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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
19章・春のリアーナは忙しい?

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 先程の彼等と別れて、再び俺は森の奥を目指して移動を開始した。

 なんだかなー……狩りに来ているのに、獲物がいない。

 さっきのも戦闘に参加はしたけれど、全部譲ったし……。

 領民が魔物に悩まされないのは良いことだろうけれど……俺の分が残っていないのは困っちゃうぞ?


「お?」


 ぬーん……と唸りながら、木々の間を漂っていると、森の切れ間の街道になにやら見知った気配があった。

 お馬さんに乗った3人の騎士に、馬より幾回りか小さい獣……オオカミだ。

 慣らしの訓練をしているはずだが、今日はこの辺を見回っているのかな?


 挨拶しようと近づいていくと、俺の接近に気付いたオオカミがウォフウォフと低い声で吠えている。

 騎士たちはしばらく何事かと警戒していたようだが、森の奥に俺の姿を見つけて警戒を解いた。

 吠え方で敵味方の識別とか出来るようにならないのかな?

 犬を連れて狩りをする猟師とかも訓練に参加したら、その辺は改善されるかも。

 ……提案してみようかな。


「おつかれー。オオカミ君の訓練?」


「ああ。今日は東の拠点までの往復だな。副長は狩りか?」


 東の拠点……領都の東を切り拓くための開拓拠点だな。

 あそこは一の森の中にあるし、魔物との遭遇もここら辺よりは多いはずだが……。


「そうそう。冒険者の数が多くて、あまりオレが狩りを出来る場所が無いんだよね……。あっちの方はどうだった?」


 街道の奥を指してそう言うと、3人が互いの顔を見て苦笑している。

 もしや、こいつら狩り尽くしたか?


「向こうも近くまで出てきたのは、一通り狩るか追い払うかしてしまったぞ。向こうには駐留している兵や冒険者もいるだろう? コイツの良い訓練になったな」


 オオカミも自分のことを言われたのがわかったのか、短く吠えた。


「ぬぅ……」


 そう言われると文句をつけにくいじゃないか。

 しかし、この分じゃ外で狩りを出来る場所って無さそうな気がするな……。

 死体の処理を考えると、騎士の巡回経路から外れた場所や冒険者がいない所は俺向きじゃ無い。

 程よい混雑具合が良いんだが……。


「外では副長の出番はしばらくないだろう。大人しくダンジョンで狩りをしたらどうだ?」


 俺の考えはよほど読みやすいのか、先回りして答えられた。


「ぐぬぬ……ちょっと考えてみるよ」


 それを聞いて、また笑う彼等。

 おのれ……。


「俺たちはこのまま街に引き返すが、副長はどうする?」


 どうやら彼等のお仕事は完了のようで、領都に戻るらしい。

 まぁ、いくら周辺に魔物の気配がないとはいえ、呑気にお喋りするような場所じゃ無いしな。

 彼等も移動したかろう。


「オレも帰る……」


 今日の狩りは諦めるか。

 俺も領都に帰ろう。


 ◇


 屋敷に戻ると、セリアーナの部屋に向かう事にした。

 まだ昼前だし、この時間なら彼女はリーゼルの執務室で仕事をしていて部屋にはいないし、窓から入る事は出来ない。

 だが、それでいい。

 俺の目的はお風呂だ。


 やっぱり春は森の臭いが濃いんだよな。

 服の裾なんかをクンクンと嗅いでみると、草や葉っぱの臭いがする。

 髪にも臭いが移ってるかもしれないし、風呂に入ってサッパリするんだ。


 と、決意していたのだが……。


「おや?」


「あら、セラちゃん。お帰りなさい。もういいの?」


 セリアーナの部屋に向かう途中の廊下で、使用人たちとバッタリと遭ってしまった。


 どうやら南館の客室の清掃を行っていた様だ。

 今は客は駐留していないが、そろそろそんな時期だし、いつでも迎え入れられるようにしているんだろう。

 頼もしい……!


 だが……。


「森に出ていたのかしら……ちょっと外の臭いがするわね」


「そうね。奥様はまだ旦那様の執務室でしょう? ちょっとこのままじゃ駄目よね」


 あっという間に取り囲まれると、アレコレとダメ出しを……。

 そして、その中の1人は風呂の用意をして来ると言うと、セリアーナの部屋に向かって早足で歩いて行った。


 むぅ……【隠れ家】の方の風呂を使うつもりだったんだが……セリアーナの部屋の風呂を使うことになりそうだ。

 まぁ、それならそれで、洗濯も髪を乾かす事も任せられるし、アリっちゃアリだな!


 ◇


 さて、風呂で一気に磨き上げられた後は、着替えと髪の乾燥だ。

 今日の面子の中にはドライヤーの魔法を使える者がいる。

 テレサやエレナたち程の腕では無い様で、風量が弱くちょっと時間はかかってしまうが、それでもしっかりと乾いている。

 俺もこれを身に着けたいんだけどな……。


「セラちゃん、また髪が伸びてきたわね。少し切りましょうか」


 髪を乾かす彼女とは別に、髪を梳かしたり着替えさせたりと、総動員で俺の支度をしているが、そのうちの1人が俺の髪を手にしてそんな事を口にした。


「オレも切りたいんだけどねー……。セリア様が中々……」


 同意を得たりとぼやいたのだが、彼女は笑うと後ろの髪を手にした。

 我が髪の毛ながら、艶々でたっぷりの髪だ。


「セラちゃんが切りたいのはコッチでしょう。私が言ったのはコッチよ。今度奥様に相談して切らせてもらいましょうね」


「むぅ……」


 どうも彼女が言っていたのは、前髪の方らしい。

 確かにそろそろ目にかかるくらいの長さになっているが……こっちよりも後ろの方が邪魔になりそうなんだけどなぁ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 消化不良セラちん 前髪長いのも良いよね!!
[一言] そのうち髪をヘビに出来るスキルが出るかも知れないしー?
[一言] 加護の効果もあって美髪なのかな?セラちんの髪の評判をあまり聞かないのが気になる …他に気になるところがありすぎて目が行かないのかな?
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