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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!
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607 セリアーナ side その2

「何?」


「いや、なんでも無いよ。それよりもかけてくれ」


 何を笑っているのかと問い質すが、はぐらかされてしまった。

 ……まあいい。

 テレサと共に席に着くとリーゼルも腰を下ろした。

 準備をしていたのかロゼがすかさずお茶を並べる。


「それで……? 話は夕食時の続きかな?」


「そんなところね」


 リーゼルの問いに答える。


 ここ数日、夕食時の話題はダンジョンについてのものがほとんどだった。

 この時期は外からの客もおらず、特別話題にあげるようなことは無いし、ダンジョンでの出来事がそうなるのは当然か。

 ただ、夕食の席は私たちだけという訳ではない。

 文官だったり騎士団の隊員だったり、セラだったり……同席する相手によっては少々話す内容を選ぶ必要があったりもする。

 だが、この部屋の者たちならそのような遠慮は必要ない。


「ここのダンジョンは、話には聞いていたけれど避難先には向かないわね」


 カップを手にして一口飲んで、早速話を始める。


 ダンジョン。

 本来そこは聖貨や魔物の資源を産出する、街中の人工鉱山の様な役割を持っている。

 だが、それとは別に、万が一の際の避難所としての役割も持つ。

 外界から隔離されて、魔物は出るが魔人という例外を除けば、出現する種類も強さも計算できる。

 さらに、水分や味と手間に目を瞑れば食料の補給もできて、多少の期間なら相当数の人間を収容する事も可能だ。


 過去、戦争や魔物の氾濫で領都が陥落しかけた時も、ダンジョンに籠り救援までの間を凌いだという記録がある。

 もっとも、そこまで追い詰められるような状況だとどの道後は無いのかもしれない。

 凌いだ後に他所の領地に併合されたり、あるいは、籠城中にダンジョンで命を落とした者がいて、結局破綻してしまったりといった記録もある。

 むしろそちらの方が多いくらいだ。

 それでも、自分の領地の問題でもあるし、近いうちにそこの利用を考える事態が起こるかもしれない以上は、自分の目で直接見ておきたかった。


「そうだね……。魔物はともかく、浅瀬は見通しも悪いし気温の問題もある。上層まで抜ければ別だろうが、民を連れてあそこまで進むのも難しいだろうしね」


「ええ。むしろ使い道はダンジョンよりも地下通路の方がありそうだわ」


「違いない……」


 私の言葉に笑うリーゼル。

 その後もしばらくは上層での狩りや、【ダンレムの糸】を使ったセラの狩りについての話などをしていたが、話題が落ち着いたところで、リーゼルからも切り出してきた。


「ダンジョンへの避難は不要かい?」


「ええ」


「それなら指揮を執れるものをもう少し育てようか……」


 恐らく秋にはリーゼルやオーギュスト、アレクにジグハルトにルバンと言った、この領地のいわば主力級がこぞって離れる。

 その間の領地全体の治安自体は今の戦力でも十分保てるはずだが……もう少し狭い視点。

 具体的にはこの領都だけで考えると、リーゼルは少し足りないと考えている様だ。

 だが……。


「それも不要よ。時間が足りないし、半端な者は却って邪魔になるわ」


 恐らくリーゼルは1番隊からの登用を考えているのだろうが、この街は他所とは少々事情が異なる。

 街の治安以上に、外の魔物に備える必要があるからだ。

 この街での指揮に慣れない者を無理に組み込むと、かえって混乱を招いてしまう。

 それなら、外は冒険者ギルドを中心とした今のままの体制でいいだろう。


「ふむ……今は冒険者の数も足りているし、僕が領地を空ける間は君に任せるが……無理はしないでくれよ?」


 以前発見して以来、少しずつセラから情報を集めた事で、教会や孤児院の敷地内に存在するアンデッドの詳細は掴めた。

 本来死体を埋葬する時は、貴族だと魔力を完全に抜いたうえで、専用の棺に納める。

 平民の場合は骨だけになるまで焼却して、さらにその上で手足を切断する。

 そこまでやって、初めて街中に埋葬する事が出来るのだ。


 だが、孤児院ではただ穴を掘って埋めるだけで済ませていたらしい。

 それを聞いて、過去に渡って調べさせたが、ルトルの頃から住民相手には通常の作法で埋葬を行っていた。

 例外は孤児院の子供だけで、恐らくその子供がアンデッドになっているのだろう。


 仮に、不測の事態が起きても自分たちだけで対処出来るようにしているのだろうが、それでも街中に急にアンデッドが現れたら大きな混乱を起こせる。

 その混乱の隙に、私かダンジョンへ何かしら攻撃を仕掛ける……それが彼等の狙いのはずだ。

 ……もっともその際に動く人員は、外からの増援は塞いでいるし中にいる者たちは把握できている。

 だからこそ、今の段階で対処して、いざリーゼル達が領地を空けた際に予測できない動きをされることは避けたい。


「ええ……大丈夫よ。ごめんなさいね? ある程度どういう風に動いて来るかの予想はついているのだけれど、今は知られている事を気付かせたくないの。もう少し待って頂戴」


 リーゼルも理解しているのだろう。

 仕方が無いといった表情で肩を竦めている。

 アンデッドの事を伝えるのは何時にするか……夏頃かしら?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・19枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・34枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >仮に、不測の事態が起きても自分たちだけで対処出来るようにしているのだろうが、それでも街中に急にアンデッドが現れたら大きな混乱を起こせる。 >その混乱の隙に、私かダンジョンへ何かしら攻…
[一言] セラさんの祈りでアンデット一気に浄化出来ないかなぁ
[良い点] 更新乙い [一言] よっしゃ、証拠を揃えて根切りぞな!!
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