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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
1章・さらば孤児院。よろしく異世界
5/1999

03

3話目にして、ついに会話が…

あれから10日。

その間色々試し、分かったことがあった。


まずは【隠れ家】本体の事。


入り方は、壁や床といった、平らな場所で扉を開くようなイメージを持つことで入る事が出来る。

最初発動できたのは、まさに壁を向いて寝転がり、扉を開けることを考えていたからだ。

中々日常生活の中でそんなことは無いことを考えると、運が良かった。


扉の大きさは大体縦2メートル横1メートル位で、自分と一緒なら物も入れる事が出来る。

水を貯めて減り方で確認したが、大体外と同じ経過の仕方だった。

何でもかんでも放り込むわけにはいかないが、保管場所としては文句無し。


部屋から出る方法は簡単。

ただドアから出るだけだ。


そして、部屋の中身についてだ。


かつて使っていた家具がそのままあった。

テーブルやソファー、ベッド等はもちろん、冷蔵庫やエアコンにパソコンといった家電までもそのままあった。

おまけに、どこから引いているのかはわからないが、水道や電気も使えた。

インターネットは繋がっていなかったが、まぁそれは仕方ないか。


家具がある一方その中身は残念ながら何もなかった。

本や服、寝具に雑貨。

パソコンも、BIOS画面には行けてもOSが入っていなかった。

強いてあげるなら、オール電化が故に、部屋にサービスで付いていた一人用の鍋とフライパン位だ。

これは地味に助かる。


思わぬ事態ではあるが、これで脱走の目途が立った。

明日は馬車止めの掃除。

時期もちょうどいいし、これは俺に波が来ているね!



今は秋の2月の終わり間近。


この世界は、春夏秋冬それぞれ3ヶ月ずつあり、春の1月が年明けだ。

孤児院では、冬の1月が来たら7歳の子供は翌年の冬の3月まで部屋を分けられる。

正確な誕生日がわからない子供が多いから、確実に聖貨を回収する為だろう。


そしてその聖貨をさらに回収する為に教会から人がやってくる。

正確な日程はわからないが、いつもその2~3日前に馬車止めの清掃を命じられる。

それで大体予測がつく。


必要なものは大体揃えたし、後は…


「おいっ‼」


掃除しつつ、あれこれ考えていたところ院長の怒鳴り声に邪魔をされた。


「何ですか?」

「ワシの本を知らんか!」

「本?院長先生がいつも持ってるやつですか?」

「違う!ワシの部屋の本だ、知らんのか⁉」

「やー、知らないです」

「そうか…見つけたらすぐに知らせろ。くそっこの忙しい時にここにも出たか…」


そう言うと、院の中へ戻っていった。


院長の部屋に入れるのは、俺を含めて数人。

もう少し詰められるかと思ったが、無くなった本はどれも図鑑サイズ。

1~2冊ならともかく、何十冊もは子供じゃどうにもならない。

きっと、ここ数日の間街に現れている泥棒の仕業と思ったのだろう。


まぁ、俺なんだけども。



脱走するにあたって、流石にこの街に居続けるわけにもいかない為、よそへ出る必要があったが、移動の問題があった。


隣村まで街道を西に歩いて半日位だってことは知っているが、実際はどんな道で、安全なのかはわからない。

俺は街から出た事が無い。

だから、今度回収に来る教会の馬車内部に【隠れ家】を使って忍び込むことにした。

事前に馬車止めに潜んでおけば難しくはない。

そして、そのまま街の外。だ。


他の街の治安や景気はわからないが、少なくともこのままここにいても先が見えているし、チャレンジする価値はある。

後は、孤児院から逃げ出す理由だが、そんなもの腐るほどある。

年に数人はいるし、適当な子の前で不満を口にしておけばそれで十分だ。


数日のうちに教会の人間が来るはずだし、備えも十分。

善は急げ。だ、もう今日にしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 隠れ家スキル欲しすぎる。どこでもドア並に欲しい
[良い点] 前回280話位まで拝読させていただきました。 更新が進んでいるので最初から読み返したいと思います。 結構読み返すと1回目で気付かなかった事とかに気付いたりして話が面白くなるんですよね。 楽…
[気になる点] スキルってことは、汚れとか付かないのかな? 掃除必要なしとかめっちゃチートやん、 でも一般家庭って考えると、掃除機とかは存在しそう、何かに使えるのか?な? 洗剤とかシャンプーも備え…
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