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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
18章・冬のリアーナのアレコレを

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 冬の1月初めに起きた、魔物の襲撃からもう2ヶ月近くが経った。

 魔物の残党だったり魔物の生息地の様子を探るために、領都を離れていたアレクと、団員との新しい連携を磨くために、どこぞへ出かけていたジグハルトが今朝方帰還を果たした。

 二組とも出発時は違う方角へ向かっていたのだが、なんでも、ぐるーっと領内の狩場を移動していたらたまたま一昨日合流したらしく、今日一緒に帰還すると、昨日手紙が届いたんだ。


 んで、今日は下の談話室に集まって、その間の事でも話してもらおうと思っていたのだが、彼等は2番隊の隊長とその副官という、責任ある立場でもある。

 そして、今回の行動は騎士団の任務でもあった。

 リーゼルやオーギュストに報告する義務もある。


 あるのだが……ジグハルトはともかくアレクは子供がいるし、リーゼルなりに配慮したのだろう。

 真面目にやると数日間は本部に缶詰めになって、会議会議の連続になってしまう。

 アレクなんてたまに戻って来ても、またすぐに出発してたもんな。

 口頭での報告は簡単なものに済ませて、後日報告書を提出という形になったらしい。

 そこで、その報告も兼ねて、皆で集まれる昼食の場を設けようとなった。


 ◇


「準備はよろしいでしょうか?」


 俺たちを呼びに来た使用人との応対をしていたテレサが、こちらへ振り返りそう言った。

 もちろん準備は完了している。


「もちろんよ。行きましょう」


 代表してセリアーナが答えると、彼女は席を立ちドアに向かって歩き始めた。

 その背を追うように、俺とエレナにフィオーラもついて行く。


 廊下を進みながら皆を見るが、いつもより少々服装はきっちりしている。

 向かう先は本館の食堂で、今日はそこでリーゼルたちも一緒だからな。

 そんなにお堅い席ではないのだが、領主様が一緒だし、多少は気を付けようってことらしい。


 もっとも、普段から皆はだらしない恰好などはしていないが……まぁ、服の色だったり装飾品だったりだな。

 ちょっと皆ジャラジャラしている。

 逆に俺は、服装はいつもと一緒だがいくつかの恩恵品を外して、身軽な姿だ。


「ね、アレクたちはもういるの?」


「ええ、先に着いているわ。ジグハルトも一緒ね」


「あ、そうなんだ」


 ちょっとホッとする。

 その様子がおかしいのかエレナが笑いながら話しかけてきた。


「君は……旦那様方にはそうでも無いのに、使用人相手には緊張しているよね」


「落ち着かないんだよね……」


 リーゼルたちのいる場で待つとなると、使用人たちが妙にお堅い空気を醸し出すんだ。

 まぁ、主の前だし、気を抜けって方が酷なのかもしれないが、俺に対してもお客様扱いというかなんというか……落ち着けない。

 時折給仕を……とかならともかく、部屋にずっと控えているからな……。


「お前は、近いうちミュラー家の養子に入るのだし、少しは人を使う事にも慣れなさい……」


 話が聞こえていたのか、歩きながらもこちらを振り向くセリアーナ。

 うむ……呆れてらっしゃる。


 将来、自分の家を構えた時に困るし、今のうちに慣れておけっていう彼女の考えはわかる。

 わかるんだが……でもなー……。


「オレはセリア様の部屋に居つくからいいんだよ……」


 居住空間という意味では、【隠れ家】がある。

 あそこ以上に快適な場所ってのは、俺にはちょっと思いつかない。


 それに、この屋敷ならセリアーナやリーゼルが選りすぐった、信頼できる使用人が揃っている。

 一応ミュラー家の養子に入る訳だし、もしかしたら紹介くらいはしてくれるかもしれないが、俺は使用人を雇う伝手が無いんだよな。


 俺の知る範囲ではあるが、どこのお屋敷でも、そこで働く者は何かしらの横の繋がりがあって、だからこそ信用が出来るんだ。

 俺にはそんなものは無いし、よく知らない人を自分のプライベートエリアに入れるってのもな……。

 フィオーラやジグハルトが、未だにあの部屋から出ないのもその辺が理由だ。

 いつまでもセリアーナの部屋に居つくってのもなんだが、それならそれでこの屋敷内に部屋を用意して欲しいってのが、俺の希望である。


 それなりにしっかり働いて、稼ぎを上げているが、根本にあるグータラ思考を読み取ったのか、小さく溜息を吐くセリアーナ。

 そのまま何も言う事無く、廊下を通り本館までやって来てしまった。


 ……呆れられたかな?


 ◇


 その後も適当な事を話しながら、進むことしばし。

 本館にある、中規模な食堂へとやって来た。

 中には既にリーゼルを始めとした彼陣営のおっさんたちや、オーギュストにリックにアレクやジグハルトを始めとした、騎士団の面々が揃っていた。

 そして、それだけではなく……。


「あれ? モニカたちもいる」


 部屋の隅にはモニカと彼女が所属する班の班長と副班長が、所在なさげにしている。

 一瞬護衛かと思ったが、私服だし彼女たちも参加するのだろう。


「彼女は恩恵品を得ましたからね。改めてこの場で紹介するのでしょう」


「あー……なるほど」


 俺たちや騎士団の連中は知っているが、他の面々は話にしか聞いていないだろうし、ついでの顔見せか。

 どうやら急なお召しだった様で、緊張しきっているが、リーゼルと面と向かってよりはこの場の方が多少は気楽に話せるだろう。

 班長と副班長は……ちょっとついてなかったかもな。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・32枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 数年後には双子からセラおば様って呼ばれちゃうのか 本人より周囲のほうがダメージ受けそう
[一言] セラさんは下手に手元から離すよりも内に抱き抱えていくらか甘やかしておいた方が総合的に利益になるもんねぇ
[良い点] 更新乙い [一言] >>セリア様の部屋に居つく 座敷童セラちんの怪
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