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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
20章・夏のリアーナも忙しい

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 暦の上だけではなく、外の気候もすっかり夏となったリアーナ。


 空調が効き始めた南館の廊下は、窓に面していない事もあって涼しいどころか、日が落ち始めた今は半袖だと肌寒いくらいだろう。

 お陰様で、先日仕立てた部屋着は大活躍だ。

 寸法はとっているし、ローテーション用に後数着仕立てるのもいいかもな。


「……ふぬ」


「どうかしたの?」


 俺の呟きを聞いたセリアーナは、足を止めて振り向いた。


「や、なんでも無い」


「そう」


 そう言うと、前を向いて再び歩き始めた。

 つい先程リーゼルの執務室での仕事を終えて、使用人たちも一緒に移動していたが、先程南館に入ったところで彼女たちは下がり、今一緒に廊下を歩いているのは、セリアーナにエレナとテレサ、そして、途中で合流したフィオーラだ。

 ちなみに一緒にこの服を仕立てたフィオーラは、今日は普通の服だ。

 ペアルックにはならなかったな!


 ところで……だ。


「今日はもう仕事終わりなの?」


 普段のセリアーナは、自室に戻ってからも細々した事を片付けたりと何かと仕事をしている。

 本格的に彼女がオフになるのは夕食後だったりする事もあるくらいだ。


 だが、今日はフィオーラが合流したりと、もう仕事は終わりな気配が漂っている。

 雨季明けの仕事は片付いたが、今は夏の2月頭に開かれる記念祭に向けて色々仕事が詰まっているはずなんだが、いいのかな?


「ええ」


 俺の疑問に、セリアーナは一言で答えた。


「ぬぬぬ……」


 いつもなら後一言くらい付けるのに……機嫌悪いのかな?

 首を傾げていると、俺の隣を歩くエレナがセリアーナの言葉を補足してきた。


「今日は君も含めて、皆で少し大事な話をするんだよ」


「……ほぅ?」


 この面子で大事な話ね……。

 なんかあったっけ?


 ◇


「こっちよ」


「お?」


 セリアーナの部屋に到着して、話をするために俺は応接スペースに向かったのだが、どうやら今日はそこでは無くて寝室で話をする様だ。

 多分他人の耳を気にしての事なんだろうけど、加護を持つセリアーナはもちろん、他の3人だって部屋の側に誰かいたら気付けるだろうに……よっぽど大事な事みたいだな。

 本当に何の話をするんだろう……と、首を傾げながら皆と一緒に寝室に入った。


 中に入るとセリアーナはベッドに、他の3人はベッド脇に置かれたソファーに座った。

 俺は……このまま浮いとこうかなと考えたが、セリアーナが自分の隣を叩いている。

 そこに座ればいいのかな?


「結構。では始めましょう……といっても、知らないのはお前だけね」


 隣に座るとセリアーナは満足するように頷き、そして話を切り出した。


「ぬ?」


 俺だけ知らない……?

 皆の顔をさっと見渡すと、なにやら苦笑を浮かべている。

 お祝い事って雰囲気じゃないが、あんまり深刻な話でも無さそうだな。


 そう思って気楽に構えていたが、ちょっと甘かった。


「戦争が起こるわ」


「ほー……せんそう……せんそっんぶっ!?」


 セリアーナがなんでも無いように言い放ったその言葉を、一瞬聞き流そうとしてしまったが、頭の中でその単語を反芻すると途端に理解し、ついでに叫びそうになった。

 

 が、ガシっと隣のセリアーナが俺の口元を掴み、塞がれてしまった。

 このために隣に座らせたのかな?


「周りに他の者はいないけれど、一応気をつけなさい。いいわね?」


 俺の目を見て、ゆっくり言い聞かせるようにセリアーナはそう言った。

 俺は、口元を掴んでいる手をペチペチ叩き、了解と伝える。

 それを確認して、セリアーナはようやく手を離した。

 結構力が入っていたけど、痕ついてたらどうしよう……。


「ふぅ……びっくりした。……戦争ってあの戦争?」


 一つ深呼吸をして呼吸を落ち着かせると、先程の言葉の意味を改めて問い質す事にした。

 戦争って言葉に他の意味があるか知らないが、少なくとも公爵夫人が軽々しく口にするような事じゃ無いはずだ。


「お前がどの戦争を指しているかはわからないけれど、国同士が争う戦争ね。大した事じゃ無いわ」


「……大事じゃない。なんでそんな落ち着いてるのさ」


「だから大した事じゃないと言っているでしょう……?」


「奥様。私が説明を行いましょう」


 持ってる情報やそもそもの前提が違っているのか、なんか話が噛み合わない……と思っているとテレサが間に入ってきた。


「そうね。任せるわ」


 セリアーナはそう言うと、俺の頬に当てていた手を肩に回した。

 別に逃げやしないぞ?


 ともあれ、俺もテレサが説明役になるのは歓迎だ。

 彼女なら俺に伝わる様に話してくれるだろう。

 セリアーナはなー……。


 このねーちゃん、自分が伝えたい事だけ言って、後は聞く側が理解しろってスタンスを取る時があるんだ。

 さっきのが正にそれだな。

 本人はその事に気付いていないっぽいのがまた……。

 今まで一番近くにいたのがエレナやアレクだし、察しがいいというか俺とは持っている知識が根本的に違うんだから、それでよかったんだろうけれど。


「なに?」


 横目に顔を見ていた事に気付いたのか、怪訝そうな顔でこちらを見てくる。


「なんでもなーい」


 全く……困ったもんだ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・8枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・40枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラが何かしようとしたら あからさまに戦術レベルでは圧倒的優位だけど 回りがやらせなさそうだよねえ
[一言] たしかセラは参戦させないとか言ってたような気がするなぁ やられたらいやな戦術がいろいろあるんだよな 味方に祈り、敵に毒、とかばら撒かれるのはいやだし、限界高度からダンレムで司令部とか打ち抜か…
[一言] こういうところが小市民な蛇姫なのであった( ˘ω˘ )
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