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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
19章・春のリアーナは忙しい?

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「……あれ? セリア様も来るの?」


【隠れ家】を発動したはいいが、いざ中に入ろうとするとセリアーナが肩に手を乗せてきた。

 ついて来るのかな?


「ええ。私が扱いやすい様にするわ」


 少々気になる言い方ではあるが……どうやら手伝ってくれるようだ。


「……ふぬ。まぁ、手伝ってくれるなら助かるよ。んじゃ、入るね」


 そう言って、木箱共々セリアーナと中へ入った。


 ◇


「……お前、さっきまで片付けていなかった?」


【隠れ家】に入ってリビングにやって来たセリアーナが最初に口にした言葉がこれだ。

 どうにも彼女の目には部屋が片付いていない様に見えるらしい。


「色々使いやすい様にしたんだよ?」


 リビングのテーブルやソファー周りに本を重ねて、ついでにいつでも寝転がれるように掛け布団も用意した。

 その分寝室には、仕分けした魔物の素材だったりアカメたちのおやつ用にキープしている、ダンジョン産の魔物の核が入った箱を置いている。

 少々手狭に見えるかもしれないが、普段から寝るのはセリアーナの寝室だし、長距離移動時に【隠れ家】で宿泊する際は、テレサはリビングで寝て寝室は俺しか使わない。

 これで十分なのだが……。


「今度片付けるわよ」


 セリアーナはこの機能美をわかってはくれず、そう一言だけ告げると、玄関まで引き返した。


「お前も運びなさい」


 そして、向こうから言葉を投げてくる。

 何気に彼女もここのキッチンを使う機会が多いからか、俺より張り切ってるんじゃないか?


「はーい。ほっ!」


 返事をして、俺も玄関へ向かいながら【祈り】を発動した。

 すれ違ったセリアーナは、軽々と食器の入った木箱を持っている。

 俺も負けていられんな。


「よいしょっ」


 まずは一つの木箱に尻尾を巻きつけた。

 そして、もう一つの木箱を持ち上げると、【猿の腕】で補助する。

 うむ。

 尻尾の方は引きずっているが、これなら二つ同時に運べるな!


 床付近まで下げていた【浮き玉】の高度を少し上げて、リビング手前にあるキッチンに向かった。

 そちらでは既にセリアーナが梱包を解いて、食器を出してシンクで洗い始めている。


 このねーちゃん、妙なところで家庭的だよな。

 出したらそのまま棚に入れるのかと思ったけれど……。

 ごめんなさい……と、心の中で謝っていると、セリアーナは、何やらこちらを呆れた様な目で見ていた。


 また考えを読んだのか……?


「お前……もう少し人間らしい動きをしたらどうなの?」


「ぬ?」


 呆れていたのは俺の姿の方だったか。


「コレ便利なんだよね」


 腕力の無い俺にとって、この尻尾と腕は必要不可欠だからな。

 今や自分の体と大差なく使いこなせている気がする。


「……まあいいわ。それよりも、洗ってしまうから中身を出して頂戴。お前は箱を向こうの部屋に持って行きなさい」


 何か色々言いたかったようだが、それを飲み込んで、指示を出してきた。

 セリアーナはこのままこちらで鍋やフライパンも洗ってくれるようだ。


「ほい」


 それなら、俺はさっさと木箱を荷物置き用の部屋に持って行きますかね。

 中身は抜いているし……3箱同時にいけるかな?


 ◇


「お疲れ様です。片づけは済みましたか?」


 執務室に残っていたテレサは、その間も仕事をしていたようだが、その手を止めて【隠れ家】から出てきた俺たちを出迎えた。


「荷物は片付けたけれど、部屋自体は片付いていなかったわね。今度また片付けをしないと……」


「いや、アレでいいんだよ?」


「私が嫌なのよ。収納出来るスペースはあるんだから、ちゃんと片付けるわよ」


「ぬぅ……」


 俺はアレが使いやすいんだけどな……。

 テレサは、笑いながら俺たちのやり取りを見ていたが、お茶を淹れに部屋のキッチンに向かった。

 そして、セリアーナはソファーに向かう。

 相変わらずクロネコの方を選んでいるが……そろそろ以前注文したクッションも届くはずなんだよな。

 魔物の人形も注文していたが、出来るのはいつ頃になるかな?


「あ!」


 職人たちの事を考えていると、ロブの店での出来事を思い出した。

 折角だし、今のうちに聞いておくかな。


「どうしたの?」


「うん。今日ロブさんの店での事なんだけどさ……」


 その時のことをセリアーナに説明すると、彼女は一つ「ああ……」と呟いた。

 何か心当たりはあるようだが、答えるのに少し間があった。

 珍しいな……。


「西側のいくつかの小国との間で運送に滞りが生じているそうなのよ。帝国や連合国との間には何も問題は生じていないし、冬頃には解決するはずだから、気にすることでは無いわ」


「……そうなの?」


 大陸西部の半分くらいを占めているその2勢力との関係に問題が起きていないのなら、あんまり大した問題じゃないのかな?


「ええ。商業ギルドには多少は情報が入っているはずだけれど、近いうちにリーゼルから話をさせようかしら……」


「そっかー……」


 まぁ、船便とかまだまだ新しいルートを使っているし、何かしら小さな問題くらいは起きても不思議じゃない。

 何が起きているのかは知らないが、セリアーナたちも把握できている様だし、俺がどうこう考える事じゃないのかもな。

 あの職人たちも、何が起きているのかわかれば安心できるだろう。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラさんそのうち腕が4本になったり尻尾が二本になったりしないかな
[一言] セラちん一度ごろごろモードになるとソファーから一歩も動きたくないタイプかな
[一言] 片づけできない人の台詞なんだよなぁ
感想一覧
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