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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!

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「……お?」


 リーゼルの執務室に繋がる廊下にやって来たのだが……いつもだとそこからはドアの前に立つ兵士が1人見える。

 だが今日は、なんかいっぱいいる。

 身に着けている恰好もウチのとは違うし、中央の兵か。

 中にユーゼフがいるっぽいし、その護衛かな?


「セラ副長! 少々お待ちください」


 近付いた俺に気付いたウチの兵士が、いつも以上にテキパキと動き中に伺いを立てた。

 ……いつもはもうちょいラフな態度だけど、他所の兵がいるからかな?


「あ……ども」


 見ていると軽く頭を下げて来たので、俺もペコっと小さく返した。

【浮き玉】に乗って宙に浮いている俺を見ても、驚いたりしていないし怪訝な顔もしていない。

 俺の事を知っている様だし、やっぱ中央騎士団の兵か。


「お待たせしました。セラ副長、中へどうぞ」


「ん。セラ、入りまーす」


 まぁ、だから何だって話だ。

 さっさと中に入ろう。


「……いねぇ」


 部屋の中に入ったはいいが、文官達が忙しそうにしているだけで、肝心のリーゼルたちの姿は無かった


「セラ副長。領主様方はあちらだ」


 部屋の中の1人が奥のドアを指した。

 なるほど……向こうの応接室ね。


「ありがと…………セラでーす。入りますよー……っと」


 応接室のドアの前で、中に声をかけながらコンコンとドアを叩くと、俺が開けずともすぐに開かれた。


 ◇


 執務室の方も人はいっぱいだったが、こっちも中々どうして。

 部屋の広さが違うから人数差は比べるまでも無いが、密度ならむしろこっちが上か?

 ジグハルトはいない様だが、他のゴツイのが何人もいるからな……。


「やあ、セラ君。セリアの返事かな? わざわざ悪いね」


 カロス経由でセリアーナの返事を受け取ると、リーゼルは封を開けて読み始めた。

 小さく頷いたりしているが……何が書かれているんだろうね?

 問題無いようなら後で教えてくれるか。


 それよりも……部屋の中の様子だ。


 リーゼルに、オーギュスト、アレク、リックといったリアーナの騎士団の幹部陣に、ルバンが揃って席についている。

 そして、テーブルを挟んだその向かい側では、ユーゼフを始めとした偉そうな恰好のおっさん達がどっかりと……。

 まぁ……実際偉い人たちなんだろうな。


 別に険悪な雰囲気という訳では無いが、今は会話が途切れているのかみな黙り込み、なんとなく空気が重たく感じる。

 迫力あり過ぎるんだよな……どいつもこいつも。

 ウチの連中も黙り込んでいるし、俺はどうしたらいいんだろう……浮いてりゃいいのか?


 所在なさげにふよふよしていたのだが……。


「セラ様、ご無沙汰しております。お変わりない様で安心しました」


 ……ユーゼフ?

 なんだその気持ち悪い話し方は……。

 と、ついつい嫌そうな顔をしてしまった。


「そう嫌そうな顔をするな。お前はいずれミュラー家の義娘になるのだろう? 私より家格は上だ。むしろ年頃の令嬢に対しては当然の対応だ」


 と、したり顔のおっさん。


「……今のオレは平民よ?」


「細かい事を気にするな。慣れておけ」


 そして、周りに同意を得る様に「なあ?」と言って大口を開けて笑っている。

 それに釣られる様に他の面々も「わっはっはっ」と……。


 ぬぅ……。


 だが、俺の機嫌を損ねた代償に、部屋の空気を変える効果はあったらしい。

 ウチ側も向こう側も表情が緩んでいる。

 リックは……変わっていないな。


 まぁ、いいや。


「んで? 皆は何の話してたの?」


 無理に聞き出そうとは思わないが、人のことをダシに使ったんだから、それくらいは教えてもらいたい。


「ダンジョンの事だ。旦那様が探索に向かわれるだろう? その際の護衛で、リアーナの騎士団からは団長と俺とジグさん、それとお前が。外部からはルバンだな」


「うん」


「そして、見届けるために向こう側からも何人か出てもらうんだが……ユーゼフ総長を始めとした1部隊を推してきた」


「多いねっ!?」


 1部隊が何人か知らないけれど、ウチは6人だ。

 見届け役の方が多くなるんじゃないか?


「そんなことは無いぞ? 新規のダンジョンに若い公爵閣下が乗り込むのだ。むしろ足らんだろう?」


 なるほど。

 若さが関係あるかはわからないが、少人数で新規のダンジョンに潜るって言われたら、王都からやって来た身としては、「ちょっと待ってよ」と言いたくなるのもわかる。

 実際はもう十分な調査をして、そんな警戒は不要だって事はわかっているが、彼等はわからないもんな。

 互いの主張に折り合いがつかず、あんな雰囲気になってたのか。


「旦那様無茶苦茶強いじゃん。ジグさんもいるし何が起きても大丈夫でしょ?」


 ただ、リーゼルは十分強いし、ジグハルトはもちろん護衛も強い。

 加えて周囲の索敵に専念する俺もいるんだ。

 たとえ未知のダンジョンだったとしても、浅瀬の軽い探索ならそんな警戒は不要だ。

 それに、あまり大勢での行動は色々やり辛いから好きじゃない。


 そこに、リーゼルの笑い声が入ってきた。

 こっちの話がひと段落するのを待ってたのかな?


「ユーゼフ、セラ君にそこまで言われたら仕方ないだろう? 君と後は……1人か2人までだ」


「……仕方ありませんな」


 そう言うと、ユーゼフは深く溜息をついて首を振った。


 ……このために呼ばれたのかな?

 俺の答え合ってた?


 ◇


 後で聞いたが、なんてことは無い。

 俺がどう答えようと、少数にするように話を持って行くつもりだったそうだ。

 普通に俺の答えを予測するなら、少数でとなるし、仮に大人数が良いと言っても、「セラを不安にさせるような実力なのか?」とかそんな感じで煽るつもりだったんだとか。


 まぁ……ユーゼフ達にしても、すぐに帰還しないといけないんだし、兵を疲労させなくて済むから実は有難かったらしい。

 ただ、やはり立場上自分達から切り出す事も出来ず……。

 結局、俺に委ねるのが一番どこにも角が立たない方法だったそうだ。

 建前は大事だもんな。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・15枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 妙に特別扱いというかマスコット的に扱われてるの変だなぁと思っていたけれど、マイペースな変わり者だからと周りが認識してるから言いにくいことを言ってもらったりできるメリットがあるんだね。勿論そ…
[一言] ただそこにいるだけで役に立ってしまう これが一番のチートなのではないでしょうか
[一言] 祈りも使ってないのに、雰囲気がよくなる生きたバフなセラ。 浮いてればいい? 可愛い。自然におじーちゃんたちの膝上行くと思った。
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