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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
17章・ようやくダンジョン探索再開!

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 リーゼルや文官衆は魔物の群れの数から襲撃の日時を推測していたが、セリアーナは俺の帰還時刻を予測して、風呂の用意をしていたようだ。

 リーゼルの執務室から出てセリアーナの部屋に移ると、風呂が用意されていた。


 それはそれですげぇ!


 ってことで、まずは俺はセリアーナの部屋にある風呂に直行した。

 探索を終えてからすぐアリオスの街に出発して、いつもの探索後のひとっ風呂を浴びる時間が無かったからな……ようやく一息()けた。

 これで他の事を考える余裕も出来たってもんだ。


 って事で、少し頭を使ってみようと思う。

 先程のリーゼルの部屋での文官衆のやり取りで、気にはなっていたがわざわざ問い質すのは面倒で放置していたんだ。


「ねー」


 と、少々くぐもった声が浴室に響いた。

 今の俺は顔の上にタオルを置いているからな……。

 体を洗い終えて、浴槽につかりながらテレサに髪を洗ってもらっている状態だ。

 お湯に浮いているが、前世の美容院みたいな感じだな。


「なに?」


 答えたのはセリアーナだ。


 ここの浴室はお客用ほど広くは無いが、それでも侍女等複数人が中に入れる程度の広さはある。

 で、エレナも含めて3人が中にいるが、別にテレサの手伝いってわけじゃ無い。

 風呂だからな……人が入って来ないし、密談をするのに都合が良いんだ。

 最近はセリアーナの執務室でも、いろいろ領都に滞在する者が増えたからか、夜は使用人が待機している。

 そのため割と俺が風呂に入っている間は、ここに集まることが多い。


 ともあれ、質問の続きだな。


「あのさ、旦那様たちがさっき慌ててたのって、やっぱり何か魔物の動きに影響があるからなのかな?」


 何かあれば教えてもらえるだろうが、それでも事前に心構えくらいはしておきたい。

 3人も途中であそこを引き上げたし、この件に関しては持っている情報量にそこまで違いは無いはずだ。

 だが、それ以外の事に関しては段違いだからな。

 何かしらの推測くらいは立てられるだろう。


「ああ……領都以西の魔物の動きに異常が出ていた件ね。今回の群れを率いているのはオオカミ種らしいけれど、お前はオオカミ種の特徴をわかっているかしら?」


「……群れで動くのと、どこにでもいる?」


「そうね。だから今回は雑多な魔物に備える必要があるのだけれど、所詮は魔物よ。魔境で狩りを出来る冒険者なら、問題無く対処できるわ」


「まぁ……そうだね」


 だからこそリーゼルたちも冒険者主体で事に当たろうとしているんだ。


「でも、お前の情報で気を配る必要のある範囲が一気に増えてしまったわ。あれだけ広範囲になると、もう冒険者だけでは対処できなくなるし、恐らく騎士団主導で対処することになるでしょうね。アレクとジグハルトを呼ぶようだし、彼等に隊を率いらせて、そこに冒険者を組み込むことになるはずよ」


 セリアーナはそう一気に言うと、どんな表情をしているかわからないが、ふぅ……と一つ溜息を吐いた。


「……何か不味いの?」


 リーゼルたちもだったが、そんなに冒険者主導で進められない事が問題なんだろうか?

 冒険者は稼げないかもしれないが、それでも領内で被害が出るよりはいいんじゃないかな。


「不味いのよ……。セラ、お前も冒険者ギルドに出入りしているから少しはわかるはずだけれど、今の領都の冒険者は数は多いけれど、少数の集団ばかりで統率が取れていないの」


「うん」


 確かに、個人だったり数人パーティーで行動する者がほとんどだ。

 クランの様に大規模な集団ってのは、既存の連中を除けば誕生していない。


「アレクやジグハルトが前に立てば、それなりに動かせるようになるでしょうけれど、そうなると今度は2人が動けなくなるでしょう? だから、今回の襲撃への対処のついでに、戦士団に上手く冒険者たちを組み込ませたかったのよ……。時期的に近いうちに起きる事は予測出来ていたし、丁度良かったのだけれど……」


 そう言うと、再び大きく溜息を吐いた。


「……あぁ」


 戦士団の連中にわかりやすく功績を挙げさせて、言ってしまえば上下関係のような物を作りたかったんだな。

 セリアーナの声がどこか面白く無さそうなのは、その機会を逃してしまうからか。

 流石に魔物の襲撃は頻繁には起きないからな。

 また今回みたく、事前に備えられる様なお誂え向きのとなると……そうそう起こらないだろう。


「セリア様、元々上手くいけば儲けもの……その程度の事だったわけですし、切り替えましょう」


 エレナは宥めるような口調でセリアーナにそう言っているが、割と軽い雰囲気だ。

 実は思ったより深刻な状況じゃないのかな?


「わかっているわ。ただ、折角ダンジョンの開通と時期が合ったのよ? 増えた冒険者を纏めてウチの組織下における機会だったのに……」


 どうもセリアーナは最高効率を目指していた様で、不満げなのは、それがとん挫しそうだからって訳か。

 でも、リーゼルも何か慌てていたけれど、彼も同じような事を考えていたのかな?

 それはちょっとらしく無い気もするけれど……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・25枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・33枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・9枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラさんのネームバリューで何とかならないものか(無茶振り)
[良い点] 更新乙い [一言] >>風呂場の密談 シャワーとかの水音があると、浴室内で反響する音のせいで盗聴器対策にもなるらしい、とかなんとか
[気になる点] 浴室に集まって密談… 日本の住居にあるような洗い場付きの浴室を考えるとすごい絵面になりそうですが、西洋的なバスタブ(水を使う作業はバスタブ内だけで完結)のある普通の部屋をイメージすれば…
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