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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
21章・今年の秋は慌ただしい
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「これはっ!? 奥様っ!」


「ご苦労様。状況は理解していて?」


 階段を上がり地下1階を通り抜けて1階のロビーに上がると、気付いた職員が慌てて駆け寄ってきた。

 ロビーを見ると、武装をしていつでも戦闘に出られる状態の冒険者たちが数パーティー揃っている。

 彼等の顔に見覚えはあるし……戦士団のメンバーだな。

 いざって時に備えて、ここに詰めているんだろう。


「どうしましょう? 支部長はおりませんが、彼等も何時でも出られます」


 テレサから簡単に説明を受けた職員がそう言うが、テレサは首を振った。

 まだ彼等の出番じゃ無いらしい。

 んで、支部長のカーンはいないと……まぁ、夜中だもんな。


「まだ必要無いわ。それよりも、朝になったら騎士団と一緒に街の周囲の警戒を任せるから、そのつもりで備えておくように伝えなさい」


「はっ! ……奥様方はどうされるのですか?」


「私たちは直接現場に出るわ。それが一番早いでしょう」


「……どうかお気をつけて」


「ええ。もちろんよ」


 そして、待機している冒険者たちの視線を集めながらもロビーを通り抜けて、冒険者ギルドの入り口のドアに手をかけた。


 ◇


 土砂降りの中、皆はセリアーナに……というよりも、俺に寄り添って足早に移動をしている。

 一応傘も持っているが、【風の衣】を発動したら、このくらいの雨なら問題無いからな。

 テレサは徒歩だから靴が濡れてしまうが……それは我慢してもらおう。


 さて、俺たちが目指す教会地区は、冒険者ギルドを出てから細い路地を何本か抜けて、さらに中央通りを北に通り抜けた場所だ。

 雨のせいかもしれないが、昼間と違って通りを出歩く者はいない。

 別に姿を隠す必要は無いだろうが、住民に俺たちの姿を見られると不安を煽ってしまうかもしれないしな。

 お陰で誰ともすれ違う事無く、通りを挟んで教会が見える場所までやって来る事が出来た。


「見えましたね。奥様、姫。何か気配を感じますか? 私では雨で感覚が邪魔されてわかりません……」


 踏み入る前に、先頭に立つテレサが周囲を警戒しながら尋ねてきた。


 その言葉を受けて、ちょっと気合を入れてここから探ってみる事にした。

 上を通る事はあったが、地上からこの場所に近づくことは意図的に避けていたが、それでも8年ほど過ごしていた場所だ。

 暗くても、どこに何があるかはわかる。

 人が最も集まっているのは、孤児院前の広場だ。

 リックっぽいのがいるし、そこを作戦本部にしているのだろう。


 それ以外では……。


「教会に纏まった人数が集められてるね。見た感じ兵士っぽいのもいるし、このエリアに残ってた人たちを一纏めにしたのかな。セリア様はどう思う?」


 教会の内部に数十人の姿があるが、数人を除いて街で暮らす一般人と大差ない程度の力しか感じない。

 それに、その数人も恐らくは冒険者なんだろうが、この街の冒険者でも実力的に下の方だろう。

 その彼等を監視する兵たちの方が、実力はずっと上だし……大丈夫かな?


「そうね……ええ、お前の言う通りだと思うわ。何人か敵対心を持っているけれど、問題無いわね。私たちもリックの下へ行きましょう」


「はい。私が先導します。姫、傘は借りたままでよろしいですか?」


「うん。どうぞ」


 テレサには俺の傘を渡している。

 といっても、雨を避けるためでは無くて、先端に明かりの魔法を灯している。

 照明としてもだが、すれ違いこそしなかったが、街を捜索する兵たちに敵と誤解されないようにする為だ。

 俺の許可を受けたテレサは、再度傘の先端に明かりの魔法を発動すると、「参りましょう」と言って、歩き始めた。


 ◇


「っ!?」


 俺たちに気付いたリックは、一瞬声を上げそうになるもそれを飲み込んだ。

 まぁ、敵がいるかもしれない場所だからな。

 賢明だ。


 さて、そのリックは捜索隊の班長たちと馬車止めに集まっていた。

 ここなら屋根があるから雨を避けられるし、本陣代わりにするには丁度良かったんだろうな。


 しかし……この場所か。

 昔俺が脱走する数日前に身を隠していた場所だな。

 ……いざこの場に来ると色々思い出すな。


「皆様、どうぞこちらへ。そこでは雨がかかってしまいます」


 こっそり物思いに耽る俺をよそに、リックはセリアーナたちを中へと引き入れた。


 中では木箱を重ねた物を机代わりにして、街の簡略地図を広げている。

 それを使って全体の指揮を執っているのだろう。


「しかし……どうしてこちらへ? やはりまだ何かありますか?」


 俺たちが奥まで入ったところで、リックが口を開いた。

 その声と表情に無念さが滲んでいる。


 チラっと地図を覗き見たが、この広い領都を虱潰しによく捜索していたのがわかった。

 だが……普通謎の地下空間とかみつけられないよな。

 彼等の手落ちじゃない。


 セリアーナもそれをわかっているのだろう。

「気にするな」と一言言うと、さらに続けた。


「その前に、アンデッドの討伐が済んだ事は聞いたけれど、もう一度初めから聞かせて頂戴」


 謎の地下空間を探すのは決定としても、まずは状況把握だ。

 俺たちが知っているのはあくまで伝令からの報告だし、現場で指揮した者から直接話を聞かせてもらおう。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 井戸の底まで気配を感じろ 何てコトは言わないから安心して仕事してね!!
[一言] 探知特化の加護無しじゃきつそうだし仕方ないよね
[一言] 院長との因縁の再会か!?
感想一覧
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