671
2月4日にドラゴンノベルス様より2巻が発売されます。
また、活動報告で簡単にですが、記事を上げています。
どうぞご覧あれ。
「相変わらず、よー降るねー……」
今日も朝からザーザーと雨が降り続いている。
山に森に川に、俺は見た事無いけれど、森の奥の湖等々……リアーナは水源が豊富だし貯水量も多い土地だ。
今年も水不足の心配は無いだろう。
そして、この屋敷も事前にしっかりメンテナンスをしていたし、雨漏り等の問題も起きていない。
雨は後1週間ほど続くだろうが、まぁ……上手くいくだろう。
「そうですね。幸い、リアーナだけでなくどこの領地も大きな事故は起きていない様ですし、農作物にも影響は無いでしょうね。例年通りです」
共に窓の外を眺めるテレサの言葉に、「ほーう」と頷いていると……。
「待たせたわね」
セリアーナの声が飛んできた。
いつもならこの時間にはリーゼルの執務室にいるのだが、今日は部屋を出る直前に彼女宛の手紙が数通届いた。
なんでも領内の貴族の奥様方からの手紙らしく、返事を書くのは男性がいないこの部屋の方がいいだろうって事で、先に済ませることにしていたのだが……。
「いつもより時間がかかってたね。ややこしい内容だったの?」
セリアーナにしては返事を書くのに少々時間がかかっていた。
いつもならほとんど時間はかからないのに、30分くらいは経ったんじゃないかな?
「いくつかの家の結婚話ね。一昨年と昨年に貴族学院に通っていた子たちが、向こうで相手を見つけて婚約していたのよ。報告は受けていたけれど……順調に話は進んだようね」
「ほうほう」
セリアーナたちの場合はちょっと違ったけれど、お貴族様にとっては結婚の鉄板ルートだな。
「家からの正式な連絡はリーゼルの下にも届いているはずだし、向こうでまとめて出して問題無いわ。それじゃあ……遅くなったけれど行きましょう」
そう言うと、セリアーナは返事を書いた手紙をエレナに渡して、ドアに向かって歩き始めた。
◇
さて、セリアーナと手を繋ぎながら、リーゼルの執務室を目指してテクテク歩く俺たち。
俺の歩幅に合わせてもらっているので、大分ゆっくりなのが少々申し訳ないが、そこは我慢してもらっている。
まぁ、適当に益体の無いお喋りをしながらで、気まずい空気にはならないし、問題無しだ!
「ところで……お前、今日は随分身軽ね」
「でしょ」
今日の俺の荷物は、先日無事届いたクッションの一つ、クマさんクッションだけだ。
俺が持って行く物なんて精々本くらいだが、それも数が増えると重くなるし何より量を持つのは難しく、リュックに入れて背負って運んでいた。
テレサとエレナも一緒に移動しているし、彼女たちにお願いするって案も考えていたのだが……、先日の冒険者ギルドへのお使いで、帰りにモニカに背負ってもらった事がバレて、他人の助力は禁止されてしまっている。
まぁ、どうせ執務室に着いたら後はゴロゴロするだけだし、持って行ってもいいんだが……。
「昨日セリア様が席を外している時に、旦那様の部屋の本棚を色々見てたんだけど、またちょっと新しいのが入ってたんだよね。読んでもいいって言うから、今日はそれを読むつもりなんだ」
俺が見つけたのは、まだここがゼルキス領でルトルと呼ばれていた頃の魔物の情報を纏めた本だった。
30年近いデータが記されていて、3冊セットだった。
内容も、他の資料と一緒に読むだけでも、数日は潰せそうな充実具合だった。
楽しみだなー。
「ん?」
読書タイムを楽しみに、ぬふふと笑っていたのだが……。
「どうしたの?」
「や、なんかシロジタが……。どしたん?」
南館から本館にさしかかったところで、ここまで服の下で大人しくしていたシロジタが何かに気付いたのか、袖から体を伸ばしている。
外を見ている様だが……。
「……ぬぬぬ? わからん」
俺もヘビたちの目を発動してそちらを見てみたが……、ここからでは何を見ているのかはわからないな。
【妖精の瞳】を発動したらまた別かもしれないが、流石にそこまでするほどじゃない気がする。
屋敷の正門の方だが、この雨じゃお客さんってことも無さそうだが……。
「外ね…………。ギリーかベイルかどちらかはわからないけれど、屋敷の門前の詰め所にいるわね。それを見ているんじゃなくて?」
セリアーナは加護を発動したのか、外の様子を教えてくれた。
「……あぁ、なるほど」
オオカミのどっちかが近くにいたのか。
んで、それに反応しちゃったと……。
温厚なアカメとミツメに対して、シロジタはちょっと好戦的というか、そういうところがある。
勝手に攻撃をするようなことは無いが、近くに面識のない腕の立つ人間がいると、威嚇とまではいわないが姿を見せて睨んだりすることがある。
もっとも、2度3度顔を合わせるようになると、そんな素振りは見せなくなるのだが……魔物相手だとどうも違う様なんだ。
未だに、オオカミ2頭に対しては対抗意識を持っている。
他の2体と違って、シロジタは群れを率いる魔物と共生していたからかな?
「シロジタ、問題無いよ? 元に戻んなさい」
そう命ずるも、外が気になるのか中々入ろうとしない。
もう一度言うと、ようやく大人しく戻っていった。
普段は言う事をちゃんと聞くんだが……。
ぬぬぬ……ちょっとヘビ君たちと時間を設けて話し合ってみるべきかな?
「ふん……。まあ、お前の抜けている部分を補っていると思えば悪く無いわね」
「セラは少し警戒心が薄い所がありますからね……」
だが、躾けに悩む俺に対して、セリアーナたちはむしろ評価を上げている様だ。
確かにヘビ君たちは俺の護衛も兼ねているわけだが……それにしても、抜けてるってなんだ!?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




