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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
18章・冬のリアーナのアレコレを

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 一体何を……?

 と、魔物を倒しに行くのも止めて、ついつい彼女に視線をやってしまう。


 オオザルはどうやら自分に何かをしようとしているというのがわかったのか、フィオーラに向き直り唸り声をあげている。

 威嚇のつもりかな?

 50メートル近く離れているが、高い身体能力を誇るオオザルにとっては、なんてことない距離なんだろう。

 だが、それはフィオーラにとっても一緒だ。


 フィオーラの周りの光が一瞬だけ強くなったかと思うと、彼女目がけて走り出そうと踏み出したオオザルの足元が、硬い土から水気のある泥に変わった。

 タイミングがジャストだったからか、踏み出そうとしていたオオザルは、泥に足を取られて両手をついている。

 狙ったのかな……?

 その泥は思いの外深い様で、10センチメートル近くは沈んでいる。

 そして粘り気も強い様で、不意打ちに混乱している事もあってか、オオザルは起き上がるのに難儀している様だ。


 もっとも、いざ落ち着けばすぐに抜け出せるはずだが……フィオーラはそれを許す気は無い様で、さらなる追撃を加える。

 沼地から地面に着いていたオオザルの四肢を飲み込む様に、土柱が生えた。

 太さはそれぞれ50センチメートルくらいはありそうな円柱で、いくらオオザルでも、この不安定な体勢からでは砕けないだろう。

【祈り】の効果は彼女にも及んでいるが……恐らくそれ抜きでもオオザルを完封できるんだろうな。


「……ぬ?」


 おっかねぇ……とフィオーラの方を眺めていると、手にした扇をこちらに向かってヒラヒラ振っている。

 さっさと動いている魔物を倒して来いってことかな?

 まぁ……オオザル君に関しては心配無さそうだし……さっさと片付けて来るか。


 ◇


「お帰りなさい」


「ただいま。オオザルはまだ動きそうにないね」


 毒が効いていない魔物を倒し終えて、フィオーラの下へ戻ってきた。

 戦闘中もちょこちょこオオザルの様子を窺ってはいたが……アレはもうどうにもならんね。

 フィオーラを睨み、咆哮を上げているが……。

 初めは自由に動く頭部を振り回して、なんとか脱しようとしていたが、今ではもうそれだけだ。


「完全に拘束しているもの。魔王種ならまだしも、たかが下層の魔物程度に破られはしないわ。それよりも……」


 余裕たっぷりのフィオーラは、周囲に転がっている魔物たちを気にしている様だ。


「放置で大丈夫と思うよ? それよりも、実験の途中で湧き直される方が面倒だしさ」


「それもそうね。それじゃあ、これを渡すわ。使い方は燃焼玉と一緒よ」


「りょーかい」


 フィオーラが渡してきた爆発玉(仮)を受け取った。

 燃焼玉に比べると、表面が少しざらついているのは滑り止めかな?

 重さや感触を確かめるために、手の中で転がしたりしている俺にフィオーラは説明を続けた。


 基本は燃焼玉と一緒だが、違いは爆発する事。

 燃焼玉はもう一部の者には配られている様だし、いずれはコレもそうなるかもしれないそうだ。

 どちらも対象に命中させることが発動のトリガーだが、今回のオオザルの様に完全に拘束されることなんて滅多に無い事だし、確実に当てる必要がある為、どうしても接近しなければいけない。

 魔物に近づくこともだが、このアイテムの余波にも気を付ける必要がある。

 危険度はこちらの方が上だが、想定する使用者は皆しっかりと防具を身に着けている者で、ある程度は大丈夫だろうと踏んでいるらしい。


 んで、俺は今日はちょっと軽装だが【琥珀の盾】と【風の衣】がある。

 問題無いな!


 燃焼玉は魔物の頭上を高速ですれ違いざまにぶつけていたが、今回は制作者もいる事だし、本来の使い方でやってみようかね。

 俺が確実に命中させられるって自信のある距離……5メートルくらいかな?

 いくら完全に拘束されているとはいえ、こう……ゆっくりした速度で魔物に近づくってのはちょいとおっかないが……。


「せーのっ……」


 なにはともあれ、振りかぶって爆発玉を投げつけた。

 ヒュルヒュルと飛んでいった爆発玉は、狙い通り丁度オオザルの口元へ命中し……。


 ヒュゴっと、乾いた音がしたかと思うと強烈な光を放った。

 どちらもほんの一瞬の事だったが、この目が眩む感じはジグハルトのアレに近いな。

 幸い数秒ほどで視界は元に戻ったが、これ危なくねぇか?

 俺動き止めちゃったよ?


 まぁ、ソレは後々改良するとして、とりあえずオオザルは……。


「……あれ?」


 オオザルの姿が無い。

 土柱は4本立ったままだが……それに拘束されていたオオザルは……いずこ?


「少し……威力が強かったかもしれないわね」


「わっ!?」


 消えたオオザルに首を傾げていると、いつの間にやら背後に降りて来ていたフィオーラがそう呟いた。

 やや困惑気味の声だが……一体?


「威力……? ……あっ!?」


 もしかして、あの1発で核ごと吹っ飛ばしたのか?

 オオザルを?

 アイテム1個で?


 改めてオオザルが拘束されていた場所を見るが、土柱が立っているだけで何も無い。

 爆発って割には、特に何も起きていないようだが……俺が目を眩ませている間に何があったんだ?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・24枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・36枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] もしかしたら口の中にクリーンヒットしたのかもしれない
[一言] セラちゃん爆撃機 相手は敗北する が完成してしまうな
[一言] 衝撃重視の爆弾じゃなくて燃焼重視の爆弾なのかな?核まで届いてなかったら猿型の炭が出来上がってそう
感想一覧
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