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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
15章・リアーナでアレコレと。

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489 偉い人・side その2

 集まった者達の間で安堵の声が広がる。

 何人かは表情に変化は無いが、やはり大半の者はそれを懸念していたのだろう。


 リーゼルの方に視線を向ければ、肩を竦めている。

 彼からしたら、そんな無理な命令を下すかもと、不安に思われる事は屈辱だろうが……ルトルの代官を務めた時期を入れても3年足らず。

 流石に信頼関係を築くには時間が無さ過ぎだ。

 本人もその事を理解しているからこそ、この仕草なんだろう。


 とはいえ、これは本題ではない。

 室内のざわめきも落ち着いた頃、改めてリーゼルが話を進めた。


 ◇


「……戦争ですかっ!?」


 リーゼルの言葉に、静まり返った室内がまたも騒がしくなった。

「事実なのか」「どことなのか」そして「我が国がなのか」……まあ、気にはなるだろう。


 我が国は新領地を設立してまで、王家主導で魔境の開拓に乗り出した。

 教会を通じて、中央から離れた未だ影響力の大きいままの東部辺境から、聖貨を定期的に運んでいる西部の有力勢力……帝国と連合国にしてみたら、そこを潰されるわけだし、何かしらの妨害を……と考えてもおかしくはない。

 実際その片鱗はあった。


 だが、今のところ想定以上に順調に潰せている。

 ダンジョン開通前後に、何かしらの妨害があると予測していたが、すでに開通しダンジョン内部の調査もひと段落した。

 内部に割く兵力を外に回す事が出来るため、領内の西部勢力の封じ込めも上手くいっている。

 その事は帝国や連合国も理解できているのだろう。

 彼等に怪しい動きは見られない。


 強いて気を付けるとしたら、領内の残有勢力と西部との連携を妨害しているため、その連中が独自に動く可能性だろうか?

 王都での結婚式の際も似たようなことがあった。

 もっとも、領都以外でそれをする意味は無く、領都内であればすべて私が把握できる。

 無駄に終わるだろう。

 私の加護抜きでも結果はさほど変わらないはずだ。

 だから、国内ではこの考えが主流だった。


 だが、西部の小国家のいくつかが、兵を東に集めているという情報が伝わってきた。

 大森林同盟は、加盟国が他勢力から侵略を受けた際には、互いに兵を派遣し合う決まりがある。

 そうなると、新領地だからこそ兵を出さなければ、他家や他国に侮られかねない。

 リアーナ領から兵力を持って行くにはいい手だ。


 室内で騒めく彼等を眺めると、複数種の驚き方があって面白い。


 1つは、戦争自体を予期していなかった者。

 1つは、予期していても、その策が潰れたと思っていた者。

 1つは、西部の動きをある程度掴んでいて、それでも尚、戦争は起こらないと思っていた者。

 様々だ。

 どうしても入手できる情報に限りがあるから、その情報網の太さによってばらけているのだろう。


 リーゼルは皆が静まるのを待つようだが、その前に1人の男が手を挙げた。

 アリオスの街の代官だ。


「よろしいでしょうか? 西部のいくつかの国が、軍事行動の用意をしているとは私の耳にも入っております。ただ、それでも帝国や連合国といった西の大国が動いている様子はありません。それでも事を起こすのでしょうか?」


「ああ。起こすだろうね。来年の春か秋……どちらかの雨季に合わせて布告してくるはずだ」


 リーゼルは自信を持って答えた。

 最初の1人が出れば、次は自分も……と次々に質問の声が上がったが、そのどれもに応じていった。


 ◇


 会議を終えて、私達はリーゼルの執務室の隣にある、談話室に場所を移した。

 代官連中は、まだ屋敷に残り、各々情報のやり取りをしているのだろう。

 ついでにリーゼルに対しての陰口も。

 まあ……それくらいは許そう。

 あの後の質問にも、答えはしたが肝心の情報は伝えていないし、対処も騎士団が行う……それだけだった。

 口には出さないが不満はあるだろう。

 だが、それも実際に事が起き、そして切り抜ければ問題無い。

 些細な事だ。


「……それで? 領地のお偉いさんが集められているのは知っているが、俺たちがここに集められたのには何か理由があるのか?」


 と、ジグハルトが口を開いた。

 会議が終わる少し前から、彼やフィオーラ、テレサやエレナもこの部屋に集められていた。

 アレクやオーギュストは騎士団幹部として先程の会議にも出席していたが、彼等は別だ。

 その彼等に、リーゼルは丁寧に説明をしていく。

 実質この集いは彼に理解を得るために行っているものだ。

 リーゼルもさすがにジグハルトには気を遣うようだ。


「なるほど……戦争は起きるのか」


 会議の流れやリーゼルの説明を聞いたジグハルトは、会議室の彼等と違い納得できている様だ。

 情報量にそこまで差は無いはずだが、やはり西部で傭兵としても活動経験があるからだろうか?


「ああ。過去にも東部で新たなダンジョンを開通させて1年以内に、西部が何かしらの動きを見せていたからね。ウチは幸い犠牲無しで切り抜ける事が出来たが、まともに挑むと少なくない数の犠牲が出てもおかしくない。それによって生まれた魔人の討伐や、そもそも減ってしまった精鋭の穴埋めで、どうしても兵力が足りなくなるからね。西部の目的は、勝つことでは無くて東部を混乱させて、介入の余地を作る事だ」


「若い頃に、詳しい理由を知らされずに東部の国に仕掛けたことがあったが……そう言う事か……」


 ジグハルトは積年の疑問が晴れたのか、随分嬉しそうだ。

 戦争という事態をあまり重くとらえていないのかもしれない。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・7枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・7枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラさんが上空から爆撃するだけでもかなり効きそうだよね
[一言] わ~い、戦争中はダンジョン独り占めだ~
[一言] ここ以外だとヤバかったかもしれないなぁ
感想一覧
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