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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
21章・今年の秋は慌ただしい

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 地下通路を移動する俺たち4人。

 俺を抱えたセリアーナが【浮き玉】に、【小玉】にはフィオーラが乗り、先頭をテレサが歩いている。

 通路も通常よりも厳重に警備の兵が配置されていて、その彼等はセリアーナの登場に驚いているが、ここを利用してエレナの家に行ったりしていたからか、そこまでの混乱は起きなかった。


 アレはただ暇潰しのお出かけだったんだが……色んなことをやってみるもんだな。


 ともあれ、その兵たちを労いながら通路を進み、俺たちの一先ずの目的地である、冒険者ギルドの地下にあるダンジョン前のホールに辿り着いた。


 今日……正確には昨日だが、雨季に入った。

 これが雨季の半ばにでもなれば、外で狩りが出来ない事に飽きた者たちが狩場を求めてダンジョンにやってきたりもするが、今日はまだ初日だしダンジョン前のホールには、冒険者の姿は無い。


 だが、その代わりいつもよりも警備兵の数が多い。

 この領地である意味セリアーナ以上に守る必要があるのは、ダンジョンだもんな。


 ここに、反抗勢力が大人数で特攻をかけて、中で大量に死体を作られようものなら、維持費の問題から数年なら耐える事は出来ても、長期的に考えると破綻しかねない。

 魔人もその数だけ生まれるし、それだけこのダンジョンの危険度も上がって来る。

 そうなると、ダンジョンでの死者も増えていくし維持費だって増えていく。


 魔境という狩場こそあっても、冒険者にとっては安定しているダンジョンの方が魅力だ。

 今のこの領地を支えているのはその冒険者によるものが大きいのに、あまりにもダンジョンの危険度が上がり過ぎると、その冒険者たちが離れていくかもしれない。

 ダンジョンをきっかけに、領地の力が削がれて行ってしまう。


 最悪の事態は、ダンジョンの崩壊から領地、果ては東部一帯までそれが波及する事だが、流石にそこまでは行かないだろう。

 だが、この国に大打撃を与えることにはなるし、それこそ、ここから既に手を引いた西部の大国が喜ぶ結果になる。


 ……うん。

 しっかりと警備してもらわないとな。


「奥様、テレサ様。それに副長も……現場に行くんですか?」


 その警備を指揮している2番隊の兵がこちらにやって来た。

 外の状況は彼等にも知らされているだろうが、それでもいつも通りセリアーナ相手に緊張しているのは、ある意味頼もしいな。


「ええ。ここは貴方たちに任せるわ。突破を図る者がいたら排除しなさい。少々の事なら私が責任を持ちます」


「……はい。お気をつけて」


 冒険者ギルドの支部長は2番隊からの出向で、隊員自体元冒険者が多い事もあって、2番隊と冒険者は比較的緩い関係を保っている。

 そして、それらはセリアーナの管轄だ。

 だからこそ、今の言葉は中々に重たい。

 応対する彼にもそれが伝わったんだろう。

 表情からは緊張の色が消えて、引き締まったものになっている。


 ……問題はその2人の間に、セリアーナに抱えられた俺がいるって事だな。

 緊張感台無し!


 ◇


「……奥様、どうかされましたか?」


 ダンジョン前のホールから階段を上って地上を目指すその途中で、ふとセリアーナが【浮き玉】の動きを止めた。

 そして、階段の壁を睨んでいるが……えーとその方角は……屋敷がアッチだから……北か?


「教会の方?」


 俺の言葉にセリアーナは小さく頷くと、壁を凝視したまま口を開いた。


「この位置に何かいるわね」


「……この位置?」


 前を行くフィオーラがすぐ隣までやって来ると、セリアーナの視線に合わせて壁を睨む。

 俺もヘビたちと【妖精の瞳】を発動して、睨んでみるが……なんもわからん。


 ダンジョンがあるのは地下2階で、今俺たちがいるのはもうすぐ地下1階といったところだが、通常の住宅よりも1階当たりの高さは段違いだ。

 ここも恐らく10メートル以上はあるだろう。

 ……そんな場所に何かがいる?


「地下のこの深さ……。井戸かしら? そういえば報告であったわね」


「ええ。まあ、行けばわかるわね。ごめんなさい。急ぎましょう」


 そう言うとセリアーナは【浮き玉】を進めた。

 それに合わせて、2人も移動を再開する。


「しかし……やはり地下ですか。【赤の剣】を置いてきたのは正解でしたね」


 階段を上りながら、テレサがそうぼやく。


 彼女の装備は厚手のレザージャケットに、業物ではあるそうだが普通の片手剣だ。

 戦闘なら【赤の剣】の威力は惜しいが、地下での戦闘の可能性を考えると、崩壊の恐れもあるし……という事で、エレナに預けてきたんだ。

 何者かがいるその場所がどんなところかはわからないが、地下だってことは間違いなさそうだし、あまり破壊力のある物を振り回すのには向いていない場所だろう。


「そうね。……場所次第では兵たちよりも私たちが動いた方がいいかも知れないわ……何よその顔は」


 セリアーナは自分の顔を睨む俺に気付き、眉をしかめた。


 そりゃー、怪しい場所に乗り込もうとしているんだ。

 止めるに決まってるじゃないか。


 その事を伝えたんだが……。


「事態を収めることが最優先よ」


 どうも聞き入れる気は無さそうだ。

 確かに彼女の言う事はもっともなんだが……ちょっと急ぎ過ぎな気もする。

 気負ってんのかな?

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 貞子さん出番ですよ!?
[気になる点] 領主婦人が出張るのはともかく兵士を連れていかないのは理由があるのかな
[一言] いったい何が……
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