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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
19章・春のリアーナは忙しい?

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2月4日にドラゴンノベルス様より2巻が発売されます。

また、活動報告で簡単にですが、記事を上げています。

どうぞご覧あれ。

 室内にキュッキュキュッキュと何かを磨く音や、カチャカチャと硬い物が触れ合うような音が響いている。

 そんな中、「セラ」と俺を呼ぶ声も。


「そいつを取ってくれ」


 ジグハルトはそう言うと、こちらを向きもせずに手を伸ばしてきた。


「これ? ほい」


 一体どれを指しているんだ……と思わなくもないが、多分これだと思う。

 俺は【浮き玉】を磨く手を止めて、すぐ目の前にあったブラシを取ると、それを彼の手に置いた。


「おう」


 ジグハルトは短くそう答えると、再び作業に戻った。


「セラ、俺にもだ」


 そして、今度は彼の向かいに座るアレクも、同じく手をこちらに伸ばしてきたが……彼の作業的に求めているのはブラシじゃないだろう。

 使いそうな物は……これかな?


「これ?」


「おう。悪いな」


 俺が渡した道具は、千枚通しのような先端が細く尖った物だ。

 どうやら正解だったらしいが……。


「あのさぁ……アレとかソレとかじゃ、わかんないよ? ちゃんと名前言おうよ」


 同じテーブルを使っているが、彼等の前には大きな布が敷かれていて、その上で作業をしている。

 そして、俺の前には道具が並べられている。

 だから、俺が道具を取ること自体はいいんだ。

 まぁ……正式名称は分かんない物ばかりだけれど、それでももう1つくらい単語を付けてくれてもいいと思う。


「んー……? ああ、悪い悪い」


 2人は先程と同じく、こちらを見もせずにそう言って作業を続けている。

 言葉に反して全く悪びれた素振りを見せないな……。


 ふぬっ……と鼻息を荒くしていると、隣のテーブルのフィオーラが口を開いた。


「セラ、貴女もこっちに来たら? 【浮き玉】はもう十分磨けているでしょう……?」


「ぬ……。まぁ……そうだね」


 そちらを見ると、女性陣が優雅にお茶をしている。

 一方こちらは、アレクとジグハルトが黙々と作業をしている。

 大違いだな。


 まぁ、こっちの作業は俺の恩恵品の手入れだから、あんまり悪く言っちゃいけない。

 折角のお茶のお誘いだが、俺も彼等のサポートという重要な役目が……。


「セラ、こっちは勝手にやっておくから、お前はそっち行っていいぞ」


「……ぉぅ」


 これは……あれかな?

 戦力外通告?


 ◇


 2週間ほど続いた春の雨季は昨日ようやく終わりを迎えた。


 今日は久しぶりに気持ちのいい青空が広がっていたのだが、だからといってすぐに外に出られるようになるわけではない。

 貴族街や中央通りを始めとした大通りを除けば、舗装されている道はほとんど無いし、街の外の街道なんてもっての外だ。

 地面が乾くまで数日は待たなければいけない。


 ちなみに、その数日間は騎士団では主に雨季明けの調査の準備期間に充てている。

 毎年のことではあるが、やはり2週間ほどもの間大雨が降り続けるわけだし、何かしら被害が出てしまう。

 街中や街道の調査は1番隊の仕事だが、そこから奥に入った場所は俺たち2番隊の範囲だ。


 ってことで、その話をしようと今日はアレクやジグハルトも一緒に談話室に集まっている。

 隊長のアレクにその副官のジグハルトとフィオーラ。

 そして、副長の俺に副官のテレサ。

 物凄く身内だけで構成されている気もするが……まぁ、いいだろう。


 だが、実際やる事なんて領都の西側を範囲を決めて見回る程度で、それは割といつもの任務と変わらなかったりもする。

 そのため、今日のこの集まりは実質ただのお茶会って感じになっていた。


 にもかかわらず、何でこんな風に恩恵品の手入れが始まったかと言うとだ……。

 雨季の間外に出る事が無くなるため、俺は、傘の整備をフィオーラに頼んでいた。

 アレは武器なのか魔道具なのかよくわからない代物だし、どちらにも精通した職人じゃないと整備が難しい。

 そのため作ったゼルキス領都の工房以外では、彼女くらいしか任せられないんだよな。

 幸い素材は俺がガチャで出しているし……。


 んで、フィオーラは今日それを仕上げて持って来てくれて、ちょっとその話を触れたんだが、殿方2人が触発されたのか、恩恵品の手入れをするとか言い出した。

 まぁ、触発……というよりは、お茶会は退屈しそうだから口実にした感じかもしれない。

 恩恵品も手入れの道具も【隠れ家】に置いてあるし、俺としても断わる理由は無いから了承したわけだが……排除されてしまった。

 その代わり、あっちで野郎2人は楽しそうに手入れをしている。

 おのれ……!


「奥様もセラの運動に参加するようになったらしいわね」


「ええ。思っていたよりも悪くなかったわ。貴女もどう? 最近はやっていないでしょう?」


「気が向いたら……かしら?」


 さて、フィオーラの膝の上でアレクたちを睨んでいたのだが、女性陣はストレッチについて話をしていた。

 セリアーナも加わったからな……これで残るはフィオーラだけか。

 彼女は地下研究所まで徒歩で移動しているので、運動不足ってことは無いだろうが、体全体を動かしているかって言うとそうじゃないし、ストレッチは悪くないと思う。

 彼女もたまに軽いものは行っていたが、もう少しがっつりやってもいいんじゃないかな?


「用具を揃えたりしないといけないわね……。夏までに仕立てられるかしら……?」


「そう手の込んだものでは無いし、大丈夫でしょう。それよりも、マットよね……」


 フィオーラも気が向いたら……とは言っているが、ストレッチ用の服のデザインを話したりと、やる気はあるようだしな。

 だが……ヨガマット。

 俺のアレは特注で、同等の物はそうそう手に入らないし、あげないぞ!


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] とっておきのヨガマット!
[一言] あれそれで何となく読み取れるの見ると 賢い子評価も妥当だよなあって思う
[一言] 本日のお膝はフィオーラ、祝福の回数少な目だしな セラ「祝福するね、少しかさかさだ歳のせiぐぎゅ」 フィオーラ「悪いお口は閉じなさいね」
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