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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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 結局夜中に起こされること無く、いつもより少しだけ遅くに目を覚ました俺は、ガウンを上から羽織り厨房に向かった。

 部屋に運んでもらっても良かったんだが、どうやら今日は訪問客が多い様で、屋敷内がバタついている。

 セリアーナたちも隣室にいなかったし、恐らくリーゼルの方の執務室に居るんだろう。

 魔物の襲撃はまだ起きていないが、それに向けての何やかんやがあるのかな。


 廊下を進みながら時折すれ違う使用人たちに挨拶をして、厨房へ辿り着いた。

 こちらは他と違って平常通りのようで、静かなものだ。

 時間帯ってのもあるのかな?


 まぁいいかと、中に声をかけながら入っていった。


「おはよーございまーす。ごはん食べに来ましたー」


「おう。朝飯と昼飯、どっちがいい?」


 一服中だった料理長が、俺に向かいそう言った。

 今は……お昼をちょっと過ぎたくらいの時間だな。

 起きたばかりだし……。


「朝食の方ください」


 厨房に漂う香りから、昼食はちょっと重そうな気配を感じて、メニューは朝食の方を選択した。


「おう。場所はここでいいな? 今日は少しお客様が多いからな。旦那さまだけじゃなくて他の方々もお相手されていて、部屋が埋まっているらしいんだ」


 それだけ言うと、俺の返事を待たずに食事の用意をしに席を立った。

 代わりってわけじゃ無いが、その空いた席に別の調理人が座り話しかけてきた。


「なあ……何か起きるのか? 今日も屋敷に来る時にいつもよりも警備の兵が多かったし……出入りの商人は武装している冒険者が多かったなんて言っているしよ……。昨日アレクシオ様も兵を連れて街を離れただろう?」


 彼だけじゃなくて周りにいる者たちも、その彼の言葉に同意するように仕事をする手を止めて、不安気な顔で頷きながらこちらを見ている。


 屋敷の様子から何となく、異変が起きているのを察しているんだろうが……襲撃の件はまだまだ話は上の方で止まっているみたいだな。

 ってことは、俺がここでぺらぺら話すのも良くないか。


「んー……なんか話す事があったら、旦那様から伝えられるんじゃないかな? それに、アレクは街を出ているけど、ジグさんも団長もいるし、心配ないよ」


 わざわざ名前は挙げなかったが、フィオーラにテレサもいるし、むしろ領都の戦力的にはまだまだ過剰なくらいだ。


 だが、それでも彼等は不安があるらしい。

 この街なんて目と鼻の先に魔境が広がっていて、魔物の脅威に対しては耐性があると思っていたけれど……。

 そう言えば、この屋敷で働く人間の半分くらいは、他所の出身の者だったりするし、彼等もそうなのかも知れない。

 それを思えば、彼等の狼狽っぷりも理解できるが、一応この街はもう結界が張られているんだけどな……。


 アリオスの街の住民も、こんな感じになっているのかもしれないな。

 アレクを派遣したのは正解だったと思うが……しかしアレク人気あるな。


「おい!」


 まだ何かを聞きたそうにしている彼等を無視して首を傾げていると、料理長が俺の朝食を手にこちらにやって来た。

 そして、放った野太い一言に、料理人たちは慌てて立ち上がると、すぐに持ち場へと戻っていく。

 よく仕込まれてるなぁ……。


「料理長はこの街の生まれ?」


 俺の前に料理の乗った皿を置いていく料理長に、ふと湧いた疑問をぶつけた。


 部下の料理人たちが何かしらの異変を感じているのなら、上にいる彼もわかるはずだ。

 だが、全く動じた様子を見せていない。

 この街の出身で、魔物には慣れているのかな?


「違うぞ」


 これまた一言。


 違うのかよ……。

 にも拘らずこの落ち着きっぷり。

 やっぱり偉くなるには肝っ玉の太さとかも必要なのかな?


「隣の街だ。だが、俺は元々アリオス様の隊で料理をしていたんだ。まあ……お前さんならそれでわかるんじゃないか?」


「……あぁ」


 凄い説得力だ。

 アリオスの街は、じーさんが拠点代わりにしていた街だっていうもんな。

 そこの生まれで、じーさんと行動をしていたと……荒事は慣れっこか。


 ◇


「姫」


 朝食を平らげて、出して貰ったお茶を飲んでいると、厨房にテレサが入ってきた。

 俺相手だと砕けた雰囲気の厨房の面々だが、流石に彼女相手にはそうもいかないのか、料理長までも手を止めて直立している。


「朝食はもう済みましたか?」


「うん」


「それでは、旦那様の執務室に参りましょう。セリア様もお待ちですよ」


「……何か用事かな?」


 セリアーナが待っている……これはまたお使いかな?

 でも俺、まだ寝巻だぜ?


 だが、テレサは首を横に振り、「いいえ」と答えた。


「いつも通りで構いませんが、今日はあちらの執務室に待機してもらいます。ジグハルト殿やフィオーラ殿も一緒ですよ」


「ほーぅ……」


 一ヵ所に纏まっておけってことなのかもしれないな。


「わかったよ。んじゃ、料理長。ごちそーさま」


「おう。今度はちゃんと朝起きて食えよ」


「……まぁ、うん。テレサ、行こっ」


 料理長への返事は濁しつつ、足元に転がしていた【浮き玉】に乗ると、テレサの背を押しながら厨房を後にした。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・33枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 読み返していて気になったのですが、312話(314部)で、 屋敷の料理人はこの街出身と書いているので描写が矛盾しているような?
[一言] ミュラーに養女入りしたら、この生物が領地のナンバー3に… なるのかな? 表向きには 名前だけでも
[一言] 朝昼兼用はよくあること( ˘ω˘ )
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