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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
20章・夏のリアーナも忙しい

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 俺たちが今いるのは、本館1階にある談話室だ。

 南館にも談話室があるし、こちらは専らリーゼルの客が通されることが多く、俺がその席に同席することは滅多に無い。

 だが……。


「いやー、やはりお子様は成長が早いですね。1年と少しで、レオ様は一段と大きくそして凛々しくなられておりますよ」


「ははは、そうだね。体だけじゃなくて、最近では簡単な単語だけれど口にするようになったし……成長は早いね」


 絵描きの言葉に笑いながら答えるリーゼルは、普段の姿と違って正装だ。

 そして、レオ君を抱いて椅子に座っている。

 レオも大人に囲まれながらも泣いたりせずに、むしろリーゼルの機嫌が良いからかご機嫌だ。

 

 そんな彼等を遠巻きにしながら、この機会を逃すまいと絵描きの弟子たちがスケッチしていっている。


 そして、そちらから少し離れた場所では、同じく正装のセリアーナがリオちゃんを抱いて2人掛けのソファーに座っている。

 そして、これまた弟子たちにスケッチをされている。

 レオに負けず劣らずリオもご機嫌だ。


 ちなみにリオは、その小さな手で俺の手をしっかりと握っている。

 俺は普段浮いているから、手が届くところにいるのが面白いのだろうか?

 先程から掴んだ手を動かしたりして、実に楽しそうだ。


「この子もお前がいると機嫌が良いのね」


「……そうなの?」

 

 いつも機嫌が良いイメージがあるんだが……。


「ええ。お前ほどでは無いけれど、人見知りなのかしら?」


「……オレは別に人見知りじゃ無いよ?」


「あら? その割にはどこか気疲れしたような顔をしているわよ?」


「ぬぅ……」


 間髪入れず返してくるセリアーナに、言葉を返せず小さく唸っていると、周りの絵描きたちの1人が申し訳なさそうに声をかけてきた。


「セラ様、申し訳ありませんが少々こちらを向いて貰ってよろしいでしょうか?」


「あ、はーい」


 返事をしてそちらを向くと、絵描きの止まっていた筆が再び動き始めた。


 ◇


 予想される開戦時期は秋の3月頃だが、リアーナの出兵は夏の3月の終わりとなっている。

 もうすぐだな。


 ルートは、まずゼルキスに向かって、そこから海路で王都まで。

 そして、そこで諸侯と合流した後に、開戦予定地まで陸と海を使って1月ほどかけて移動することになる。

 秋の雨季が移動期間に被っているため、どうしてもそうなってしまうらしい。

 だからこそ、相手側はこの時期を選んだんだろうが……はた迷惑な話だ。


 さて、それはともかくリアーナ領都は既に出兵の準備を終えて、後は彼等を送り出すための時間を過ごしている。


 参戦する兵たちには特別休暇を与えている。

 仕事から離れて、出発まで英気を養ってもらうんだ。


 もちろん、アレクたちやリーゼルもそうで、今この時間も屋敷では仕事が行われているが、彼等抜きで問題無いようになっている。


 んで、折角時間に余裕があるからと、新たな家族絵を描くことになった。


 毎年毎年描くような物では無いそうだが、リアーナにとって初めての戦争、そして出兵前夜ってことで、これはこれで領地の歴史になるし、その事を勧められて、リーゼルもそれを受け入れたからだ。

 リーゼルから聞かされたセリアーナも了承したし、俺も賛成した。

 前世でも、絵では無くて写真ではあるが似たような記録はたくさんあったし、大事な事だと思う。


 ただなー……俺も一緒に描かれるんだよ。

 前回は後から描き足したんだが、今回はおめかしして一緒にだ。

 いいのか……?

 俺がリセリア家とリアーナ領の歴史に混ざっていて……。


 俺が領主一族と領地の未来を憂えている間も、先程終わったばかりのスケッチの出来を確認するために、セリアーナとリーゼルは絵描きたちと一緒に話し込んでいる。

 その間の子供のお守は俺が任されているのだが……。


「せらー」


「きゃああああ」


 今日の俺は何も恩恵品を身に着けていないから、素の状態だ。

 幼児とはいえ、それが2人揃うと……。


「……ぉぁぁぁ!? せっ……セリア様」


 今日はテレサは執務室で仕事をしているから、救援は求められない。

 そして、この場に乳母も使用人もいるが彼女たちでは、立場上俺よりも領主の子供たちの方を優先することになる。

 そんなわけで、俺は今ソファーの上で2人に押し潰されそうになっている。


 この状況を脱するためにはセリアーナしかいない。

 そう考えて、彼女に救援を求めたのだが……。


「……はぁ」


 こちらを見て溜息を吐いている。

 そして、代わりにリーゼルが駆けつけてきた。


「レオ、リオ、落ち着きなさい。セラ君、済まなかったね。君達、2人を頼む」


 そして、2人を引きはがすとそれぞれの乳母に預けた。

 うむ……助かったぜ。


「お前……流石に1歳児には負けないでよ……」


 ようやくやって来たセリアーナはそんな事を言ってくるが、本気出せば俺だって負けないぞ?


「怪我させちゃ駄目でしょ……。それより、下絵はどうだったの?」


 その辺の事は言ってもどうせ聞き流されるだろうから、話題を変えることにした。

 何で今回も一緒なのかって疑問はあるが、絵の出来はちょっと気になるしな。


「ああ、中々の出来だったよ。今回は君も一緒だったし、前回よりも出来は良くなるんじゃないかな? これで僕も安心して戦場に向かえるよ」


「あまり縁起の悪いことを言わないで頂戴。帰って来る頃には完成しているし、2人に絵の方がいいと言われないように、気をつけなさい」


 所謂フラグ的な発言をしたリーゼルを、セリアーナがからかうような口調で窘めた。

 全くだね。

 絵と変わらない姿で帰って来てくれないと、皆困るよ。

 笑いあっている2人を見て、俺もそう思った。


 ……なるほどねぇ。

 絵を描くのってこんな意味もあるのかもな。

 良いことじゃないか。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・40枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 今年も今年とて、領主一家の肖像に当たり前のような顔をして写り込んでいるセラ! 実際、初対面だとセラのことをセリアーナの妹か姪くらいに勘違いしそうですよね。あんまり似ていないから姪の方かな?
[良い点] 貧弱セラさんかわいい [一言] フラグをへし折らないと( ˘ω˘ )
[一言] 一歳児に負けるセラちゃんかわいい。 といっても、平均体重8-9kgが二人だから、普通にかなり重いのよね。 ちびっ子だし、仕方ないよね
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