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「ルバンって知っているか?」
上層への誘いに乗っかったはいいが、ゼルキスですら行った事が無いのになんでまた?と思い聞いてみた。
「ルバン……ってプロフェッサー?」
プロフェッサー・ルバン。
ダンジョンもだが魔境の探索でも多くの功績を上げて、確か士爵かなんかの爵位も持っていたはず。
まだ若いのに魔王種の討伐も何度か成功している。
SだのAだのわかりやすいランクは無いが、メサリアどころか同盟内でも屈指の冒険者の一人だ。
戦闘能力はもちろんだが、調査や研究でも高い能力を発揮し、いつの間にやら「プロフェッサー」という二つ名がついたとか。
見た事は無いけど冒険者ギルドでもよく話を聞く。
パーティーを4人で組んでいるそうだが、他の3人は女性でおまけに美人なハーレムパーティーらしい。
妬ましや…。
1度見てみたかったのだが…。
「そう、そのルバンだ。実験に使う素材で上層の遺物が必要らしいんだが、たまたま組む相手が見つからなかったとかで、俺とお前を指名してきた」
「アレクはともかくオレも?」
俺も多少知られてきているし、それなら誰かと組むのには向いていないってわかりそうなもんだけど、どういう事だろうか?
「盾の俺と、上から索敵のお前。一応戦力として当てにしているんだろうが、本命は売込みと見定めだろうな」
「売り込みはともかく見定めって…?」
それこそ何で俺が?ってなる。
「どうもお嬢様の結婚や新領地の事を掴んでいるみたいだ。それに向けてだろう。エレナは王都でも知られているが、俺もお前も無名だろ?後々の事を考えると、重臣になる俺たちの事を知っておきたいんだろうな」
「そうでもないならミュラー家の紋章や名前を使わせないわよ?」
唖然としている俺を見てセリアーナが補足してくる。
マジかよ…。
いや…2人はともかく俺までとは考えもしなかった…。
食客というかお抱え冒険者的立ち位置に落ち着くと思ってたが…。
でも悪いことでは無いよな?
「まあ、そういうわけだ。あいつも爵位を持っているが、上手くいけばさらに上を目指せるだろうからな。メンバーに貴族がいるから結婚を考えると、この機会を逃したくないんだろう」
「は~ん…」
まぁそこら辺は俺には関係のない事だ。
上層と、トップクラスの冒険者の実力を見させてもらおう!
◇
そんなこんなで探索当日。
アレクと共に待ち合わせ場所の冒険者ギルドの貸出室に向かった。
この部屋の存在を初めて知ったが、複数のパーティーが打ち合わせをする際に中立の場って事で使われるらしい。
まだまだ知らないことでいっぱいだ…。
「ルバンだ。今日はよろしく頼む」
そう言い左手をアレクに差し出し、握手をしている。
部屋には既にルバン達が揃っており、早速挨拶を済ませた。
神経質そうなのを想像していたが、中々爽やかで気のいいにーちゃんである。
装備は剣に革製の鎧を着けている。
パーティーメンバーも1人は鎧ではなくジャケットだが全員軽装だ。
確かにこれなら攻撃を受ける役が欲しいのもわかる。
「今回の目標は上層中頃のオオジカの角だ。それを1本手に入れたい。まず上層まで一気に駆け抜ける。俺達なら大丈夫だろう。上層に着いてからは、基本的にはそれぞれ1体ずつ仕留める。オオイノシシやオオグマあたりの大物が出た時はアレクシオ、お前が盾を務めてくれ。セラ嬢は上からの索敵だ。魔物の群れや他の冒険者との衝突に気を使って欲しい。出来るかい?」
「問題無い」
「オレも大丈夫ー」
結構説明が丁寧だ。
他の冒険者が即席で組んで、「よし行くぜ!」「おう!」って感じのを何度か見たけど、ちょっと違うな。
「報酬はそれ以外の遺物を売却し、その代金を俺達とそっちで半々だ。聖貨は獲得した者がそのまま得る。どうだい?」
「ああ。それでいい」
俺達2人だけどいいんだろうか?
俺がずいぶん楽をしている気もするけれど…。
セラ・【隠れ家】【祈り】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】・8枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・13枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【】・【赤の盾】・1枚