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軽い打ち合わせを終えた後、ダンジョンへと向かった。
流石有名人だけあって、浅瀬を駆け抜けている途中、ルバンとすれ違う冒険者達の眼差しに畏敬の念が見える。
その後ろの女性陣を見て鼻の下が伸び、続くアレクを見て驚き、最後に俺に気づきマジかよっ⁉となる。
前のアンデッドと間違われた件で、俺にも二つ名がつきかけてたんだよね。
「浮遊霊」って…。
このままだと「背後霊」とかついてしまわないだろうか?
もう少し前に出れると良いんだけど、強いんだ。
ルバンもその仲間も…。
まずプロフェッサー・ルバン。
180センチくらいの細身だが長身のにーちゃんで、中々のイケメンさん。
魔法を使うらしいが今は剣だけで戦っている。
細身の剣なのにズバズバ切り裂いているし、きっと業物なのだろう。
確実に一太刀で仕留めて行っている。
次はミーア。
背はどれくらいだろうか?
やたらごついブーツを履いているから正確にはわからないが、多分170センチくらいか?
短槍を使っているが、穂先が刺さったと思ったら、破裂している。
多分何かの加護も持っているはずだ。
腰に鉈も差しているがそっちは使っていない。
中々パワフルなねーちゃんだ。
そしてマリーダ。
小柄だがミーアと同じく前で双剣を振り回し戦っている。
後ろから見ていると冷や冷やするくらい接近しているが、全く危なげなく倒しているあたり、戦闘技術の高さがわかる。
更にそれだけでなく、魔法も使っていて、所々ルバンやミーアの援護をしている。
武器の間合いこそ違うが、エレナに近いタイプかも知れない。
最後がキーラ・ウィンブル。
ウィンブル子爵家の4女で、ルバンの最初の仲間で、この人と結婚する為に貴族を目指したのがきっかけらしい。
金髪ロングの美人さん。
うん、貴族令嬢って言われてもしっくり来る。
3人は鎧を着ているが、鎧ではなく素材は一緒みたいだがジャケットを着ている。
今の所出番が無いが回復魔法が使えるらしい。
これプラスにアレクか…。
そりゃ俺の出番は無いわ。
どんどん進んでいきもうすぐ上層だ。
「ん?前にイノシシの群れ。多いよ!」
考え事しつつも仕事はしっかりしている。
うん。
俺の役割は戦う事じゃないからこれでOKなはずだ。
「数は?」
ルバンが足を止め数を聞いてきたので、少し前に出て数を数える。
ひーふーみー……。
「11頭だね」
「そうか…」
数を聞いたルバンが何か考えている。
何だろう?
多いけれど大した事はないはずだが…。
「丁度いい。俺たちの戦い方を見てもらおう。アレクシオは下がっていてくれ。ミーア、マリーダ、行くぞ!」
「セラ、私の後ろに来なさい」
言われた通りキーラの後ろに回る。
アレクも近づいてきて、俺の脇を固める。
何か知らんが守られてる気がする。
そして、周りの空気が冷たい。
ダンジョン内は暑くも寒くもないが、これは……加護か?
移動したのを確認したのか、こちらを見ていたルバンは前を向き、マリーダに合図を出した。
それを受け、双剣を打ち鳴らし音を立てる。
音を聞きこちらに気づいたイノシシ達は突進してくるが…。
「赤波!」
どうすんのかな?と思い眺めているとルバンの声と共に前方から赤い光と熱が差し込んだ。
「なんじゃあああぁぁぁ⁉」
思わず叫んでしまったが、これ…魔法か⁉
4~5メートル程の炎の波がイノシシ目がけて突き進んでいる。
距離をしっかりとっているのに肌が熱でヒリヒリする。
キーラの加護があってこれか…。
猪突猛進という言葉があるようにこの世界のイノシシもすぐ突撃してくるが、熱か光かあるいは両方に驚いたのか足を止めている。
「赤光!」
そこにすかさずルバンが追撃にまたしても魔法を放つが…手からビーム出しおった…。
放たれたビームが中央のイノシシを4頭まとめて貫く。
分断された群れの左側にミーアとマリーダが襲い掛かり1頭ずつ仕留めて行く。
残りの右側はルバンが1人で狩りきった。
……俺の知ってる魔法と違い過ぎない?
セラ・【隠れ家】【祈り】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・13枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【】・【赤の盾】・1枚