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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
19章・春のリアーナは忙しい?

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 先日アレクを筆頭に、外の調査に出ていた2番隊の面々が帰還した。


 そして、数日の休暇を終えた彼等は、再び領都を拠点に2番隊の任務に復帰したのだが……。

 そうするとどうなるかっていうと、街の2番隊隊員の数が単純に増えて、その彼等に余裕が出来る。

 今までダンジョン関連の任務を優先していた2番隊が、一の森を始めとした魔境の任務にも従事するようになる。

 ってことはだ……。


「ぬふふ……お久しぶりじゃーないか! オオザル君!」


 俺がダンジョンに潜る余裕も出来るってことだ!


 リアーナダンジョン下層に到着して、最初の広間。

 そこで、毒をバラまき続けること数十分。

 広間の魔物の大半が動くことが出来ず、地に倒れ伏した頃、奥の通路から姿を現したオオザル君。

 状況を把握するためか、辺りを見回しながらノソノソ歩いている。

 ……お?

 足元に転がっていた小岩を握りしめたな?


 毒によって陥った仲間の危機に駆け付ける実力者と、それを羽とか尻尾とか生やして、空中で満面の笑みを浮かべながら迎え撃つ俺。

 ……我ながら悪役過ぎるな。


 まぁ、いい。

 既に毒に耐えた魔物は倒しているし、オオザルに集中だ。


「……よしっ! 行くぞー!」


 既にかかっているが、念のため再度【祈り】を発動し直して、【浮き玉】をオオザル目がけて発進させた。

 高速で突進して、オオザルがその手に握った小岩を投げつけて来る前に……。


「よいしょーっ!」


 オオザルの手前で【浮き玉】の軌道を上に逸らして、すれ違いざまに燃焼玉を頭部目がけて投げつけた。

 もうこれは慣れたもんで、外す様なことは無い。

 直撃した燃焼玉は、オオザルの体内にある核に反応して、一気に燃え上がった。

 そして、通過する事10メートルほど。

 そこで振り返り、炎にもがき苦しむオオザルを視界にとらえる。

 完璧完璧。


「よし。お次は……!」


【ダンレムの糸】と【蛇の尾】と【猿の腕】を発動した。

 そして、【足環】で【浮き玉】を掴んでいたのだが、一旦放してお尻で座り直すと、発動して大きな弓に形を変えた【ダンレムの糸】を掴むと……。


「ほっ!」


【緋蜂の針】を発動して弦を一気に引き絞り、オオザルが火を消して再び動き始める前にぶっ放した。

 放たれた矢は地面を抉りながらオオザル目がけて一直線に飛んでいき、何かに直撃したような轟音が広間に響く。


 辺りは舞い上がった土砂で視界が遮られているが、お構いなしにその中に【影の剣】を発動しながら突っ込んだ。

【妖精の瞳】とヘビたちの目で、土煙が立ち込めていようと俺には問題無い。

 ここまで追い込めば、後はもうただの作業だ。


「はっ!」


 俺は、炎上と背に受けた矢のダメージで蹲ったままのオオザルの首めがけて、右手を振り下ろした。


 ◇


 オオザルを倒した後は、毒で動けなくなった魔物たちをヘビたちと共に仕留めていった。

 大半はヘビたちに任せたので、そちらでは聖貨を得られなかったが、オオザルはしっかり1枚出してくれたし、雑魚たちからも聖貨を得られなかったけれど、ヘビ君たちの成長に繋がっているしな。

 今日の稼ぎは十分だってことで、狩りを終えて帰路につく事にした。


 中層上層そして浅瀬と戦闘をする事無く一気に通過して、ダンジョン入り口前のロビーに到着すると、そこで出発前の打ち合わせをしている連中と挨拶を交わしながら、地上の1階へと進んで行った。

 先程の狩りでいくつかの遺物を回収しているが、混んでたし今日は換金はいいかな?


「セラさんよ……」


 1階の受付で帰還の報告を終えた俺に、受付前のホールでたむろしている冒険者の集団の1人が声をかけてきた。

 一見ダンジョン探索というよりは魔境探索の装備だし、今日は何かの依頼の集まりかな?


「ほいほい。何かな?」


 知った顔はいないが、ここで何か揉めるようなことは無いだろうと近付いていくと、俺を呼んだ彼が一言「悪いな」といって声を落として話し始めた。


「ジグハルトが数人の兵を連れて街を離れたと聞いたが……本当か?」


「あぁ……」


 彼が言ったことは事実だ。


 つい先日調査から帰って来たばかりのジグハルトが、間を置かずに再び少数の兵を連れて街を発つ……。

 これだけの情報だと、何か異常事態かと思っても不思議ではない。

 魔境での狩りをするのなら、その何かを知っておきたいんだろうな。


 だが……。


「調査だとちょっと暴れたりないからって、魔境のもっと奥の狩場に兵の訓練も兼ねて出て行っちゃったんだよね」


「……そうなのか」


「……そうなのよ。参っちゃうよね」


 彼は気の抜けたような顔をしたが、有り得る……とでも思ったんだろう。


「……そうか。いや、ダンジョン帰りに悪かったな」


 そう言うと仲間の下へと戻って行った。

 恐らく数日中に今彼に伝えた事が街に広まるだろうな……。


 ちなみに、俺は彼にちょっと嘘を吐いた。

 ジグハルトが街を発った理由は、以前彼が魔境の奥で発見した竜種。

 俺はオタマドラゴンと名付けたが、それの監視に向かったんだ。


 確かに夏に森の中を移動するのは大変だろうし、夏の2月には記念祭もあるからその期間は街にいることになるだろうが、何も帰って早々に行かなくてもいいだろうにと俺は思う。

 別に秋だったら雨季までの間は移動も楽だろうにね?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・6枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 秋にでも狩りにいくのかな? ドラゴンステーキ、マンガ肉にセラは憧れたりしないのかな。
[一言] アカメくん達の核食は倒した後でも良かったのでは? 別に聖貨チャンスを逃してまでトドメを刺させる事はないんじゃないかと思いますけど…生きてる方が美味しいとかあるのでしょうか? グルメかなw
[一言] 懸念が早く片付くならそれはそれで 狩るのに準備が必要な竜種ならなおさら まあおっさんが一発ぶちかまして終わるのがベターですかね?
感想一覧
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