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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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 雲一つなく晴天が広がる、リアーナ領都。

 そこをジグハルトと共に職人街に続く道を進んでいる。


 俺は普段街に出るときは、護衛にテレサかアレクが一緒にいる。

 2人が忙しい時は、騎士団から何人か……下手したらセリアーナやリーゼルよりも警備は厳重かもしれない……。


 だが、今日はテレサはセリアーナ達と共に、普通にお仕事で、アレクは昨日起きたダンジョンでの事故の検証やら何やらでオーギュストと共にダンジョンに潜っている。

 一応ジグハルトも誘われていたのだが……「気が乗らない」の一言で断っていた。

 なんでも、魔物やダンジョンの調査は好きでも、昨日のような事故には興味は無いらしい。

 確かに原因ははっきりしているし、対処法は個人じゃなくて組織で考える事だもんな。

 彼向きじゃないかもしれない。

 ちなみに俺も調査に参加するかと聞かれたが、「ピンと来ない」の一言で俺も断わった。


 んで、今日はダンジョンは閉鎖となり、俺は今日もダンジョンに向かう予定だったのだが中止となった。

 別に屋敷でいつも通りゴロゴロしていてもいいのだが、折角外に出る気になっていたし、今日は少し街で用事を片付けることにした。


 そして、昨日はなんか予定があったとかで屋敷にいたが、今日はダンジョンに向かう予定だったジグハルトも同様で、彼が護衛役を買って出てくれた。

 彼も俺の向かう先に用事があるからついでに……ってことだったが、いやはや豪華な護衛だ。


 それはさておき……。


「あっついねぇ……」


 額に汗が浮いてきた。

 舗装されたアスファルトやビルの熱の反射……室外機の熱気も無いこの世界でも、暑いもんは暑い。

 まぁ、この街は舗装が進んでいるからってのもあるかもしれないが……。

 日傘代わりの傘も置いて来たし……直射日光を頭部に感じる。

 帽子でも今度作ろうかな?


 服の襟を引っ張りパタパタと扇ぐが、あまり効果は無い。

 今の俺のは、エプロンこそ外しているが黒のワンピース……外出る時はいつもの恰好だ。

 黒だから、熱を持って暑い暑い……。


「んー……? まあ、夏だからな。だが、暑い事は暑いが今年はそれ程でも無いぞ? お前はもう少し外に出た方がいいんじゃないか?」


 俺のぼやきを聞いたジグハルトが、軽い口調でからかってくる。


「……涼しくなったらね」


 軽口を叩きあっていると、職人街にようやく到着した。

 中央広場は人も多かったがこの辺までやって来ると、通りを歩く住民の姿は無い。

 代わりにトンテンカンテン……と、木やら金属を削ったり叩いたりする音が、そこら中から響いている。


「場所はわかっているのか?」


「うん。一際大きい建物で上からでも目立つからね。すぐ見えて……あぁ、あそこあそこ」


 ジグハルトの質問に答えていると、通りの先に目指す建物が見えてきた。

 工房が建ち並ぶ一画なだけに地味な建物が多いが、その中でも一際大きく、おまけに地味な建物。

 あれが、お目当ての工房だ。


 敷地の外周を囲むように塀はあるが、特に警備がいる様子は無い。

 呼び止められる事無く中に入り、デカい扉を開けて中にお邪魔した。


 ◇


「ん? やあ、セラ副長…………っ!? ジグハルト様!?」


 工房に入ると、まずは一目見て俺だと気付いたおっさんがいた。

 記念祭の露店で店番をやっていたおっさんで、砕けた挨拶をしてきたのだが、彼は俺の一歩後ろを歩くジグハルトに気付くと、悲鳴じみた声でその名を呼んだ。


 工房内は色々な作業音で大分やかましいが、彼の声も作業音に負けず劣らず大きい。

 そして、工房内に響いたその声を聞いた職人たちがどよめき声をあげて、奥から顔を出してくる。


 そのおっさん達の視線は、俺のちょっと後ろに向いている。

 ……ジグハルトが目当てだな?

 恐らくジグハルトはこの街……というよりも領地で一番知名度がある。

 やはり、二つ名だったり最強だとかの呼び名は強烈なんだろう。

 ちょっとしたアイドルが登場したような雰囲気になっている。

 それに対するジグハルトのあしらい方も慣れたもんだ。


 おっさん達がおっさんに熱視線……暑苦しい。

 とりあえず、おっさん達の事は置いておくとして、俺の用件を伝えようかな。


「注文があるんだけど、いいかな?」


 騒ぎを聞き奥から出てきた、偉そうなおっさんに声をかける事にした。

 このおっさんもジグハルトに熱い視線を向けているが……我慢してもらおう。


「……ん? あっ……ああ、もちろんだ。棚か? それとも椅子か? 何でも作るぞ?」


 と、自信たっぷりに答えた。

 何でもか……実に頼もしい!


 ◇


 俺が今日わざわざ工房まで足を運んで注文するのは、魔物の置物だ。

 記念祭の露店でも領内の魔物の置物はあったのだが……如何せんデカかった。

 1体30センチくらいあった……流石にそのサイズを何体も……となると……。


 だから、今回1体10センチほどの縮小サイズで作って貰う事にした。

 ついでに、それを収納する棚もだ。

 別に誰に見せるってわけでも無いが、どうせなら綺麗に飾りたいからな。


「職人は誰を指名するんだ?」


「へ?」


 ……指名制なのか。

 なんも考えていなかったぞ……?

 傘は魔道具の工房で作ったが、あそこはミネアさんの推薦だったからな……工房側が良い様にやってくれた。

 今回は俺が自発的な注文で、自分で決めないといけないのか……どうしたもんか……あ!


「んじゃ、あのおっさんで」


 遠巻きにこちらを眺めている野次馬の中にいる、あの露店のおっさんを指名する事にした。


 まぁ、出来が悪いようなら竈行きだが……基本的に腕の悪い人ってのは若いうちに追い出されるし、おっさんになるまで働いているって時点で、ある程度腕は保証されている。

 パトロンなんて大したもんじゃ無いが……正直誰でも良いしそれなら顔を知っている彼でいいだろう。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 実はそのおっさん職人ではなく事務職とかの可能性も微レ存
[一言] ついでに狼、ゴリラや蟷螂のも注文しよう
[良い点] 芸術の担い手に発注しお金をばら撒いて偉い! [一言] お金持ちが無駄に溜め込んでいい事なんか一つもありませんからねぇ 置物に日傘に帽子に…購入してる(する)モノを羅列すると立派に貴族やって…
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