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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
19章・春のリアーナは忙しい?

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ドラゴンノベルスHPにて、2巻情報が!

どうぞご覧あれ。

「…………ぉぉぉ」


 中央広場の貴族街にほど近い、ちょっとお洒落なお店が並ぶエリア。

 そこをガタゴト馬車に揺られながら窓から覗いているが、通りを出歩く者も貴族の屋敷で働く使用人なのか、制服姿の者ばかりだ。

 この漂うハイソな雰囲気。

 俺だけなら近づこうとも思わないな……。


「貴女、来たことは無いの? たまに1人でも街に買い物に出ているでしょう?」


 向かいの席に座るフィオーラは、物珍しそうに外を眺めている俺を見て、不思議そうな顔をしている。

 確かに俺は一人で街に出る事もある。

 だが……甘いな。


 それを説明しようとしたのだが、俺が口を開く前にテレサがフィオーラに向かって話し始めた。


「フィオーラ殿、姫は冒険者街や職人街は出入りしますが、こちらにはあまり足を運ぶ機会が無いのですよ。たまに来ることがあっても、こちらでは無くてここより先に向かう事が多いですから……。そもそも普段は上空を移動していますからね」


「ああ……言われてみればそうね」


 テレサに全部言われてしまったが、この辺はまだまだ貴族街寄りで、中央広場といっても端っこだ。

 俺が普段利用するエリアはもっと街の中央寄りの場所で、その辺は平民がメインな上に様々な職業の者が利用している。

 ここと違って、もっと砕けた雰囲気なんだよな……。


 領主の屋敷で生活して、この国の天辺を始め高貴な方々と付き合いのある俺だが、如何せん根っこの小市民な所は変わらない様で、なんか……落ち着かないんだよ。

 意図的に避けているわけじゃ無いが、どうしてもこの辺は選択肢に入らないんだよな。


「まあ、今日は私に付き合ってもらうわよ」


「うん。……別に嫌だってわけじゃ無いからね?」


 自分だけだとまず来ない場所だ。

 折角の機会だし、色々楽しませてもらおう。


 再び窓に張り付いていると、程なくしてお目当ての店が近付いたのか馬車が速度を落とし始めた。


 ◇


 やって来た店は、お高い雰囲気漂う服飾店だ。

 見本らしきドレスが店内に並んでいて、それと合わせる帽子やアクセサリーなども一緒に展示されている。

 奥には工房も併設されている様だし、オーダーメイドの服も扱っているんだろう。


 とはいえ、この街で暮らす上の方の貴族なら、店には買いに来ずに自宅に呼んで仕立てるだろうから、この店はどちらかと言うと裕福な平民向けのお店なんだろう。

 俺たちが店に入るなり店主らしきおっさんがやって来て、フィオーラに頭を下げるとそのまま彼が案内に着いた。

 他にも数組お客さんがいるが、それを一切気にせず揉み手をせんばかりの勢いだ。


 店主や、手慣れた様子で店内を進む彼女を見る限り、ここには何度も自身が足を運んでいるんだろう。

 フィオーラんところは、使用人を雇っていないからな……。

 店にとっても、こういう風に本人が直接訪れる上客って感じなのかな?


「テレサ様にセラ副長もご一緒とは、本日はどういったご用件でしょうか?」


 店主はニコニコとした笑みを浮かべて奥に手招きをすると、女性の職人を呼び寄せた。

 商談そのものは店主が行うが、他は彼女たちに任せるんだろう。

 新たに2人の客を連れて来たし、デカいビジネスになるかも……とか考えてるのかな?


 ただ、俺も今日ここで何を買うのかは知らない。

 俺の部屋に飾る物を……って話だったし、てっきり雑貨屋か何かだと思っていたのに、服屋だもんな。

 ここで買う物……思いつかない。

 布繋がりでカーテンとか?


 何を買うんだろうと、フィオーラの背中を見ていると……スっと腕を伸ばして、マネキンの胴体部分のみで服を飾るのに使う……トルソーだっけ?

 工房の入口の手前に並べられているそれを指した。


「ごめんなさいね? 今日は注文じゃないのよ。アレを頂戴」


「アレ……で、ございますか?」


 少々どころか大分予想と違っていたのか、先程までの勢いはどこに行ったのか、随分と気の抜けた声で、店主は答えた。

 まぁ……服を買いに来た上客と思っていたら、備品を買いに来たんだもんな。

 そりゃ、こんな声を出すか。


「テレサ、いくつあれば足りるかしら?」


 だが、その店主を無視してフィオーラ達は話を進めている。

 ……いくつって、たくさん買うのかな?


「そうですね……。4つ……いえ、5つあれば大丈夫でしょうか」


 数を聞かれたテレサは、指を折りながらそう答えた。


 5つ……店の中を見渡すと、服を着せられたトルソーは4つある。

 ……店より多く置くのかな?


「使うから、今日中に届けて頂戴」


「は……はい。その、お届け先はどちらになさいますか? フィオーラ様のご自宅でよろしいでしょうか?」

 

「いえ、ご領主様の屋敷よ。あて先はテレサでいいかしら?」


「ええ、出来れば早めに届けて欲しいですね。店主、頼みましたよ」


「っ!? ええええ! お任せください!」


 2人からの結構な無茶ぶりに、だがしかし……店主は張り切って答えている。


 うーむ……やっぱりそれだけ領主の屋敷に商品を届けるってのは魅力的なのかな。

 でも、トルソーってこの店じゃなくて、どこかの木工の工房で作った品だよな?

 まだまだ、その辺の力学はわからんね。


「あっ……、お茶をご用意いたしますが……」


「結構よ」


 商売の難しさに腕を組みながら首を傾げていると、この店での用はもう終わりらしい。

 店主がもてなそうとするも、2人は既に背を向けており、一言で断ってしまった。

 声の感じから怒っていないのはわかるが、なんとも連れない対応だ……。


「セラ、ここは終わりよ。次に行きましょう」


「あ、うん……。次もあるんだね」


 最初のこの店で既に予想外だったのに、次もあるのか……。

 どこに行って何を買うんだろう?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 2巻発売おめでとうございます! [一言] 表紙のおっさんはもしかしてルバン? 他に杖持つようなおっさんは知らないし
[一言] 店の備品を、店にある以上に持って来い。 まさに貴族買い
[一言] 上げて下げてまた上げる 店主さんどんな気持ちかなあ
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