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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
19章・春のリアーナは忙しい?

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 何やかんやありつつも、身だしなみはしっかりと整えられて、無事解放された。

 むしろいつもより念入りに整えられたかもしれない。

 普段俺の髪はテレサに任せてあるが、彼女は俺の好みをよくわかっていて、あまり手間のかかる髪形は選択しない。

 他所からの客でも来ない限りは、後ろで簡単に結んだだけってのがほとんどだ。


 だが……今の俺の髪は何というか……編み込み?

 三つ編みを何房も作って、それを後ろでグルっと輪っかにしたり……サイドを角髪のようにしたり……。

 少し前に王都経由で入ってきた流行がリバイバルしたんだろうか?

 頭のてっぺんら辺が引っ張られているような感じがして、落ち着かない。

 解きたいところだが、折角やってくれたのに悪い気がするし……そもそも解き方がわからない。


 あきらめるか。


 少々落ち着かないが、変な髪形ってわけじゃ無い。

 このままセリアーナの所へ向かおう。


 いつも通り【浮き玉】でふよふよと屋敷内を進んでいるのだが、時折すれ違う使用人たちが俺を見てギョッとしている。

 そんな変な髪形かな……?


 首を捻りつつも移動は止めず、リーゼルの執務室前までやって来た。

 俺の接近を察したのか、既にドアは開けられているが……。


「おつかれさまー。セリア様中にいる?」


 一応確認だ。

 その言葉に彼は頷くと、苦笑を浮かべながら口を開いた。


「奥様がセラ殿の事に気付かれたよ。今はもうお客も帰られたし、入って構わないそうだ」


 そう言って、中に促された。


「おじゃましまーす」


 執務室の中は彼が言うようにもう客はおらず、文官達が書類の片付けなどをやっていた。

 どうやら午前の仕事は終了のようだな。


「いらっしゃいセラ君。森に出ていたそうだけれど、もう戻って来て良かったのかな?」


「朝のうちから何か皆頑張ってたみたいで、オレが狩りをする場所が無かったんだよね……」


「春だからね……。そのうち落ち着くさ。さて、僕らはこれから昼食にするけれど、君も一緒にどうかな?」


 リーゼルからのお誘いにセリアーナを見ると、頷いている。

 この流れはいつもの事だな。


「ん。ご一緒します」


 そう返事をすると、片付けが終わるまでしばらく待っていてくれと、セリアーナの方を指した。

 そちらを見ると、セリアーナが呆れた様な目をして手招きしている。

 彼女側の方もまだ片付けをしているし、俺も手伝うかな。


 ◇


 さて、片付けを終えた後は、食堂に移動して皆で昼食をとった。

 いつもと変わらない面子で、武官と文官が席を共にしていた。

 領内の街道の警備状況だったり、商人を始めとした住民の移動等、アレコレと話しては互いの情報の擦り合わせを行っている。


 相変わらず皆真面目だ。

 それは食事が終わってからも一緒で、出されたお茶を飲みもせずに、今も話を続けている。


 一方そんな彼らとは違って、俺は呑気にセリアーナたちに狩場が無かったことなどを愚痴っていたのだが、ふと思い出した事が一つ。


「あ、そうだ! ね、旦那様」


 彼らの話もひと段落している様だし、折角だしその事を訊ねてみるか。

 テーブルを挟んで向かい側にいるリーゼルを呼ぶと、すぐに振り向いた。


「うん? なんだい?」


「オオカミってまだ名前を付けないの?」


 冬に捕らえたオオカミ君たちではあるが、契約する主は決まり、冬の間にある程度の訓練を施している。

 今やっているのは、他の隊員の指揮下で行動できるかどうかだ。

 今朝俺が森で遭遇したのも、その訓練の最中だった。


 1番隊預かりになったウマの方はちょっとわからないが、オオカミ君たちの方は順調だと思う。

 ただ、まだ名前が付いていないんだよな。

 主が決まったら、彼等が決めるんだと思っていたが、名前はリーゼルが付けることになったらしい。

 まぁ……あのオオカミは、捕らえた冒険者からリーゼルに献上されたわけだし、そう考えたら別におかしなことでは無い。

 だが、そろそろ名前を付けてもいいんじゃないかなとは思う。

 未だに、ソイツとかコイツって呼ばれているもんな。


「ああ……。まだ訓練は続いているからね。全て完了したら正式に隊を振り分けるんだ。その際に名前も一緒に授与する事になっているね」


「あぁ……なるほど」


 俺にとっては気のいい兄ちゃんだし、割と気安い関係ではあるが、他の者にとってはそうじゃない。

 現王の直系で公爵様……高貴なお方だ。

 ましてや、今この場にいる様な領地の幹部陣ならともかく、一般兵ともなるとそうそうお近づきになれない。

 名前を付けるだけなのに、わざわざそこまでしなくても……と思わなくもないが、箔付けのためにも儀式は大事か。


 納得してほうほうと頷いていると、何かを感じたのか隣に座るセリアーナが、エレナたちとの会話を中断して俺に顔を向けた。


「お前、勝手に名前を付けたりしていないでしょうね?」


「だ……大丈夫だよ?」


 その言葉に一瞬ギクっとしてしまったが、問題無い。

 心の中では勝手に名前を付けているが、口に出したことは無い。

 セーフだセーフ。


 セリアーナは俺の目をしばし覗き込んでいたが、どうやら嘘ではない事は伝わったらしい。

 そう……と小さく呟くと、またエレナたちとの会話に戻った。


 危ない危ない。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] このまま敵味方の吠え方が気になって、狩人との訓練提案するのかな。セラも一緒に同伴しそう。
[良い点] 更新乙い [一言] 名前はつけてないけども ボスっぽい様なナニカにはなってるよ!!
[一言] クツシタとかハチワレとか内心で名前つけてそうw 奥様は鋭いなあ、うっかり呼ぶ前で良かった。 魔王種装束のセラが呼んだら間違いなく刷り込まれるwww
感想一覧
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