゃ無いから、離脱の件とかはどうなのかはわからないが……傭兵同士の暗黙の了解よりは、融通が利きそうな気がする。

 それに、ウチの連中はあんまり戦争で活躍しようって雰囲気も無いしな。


 俺のその言葉に、2人は何とも言えないような顔をしている。

 どんな表情なんだ……その顔。


「今回はそれに近い。西部の戦争は、傭兵の働きを監視する隊がいる。後ろから監視するわけだし、傭兵連中からは煙たがられたりと、いい役目じゃないがな」


 督戦隊だっけ?

 味方の兵の働きを監視する部隊。

 ジグハルトが言っているのは、恐らくそういった存在だと思う。

 その連中に嫌な思い出もあるのか、ちょっとジグハルトの声には苦い物が含まれているが、そのまま彼は話を続けた。


「西側同士の戦争なら、その役目は当事者同士が用意するんだが、こと東部との戦争になると、西のデカい勢力が用意するんだ。大体そいつらが後ろ盾になっているからな。傭兵を雇う金もそいつらが用意しているし……、まあ、妥当ではあるんだ」


「うん……」


 デカい勢力といえば、帝国と連合国と……あと神国もだな。

 東部との戦争にはそこが支援している……と。


「ん? でも今回はそこは関わってなかったんだよね?」


「ああ。今回はその監視も含めて一切姿を見せなかった。だからだろうな……。戦場に互いの戦力が集まり翌日に開戦って晩に、向こう側の複数の傭兵団から接触があった。内容は、自分たちは後方に控えて、時期を見てそのまま離脱する。そちらは離脱しなくていいから、自分たちは狙わないでくれってな……」


「……それって戦争の放棄なんじゃ? いいの? それ」


 優勢劣勢以前に、戦いが始まる前から離脱の打診。

 それも、こちら側はしなくていいって……ただの逃亡だよな?


「よくはないな」


「いいわけないだろう」


「だよね」


 やっぱりそうらしい。

 2人揃って同じ様な事を口にした。


 そして、ジグハルトは手にしたカップを口に着けて一気に傾けたかと思うと、深い溜息を吐いている。

 なんか思う事でもあるんかな?


 そのジグハルトをおいて、アレクは話を再開した。


「俺たちも話をそのまま信じたりはせずに、しばらくは備えていたんだが……結局初日から向こうが用意した傭兵の大半が後ろに下がって、戦闘には参加しなかったからな。西側の傭兵で残っていたのは、個人で参戦しているような戦闘狂と、聞いた事も無いような弱小団だけだったよ。前者はともかく、後者は恐らく参戦国側の貴族の子飼い連中だろうしな……。まともな戦力は初日で実質離脱したようなもんだ」


「それは……なんともボロボロなんじゃない?」


 監視役がいないし、うま味も無い仕事はさっさと放り捨てる。

 それは分かっちゃいるけれど、始まる前からそれじゃーなー……。


「ボロボロだな。お前が思っている以上にだ」


「お?」


 ジグハルトの言葉に、俺は首を傾げつつ一言発した。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 昔はジグさんも戦闘狂枠だったのかな?
[良い点] 777回到達乙です [一言] なんともお粗末で一方的な最前線事情 陽動を疑いたくなるレベル
[良い点] 更新乙い [一言] 西部舐められすぎなの草 西部の本隊が凄い消耗しそうな状況だあ
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