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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
3章・王都で聖貨をザックザク!
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「ふぅ…ひぃ……」


おかわりどころか2杯目までやって来たのは想定外だったが、何とかかんとか倒し切った。

血やら色々浴びてぐっしょりだ…。


【緋蜂の針】から出ているバチバチしているアレ。

あれに魔物が当たると破裂するんだよ…。

あそこまでの威力は想像していなかったからびっくりだ。

目の前で破裂して思わず叫んだりもしてしまった。


攻撃を受けてはいないのにあちこち痛いし…風呂に入りたい。

そして起こされることなく目が覚めるまで寝続けたい…。

食事は…いいや。

血の匂いでお腹一杯。

さっさと合流して…。


「ボス戦っ⁉」


いかん。

戦闘に必死ですっかり忘れとった!

疲れから思考が明後日の方向に行っていたが、そういえば彼らがまだ戦っているんだった。

何度か【祈り】の更新で近寄った時はまだ戦っていたがどうなったんだろうか?


エグイことになってないよね…?


【浮き玉】で高度を上げ辺りを見渡すが、魔物の影はない。

そして、離れた場所でまだ戦闘が続いているのが見えた。


さて、どうしたものか…。

万が一の時は撤退をと言われたが、ここからじゃよくわからない。

近づいてみるか。



「ぉぉぅ……」


念を入れて天井近くまで上がり、更に大きく横に回り込みながら50メートル程の距離に近づいてみたのだが…。

何が起こったのか、ちとまずい状況になっている。


何らかの加護を持っているミーアがダメージを受けたのか、キーラから治療を受けている。

ルバンと、ミーアの代わりに前に出ているマリーダでは脅威にならないのか、無視されアレクに攻撃が集中している。

アレクは【赤の盾】を構え猛攻を凌いでいる。

武器も手にせず両手で盾を持っている。

何というか…手詰まり感がすごい。


今も大振りの一撃を掻い潜り両側から攻撃しているが、盾側から攻めたマリーダの攻撃は盾の一振りで弾き返され、反対側から攻めたルバンの攻撃は体に当たってはいるが、鎧に阻まれダメージが通ったようには見えない。


…どうしようか。


後ろを見るとミーアはまだ治療している。

全員で逃げるのは難しそうだ。


むむむ…。


……⁉


あの盾、ひょっとして普通の盾なんだろうか?

確かに2人の攻撃を弾いているが、あれはボスの技量や身体能力であってあの盾の効果じゃない。

その証拠に、吹き飛ばされてもすぐに起き上がり、行動に移っている。


てことは、あの盾に蹴りかませばいけるんじゃないか?

蹴りで体勢を崩して、そこを【影の剣】を振り回して、即離脱。

これだ!


そうなると大事なのはタイミングだ。

うかつに仕掛けて皆を巻き込んだり、逆に巻き込まれたりしてしまっては目も当てられない。

何か合図が出来ればいいが、兜の様な物で覆っているので見た目では目や耳があるのかはわからないが、仕掛ける前に気づかれたら台無しだ。


うむむ…。


少し見ていて何となくわかったことがある。


まず、アレクが盾で大振りの一撃を受ける事を起点に、2人が両側から攻撃をし、ついでに吹き飛ばされる。

その間は体勢を立て直したアレクが攻撃を受け止め2人への追撃に行かせないようにしている。

そしてまた繰り返し。

苦戦しているのは間違い無いようだが、彼らの一連の連携は治療が終わるまでの時間稼ぎだ。

ミーアが復帰したらまた何か変化があるのかもしれない。


でもそろそろ【祈り】の効果も切れるし、隙を突ける機会は今くらいだ。


……やるか?


……よし!


仕切り直しのタイミングで突っ込もう。

それなら巻き込みも巻き込まれもしないはずだ。

念の為再度周りを見渡すが、魔物の姿は無し。

そして目を戻せば、アレクが攻撃を受けきり2人も復帰し距離を取っている。


今だ。


【浮き玉】を一気に加速させ突撃する。

この風圧…これは3桁出ている。

【浮き玉】最高速度を更新してしまったな。

【緋蜂の針】を発動し、飛び蹴りの構えを取る。

思った以上の速度が出ているが、何とか間に合った。

もう細かい狙いは付けられないが、どっかには当たる!


行くぞ!


「どーーん‼」




セラ・【隠れ家】【祈り】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・8枚

セリアーナ・【範囲識別】・【】・13枚

エレナ・【】・【緑の牙】・0枚

アレク・【】・【赤の盾】・1枚

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