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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
16章・ようやくダンジョン一般開放!
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 折角のお休みなのに、俺が入り浸ってちゃお邪魔だろうと、お茶を飲んだ後はさっさと退散する事にした。

 帰りは3階の窓から出てきたが……確かにここからの出入りの方が便利だ。

 今後はこのルートを使わせてもらおう。


「ただいまー!」


 窓から部屋に入ると、セリアーナとテレサが机の上に何やら広げて作業を行っていたが、手を止めてこちらを向いた。


「お帰りなさい」


「お帰りなさいませ、姫」


 エレナ達もそうだったが、今日は2人も休みだ。

 来月半ば頃から秋の雨季に入るし、それに備えてまた忙しくなるのだが、ちょうど今は空白期間でもあるそうで、今日から数日は休暇期間としている。

 なんだかんだでセリアーナは昼間はいつも忙しいから、都合が良かった。

 流石に夜に何時間もってわけにもいかないもんな。

 主に、俺の都合で。


 ◇


 一旦寝室へ行き荷物を置いてから再び戻って来ると、机の上は片付けられて、代わりにテレサがお茶の用意を始めていた。

 俺の分もあるようだ。

 下の屋敷でも飲んできたが折角だし呼ばれよう。


「それで? エレナの施療は上手く行ったの? 新しい事を試すとか言っていたけれど……あの棒を使うのよね?」


 いつもの席に着くと、テレサを待たずにセリアーナが話を始めた。

 2人の誕生日プレゼント用に、新しい施療を開発したって事は伝えている。

 とはいえ、本来彼女はこういった事は聞き出そうとはしない性格なのだが……手のひらを一度グリっとやってるからな。

 気になったんだろう。


 ……どうしようかな。


「うん。上手くいったよ! エレナもアレクも出来栄えにびっくりしてた。セリア様も楽しみにしてていいよ!」


 自信たっぷりに俺がそう言うと、セリアーナは胡乱げな眼差しを向けてくるもそれ以上の追及はしない様で、「そう……」と一言だけ呟いた。

 言ってしまえば俺からの贈り物になるわけだし、その内容を聞き出すってのは少々はしたない。

 一応自分の身に起きる事なわけだし、そのことを聞きだすのは別におかしなことじゃ無いんだが……無駄に自分に厳しいからな。

 まぁ、ちょっと過程を省いたってだけで、嘘は言って無いもんな。


 セリアーナの視線を、敢えて無視し続けていると、お茶の用意が出来たテレサがやって来た。

 彼女の耳にも、今のやり取りは届いていたらしく、加わってきた。


「仕事はありませんが、エレナは明日はこちらに来るのでしょう? その時が楽しみですね」


 フンっ……と小さく息を吐くと、カップに手を伸ばした。


 こう言われちゃうと、もう何も言えないもんな……。

 エレナは明日やって来るし、なにより本人も3日後にわかるんだ。

 ここは堪えてもらおう。


 ◇


 そして3日後。


 セリアーナの誕生日だ。

 出会った時は14歳だったが……もう19歳。

 そして、2児の母。

 早いものだ。


 まぁ、誕生日を迎えたからって、何かが変わるわけじゃ無し。

 今日は夜から、領都内のお偉いさんを招待してのちょっとしたパーティーが開かれる。

 主催はリーゼルで、主役はもちろんセリアーナだ。

 まだ昼前だから時間に余裕はあるが、それまでにしっかりと【ミラの祝福】改とマッサージを終わらせなければならない。

 先日済ませたエレナに、テレサとフィオーラと、ギャラリーもたくさんいる。

 彼女達は、以前はエレナのベッドが置かれていたスペースに最近新しく置いたソファーに座り、興味津々といった様子で、こちらを見守っている。

 うむうむ。

 期待に応えるためにも気合いを入れないとな。


「セラ? 顔や髪はしないのかしら?」


 っという訳で、セリアーナの寝室で気合を入れて施療を行っているのだが……、全身をやる場合は通常頭から進めるのが今日は腕から始めている事に、セリアーナは疑問を感じたようだ。

 普段はベッドに横になって行っているのに、横にならずにベッドの端に座りながらってことも、拍車をかけているのかもしれないな。

 施療後のエレナを見てこの新しい手法の効果はわかっているが、ツボ押し棒の事はエレナも何とも答えにくかったようで、痛い事は痛かったが……とぼかしていた。


 だからだろうか?

 大人しく受けてはいるものの、珍しく声が気弱な感じだ。


 だが、これは単純に手順を変更しているだけの事。

 マッサージする際には横になって貰うから、折角髪を綺麗にしてもボサボサになってしまう。

 先に試したエレナはそうなっていたからな……どうせ手間は変わらないのだから、最後の仕上げに回す予定だ。


「随分丁寧にやるのね。加護の威力も私の時と同じかそれ以上?」


「力だけならフィオさんの時の方が上かな? でも、普段やっているよりはずっと上だよ」


「まだその棒は使わないのですね」


「コレを使うのは、先に加護を終わらせてからだね」


 フィオーラとテレサは興味があるのか、施療を見守りながらも質問が飛んでくる。

 それらに答えながらセリアーナへの施療の箇所を変えていくが、彼女も最初は身構えていたからか体が強張っていたが、順番は違うものの施療自体はいつも通りだと気付きリラックスしていた。

 じっくり丁寧に続けていき、【ミラの祝福】改は頭を除き完了した。


 さぁ!

 ここからだぞ!

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・13枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 作中でもう5年か~ つまりセラさんが今中学生くらいの年になってるんですっけ?
[一言] >出会った時は14歳だったが……もう19歳。 作中時間で5年になるのか……感慨深い…… それはそれとしてセリアーナ様は 「5年も経つのにこの娘成長しないわね」 とか思ってそう
[良い点] 謎の緊張感
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