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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!
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「ほいじゃ、失礼して……」


 セリアーナをベッドに移して横になって貰い、俺は彼女の足元に移動してふくらはぎに跨った。

 そして、足に手をかけて、棒をグリグリグリっと……。


「ん……痛くは無いわね? ………………っ!? 痛っ……ちょっ、待ちなさい!」


「おわっ!?」


 最初のうちは痛くなかったのか平気そうだったが、何ヵ所目かの時に丁度そこがクリティカルだったのか、痛がり始めた。

 そして、セリアーナが身じろいだ拍子に、彼女の上からコロリと転がり落ちてしまった。

 踏みとどまれたが、危うくベッドからも落ちてしまうところだったぞ?


「ちょっと、危ないじゃん!」


 と、セリアーナに向かって抗議の声を上げるも……。


「エレナ!?」


 セリアーナはそれを無視して、やや悲鳴じみた声でエレナの名を呼んだ。


「はい!」


 それを受けて、ソファーから立ちあがり慌てて駆け寄るエレナ。


「なによアレ……!? あなたもやったのよね!?」


「はい。確かに得体の知れない痛みはあるのですが……」


 と、少々取り乱すセリアーナを宥めている。


 この新しい手法やマッサージの事は先に受けたエレナが説明していた。

 もちろん、多少痛みがある事もだ。

 傷を負うわけじゃ無いし比較的すぐに痛みも治まる……そんな感じにだ。


 だから、甘く見ていたのかもしれないな。

 セリアーナも痛みにはあまり強くないようだ。

 いや、まぁ……別に強くある必要は無いか。


「……大丈夫なの?」


 いつの間にかテレサとフィオーラもやって来ていた。

 施療当初は3人ともセリアーナの様子を見守っていたが、1時間も2時間もとなると……ね。

 飽きたのか、ソファーにかけたままお喋りをしていたのだが、セリアーナの声に何事かとでも思ったんだろう。


「大丈夫だよ。痛いだけ」


 答えになっているのかはわからないが、間違っちゃいない。

 それに、俺もツボの事を解説できるほど詳しいわけじゃ無いしな。


 それよりも……。


「ねぇ、続きするから早く横になってよ」


 その言葉に、セリアーナは心底嫌そうな顔を見せた。

 まぁ……気持ちはわからんでも無いが、ここは諦めておくれ。


 ◇


「もう痛みは無いのかしら?」


「ええ……足を終えたら数分で収まったわ。不思議ね」


 フィオーラの問いに、不思議そうに答えるセリアーナ。

 背後に立つ俺を睨んでいる事は気にしないでおこう。


 あの後は10分ほどで足を終えて、他の箇所のマッサージも行った。

 以前の様に指でやる時に比べたら効いているのか、時折痛そうなそぶりを見せていたが、足の時に比べたら大したものでは無く、恙なくマッサージを完了させることが出来た。

 そして、今は後回しにしていた頭部の施療を行っている。

 ツボ押しはエレナで試す事が出来たし、俺的にはこっちが今回の本命でもある。


【ミラの祝福】は髪を生やしたりだけでなく、単純にトリートメント効果もあるし、今までも普通に髪の毛を対象にやってきた。

 ただ、その方法は頭に手を当てて、ぬぬぬぬぬっと集中する事であって、頭部全体への施療は髪の毛へのピンポイントなものでは無かった。

 まぁ、他人の髪の毛を素手で撫でまわすってのも気味悪いしな。

 やられる側も落ち着かないだろう。


 って事で、セリアーナの髪の毛をブラッシングしながら【ミラの祝福】を発動している。

 指を1本ずつ個別にやるのに続いて、これも新技だ。

 ちなみに、エレナの時にはまだ思いついていなかった。

 そのため、初めて見る動作にエレナは不思議そうな顔をしている。


「これは私の時はやらなかったけど、何か違うのかい?」


「一昨日思いついたんだよね。頭全体より顔と髪とで、分けてやった方がいいんじゃないかなって思ってさ」


「……それは大丈夫なの?」


 不安を覚えたのかセリアーナはこちらを振り向こうとしたが、顔に手を当てて前を向かせる。


「頭動かさないで……。自分の髪で試したけど問題無かったよ。少なくとも悪くなることは無いんじゃないかな?」


 ぶっつけ本番って事はいくら俺でもやらない。

 もっとも、全然気づかれていないあたり効果は薄いのかも知れないが……。

 ともあれ、俺が自分でも試している事に多少は安心したのか、大人しく髪をブラッシングされている。

 しかし、長いし多いし……これはちょっと大変だ。


 ◇


「………………」


 ブラッシングを始めて20分ほど経っただろうか?

 はじめは4人でお喋りをしていたのだが、徐々に口数が減っていき、終いには3人は黙り込んでしまった。


「……何を黙っているの?」


 不安気なセリアーナの声。

 だが、安心して欲しい。

 皆驚いて絶句しているだけだ。


「……よっし。終わったよ」


 なんだかんだで思ったより時間がかかってしまったが、出来栄えも想像以上だ。


 一歩下がって、無駄に煌めくセリアーナの髪を見ながら、俺は満足げに頷いた。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・13枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ツボ押しって身体の不調な部分に対応している所を押されたら痛く感じるらしいけど、先に祝福で不調を治しておいたら痛み感じなくなったりしないんだろうか?
[一言] 全身磨かれたんだな( ˘ω˘ )
[一言] 普段のマッサージになれてるメンバーが黙るほど 女性ならもう絶対に手放せない子になってんな
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