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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
21章・今年の秋は慌ただしい
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 早いもので秋の1月に入ってもう1週間以上経っている。


 今までも、何気に外で狩りをしたりダンジョン探索をしたりと仕事はやっていたのだが、仕事にかける時間はそこまででは無かった。

 だが、最近の俺は結構長時間あちらこちらに移動をしているからな……。

 光陰矢の如しって言葉が前世であったが、こっちにも似たような言葉はあるのかな?


 ともあれ、今日も今日とて地下通路を利用してのお使いをこなしていたのだが……。


「フンフーン……お?」


 お使いを終えて、鼻歌を歌いながら玄関ホールに出たところで、使用人たちが大きな荷物を運んでいるのが目に入った。

 向かう先は……南館かな?


「お疲れ様。それはどうしたの?」


【浮き玉】の速度を上げて彼女たちに追いついた俺は、それは何かと尋ねた。

 本館から移動させているのならもうチェックを終えているんだろうけれど……。


「ああ、セラ様。お疲れ様です。こちらはエレナ様への贈り物になります。今は屋敷に滞在されているので、エレナ様のお屋敷の方からこちらに届けられました」


「……ああ! そういえば今年はずっとこっちにいるもんね」


 エレナの誕生日は秋の1月11日で、例年その前後はお客と面会とかで忙しかったが、今年はずっとこっちの屋敷にいるから、断っている。

 せめて贈り物だけでもってことなんだろう。


「はい。あちらでもチェックをされているようですが、念の為こちらでも行っておきました。問題は無いようなので、1階の談話室へ持って行くことになっています」


 と、彼女は南館の方を向いてそう言った。

 確かにあそこに置いて、エレナに中を見てもらうってのが普通なんだろうが、それだとまた2階に運ぶのに人を集める必要がある。

 ふむ……。


「あ、それならオレの部屋に運んでよ。それならエレナも楽だと思うよ?」


「よろしいのですか?」


 使用人たちの認識では俺の部屋は着替え場所兼物置だ。

 広さもあるし、あそこに纏めておくのはおかしいことでは無い。

 夜に皆で集まってアレコレ見れるし、それに【隠れ家】に移すのにも気を使わなくていいしな。

 我ながらナイスアイディア。


「うんうん。エレナには俺から伝えておくよ」


 そう伝えると、皆に【祈り】をかけて、俺は執務室へ向かう事にした。


 ◇


 さて、今日の領都も平和に終わる事が出来たってことで、夜の報告会を終えた俺たちは、俺の部屋に集まってエレナへの贈り物の品定めをすることになった。


「……服が多いわね?」


「そうですね……特に何かを仕立てたという事は無いのですが……。それに私が今まで仕立てた事の無いようなデザインの物ばかりですね」


 部屋に運ばれた箱を開け始めたばかりなのだが、何故か服が続いている。

 それも、クラシカルな貴婦人用というよりは、動きやすそうなスタイリッシュなデザインだ。

 勿論、エレナへの贈り物だし質は良いものだ。

 今更何でエレナのサイズを知っているのかとかは、疑問に思わない。

 貴族ってのはそういうもんだが、それにしても何でここまで服が続くんだろう?


 去年は、絵だったり宝飾品だったりもあったと思うが……。


「……姫とフィオーラ殿が部屋着を仕立てたからでは無いでしょうか? 新しいデザインでしたから、工房間で共有したのではないでしょうか。 それが耳に入り、エレナと奥様への贈り物として新しいデザインの服を仕立てたのだと思います」


「ああ……それはあるかもしれないわね」


 テレサの仮説に皆が頷いている。


 祝いの品だしな。

 よほど変な物は問題外だが、ちょっと攻めた物でも使用するかはともかく受け取っては貰える。

 時期的にもエレナの3日後にセリアーナの誕生日が来るし、試す価値はあるって事かな?

 まぁ……今年はちょっと人を集めてパーティーって状況ではないが、もしどこかで着てもらえたら、仕立てた工房や職人の名前が売れるのは間違いないと思う。


 リアーナにもモード商が登場するんだろうか……?

 ファッションに興味が無かったから、王都を始め他所で服の調査なんかしなかったが、こんなことなら色々見ておけばよかったかも!



 品定めはその後も続いたが、流石に服ばかりという事は無く、美術品だったり本だったりお酒だったり……例年通りの物もしっかり届いていた。

 エレナがこの様子だと、セリアーナへの贈り物も似たような物かな?

 この2人は日程も関係性も近すぎるから、エレナへの対応でセリアーナにどう来るのかが何となく見えてくる。

 セリアーナはサプライズには不向きだな。


 しかし、誕生日か……。


「結局大物倒しに行けなかったなー……」


 秋になると、冬ごもりに備えて山からクマとか大物が下りて来るんだが……ちょっとそれを狙いに行くのは厳しそうだ。

 まぁ、倒したからって皮を鞣したり製作するのに時間がかかるから、結局間に合いはしなかったが、それでも今年はプレゼントを用意できなかった。


「お前、まだ気にしていたの?」


 セリアーナもエレナも気にしていないようだが、俺の予定では用意できてたんだよな。

 ちょっと戦争ってイレギュラーが想定外だった。


「君からは普段から色々もらっているよ。【ミラの祝福】なんて王族でも気軽には受けられないものだしね。いつも感謝しているよ」


「ふぬ……」


 エレナの言葉を聞いて、小さな唸り声が漏れた。


 確かに言っている事はわかるが、アレはくっついているだけだしな……。

 いまいちプレゼントって感じがしないんだよ。


 まぁ、確かに今から用意出来るものは無いし……それならいっそ、久々の本気マッサージでもやっちゃおうかね!

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 安定の座敷わらしムーヴである 見た目よりとしかさねてるのも座敷わらしと同じだしな
[一言] 贈り物なのか、腹いせの鬱憤晴らしなのか よくわからないものの計画が始動しました まあ、基本は姫の心づくしなんですがね
[良い点] 辻ヒール並の気軽さで、いともたやすく行われる、えげつない(ほど効果のある)ミラの祝福。 そして、チップ並の気軽さで、振り撒かれる祈り。 セラさん、幸運の座敷わらしか!?
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