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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
19章・春のリアーナは忙しい?

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 春である。


 流石に日が落ちるとまだまだ肌寒くはあるが、それでも徐々に暖かくなってきて、実に暮らしやすい季節になった。

 もちろんそれは俺たち人間だけでは無い。

 植物や魔物にとっても、活動を再開するにはいい気候で、森にはポーションの素材に用いる薬草がたくさん生えるし、魔物たちも森の浅瀬に姿を見せる様になってくる。

 ってことで、領内の冒険者たちも稼ぎ時だ。

 昨年のうちにダンジョン探索許可を得るための、聖貨を稼いだりや魔境での依頼を達成出来なかった者たちが、挙って狩りに出向いている。


 そして、そんな彼等とは別に、魔境での狩りを専門に行う者たちも現れるようになって来た。


 ダンジョンは確かに安定しているが、それでも本格的に稼ぎが美味しくなるのは中層や下層だからな。

 そこまで潜れる腕を持ったメンバーを揃える事が出来るのなら、ダンジョン探索に専念するが、中々それは誰にでも出来るわけではない。

 特にリアーナは街のすぐ側に魔境が広がっていて、単純に稼ぐってだけなら、そっちで狩りをした方が美味しかったりする。


 魔境と呼ばれる場所にも、リアーナの開拓拠点はいくつもあるし、そこを利用しているそうだ。

 ダンジョンに関しては調査もある程度進み、そこで狩りをするだけの冒険者も揃っているし、領地に集まった他所の冒険者を、無駄なく開拓支援に回す余裕は既に出来ている。

 セリアーナやリーゼルの目論見通りだな。


 とはいえ、地元の冒険者たちも負けていられない。

 彼等も彼等で、ダンジョンだけでなくて、一の森を始めとした魔境での採取や討伐を行っている。


 んで……。


「来るぞ! へまするなよ!」


「はい!」


 盾を構えた先頭に立つ男の声に、威勢よく応える若い冒険者たち。

 今年と昨年に晴れて正式デビューした、新人たちだ。

 まぁ、肩書が見習いから新人に変わったってだけではあるが、それでもリアーナの冒険者ギルドが、金と手間をかけて育成した人材だけに、彼等の年齢の新人冒険者なら簡単に死んでもおかしくないこの狩り場で、無難に仕事をこなせている。

 このパーティーの編成は、ベテラン2人と、その下に新人を2人ずつの計6人だ。

 6人パーティーってのは、この辺で狩りをする平均的な編成ではあるが、そのうち4人が新人だって事を考えたら、あの見習い制度は成功といっていいんじゃないかな?

 今彼等が戦っているのは、7頭のオオカミの群れだが、新人たちは足止めと止め役に分かれて、もう1人のベテランと一緒に倒していっている。


 魔物の活動が活発なこの春の間だけは、新人が狩りに出るときは俺もおまけでついて行くように言われているが、今の所出番はない。

 メンバーに【祈り】をかけるような事も無く、ただただ、ふよふよ森を漂っているだけだ。

 退屈ではあるが……まぁ、これもお仕事だ。

 我慢しよう。


 そう考えて、嘆息しつつも、下で繰り広げられる戦闘を観戦していた。


 ◇


「お疲れ様でした!」


 冒険者ギルドの裏手に響く、新人たちの声。

 今日は戦闘……それもゴブリンじゃなくてオオカミの群れと戦ったからか、未だ興奮が続いているんだろう。

 挨拶を受けたベテランの2人も覚えがあるのか、苦笑しつつそれに応えていた。


「おう。まあ、まだ報告は残っているが……今日の働きは悪くなかったな」


 今日の彼等の成果は、薬草1籠に、オオカミ6頭だ。

 残念ながらボスと思われる1頭は逃がしてしまったが、それ以外はきっちりと処理をしたし、死体もここまで引っ張ってきた。

 別に俺が追って倒してしまっても良かったんだが、ボスとはいえ1頭程度なら狩場を荒らすほどじゃ無いし、見逃しても問題無いだろう。


 そこら辺の事も含めて、彼等は今から中に報告へ行く。


「んじゃ、オレはこれで……。おつかれー」


 そして俺は、そちらには同行せず帰宅する事にした。

 多分彼等はこれから報酬を貰ったら、前の屋台で軽く食事をして、打ち上げに行くだろうからな。

 俺が一緒じゃ楽しめんだろう。


 別れを告げて、【浮き玉】を上昇させた。


 冒険者ギルドは相変わらず人の出入りが多く、その前の通りに並ぶ屋台は、昼前にもかかわらず盛況している。

 通りには冒険者や冒険者ギルドに依頼に来るもの以外の姿も多い。

 屋台に向かっているところを見ると、この辺はちょっとした観光地になっているのかもしれない。

 この辺は特に街の兵が見回りをしているし、それを理解しているから冒険者たちも騒ぎを起こしたりしないが、それでも以前の冒険者の立場を考えると、中々驚きの光景だ。

 冒険者ってのは荒っぽい者が多いし、元々この街の冒険者ってのは住民から白い目で見られていたんだが、徐々に改善されていったってのはあるのかな?

 まだ、たったの数年なんだけど……変わるもんだね。


「おや?」


 冒険者地区を離れて商業地区にさしかかると、他の街から戻ってきたらしい商人の馬車が見えた。

 その馬車の護衛についているのも、これまた先程と同じベテランと新人の混成パーティーだ。


 戦闘や採取ばかりが冒険者の仕事ってわけじゃ無い。

 新人や見習いの中には、商人の子もいるし、その辺は意外とわだかまりなく引き受けている。

 これを積み重ねていくと、いずれは貴族との取引へと繋がっていく。

 特に魔物の数が多いリアーナなんかじゃ、護衛は立派な仕事で、そちらもこなせるように修行中なんだろう。


 もっとも、さっきの連中の様に、魔物相手に大立ち回りをしてガッツリ稼ぐって方が、モチベーションは上がるそうだが。

 その辺は、今後の成長に期待だな。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・4枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[気になる点] セラの台詞だと、大概「オレ」なんだけど、今話みたいにたまーに「俺」になってる時があるのは、単なるミスなのかな。 地の文だと全部「俺」なんだけど。
[一言] 護衛も対象や期間によっては儲けが大きそうですが 儲けを出すためには信用の積み重ねが必要ですね リアーナで冒険者が、となれば尚更
[一言] 森の見守り神セラ( ˘ω˘ )
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