表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン
462/2038

458

「回収する!」


 へし折った鎌が地面に落ちるが、アレは放置していると危ない。

 返事を待たずに、急ぎ取り付いていた腕から離れて、鎌ごと【隠れ家】に入り込んだ。


 ギラギラと黒く光る鋭い鎌。


 1,5メートル程の長さで、人くらい簡単に斬れてしまいそうだ。

【隠れ家】に入ってすぐのところに置いておくと、俺は大丈夫だが、後で入って来た人が危ないから、もう1つの部屋に置いておこう。

 サイズに見合う重さだが、尻尾でなら引きずれる。


「……ふぅ」


【隠れ家】の中に入ると、思わず大きく息を吐いた。

 ボスカマキリの行動はパターン化していたし、さほど危険は無かったが……やっぱり緊張していたんだろうな。

 ちょっと顔でも洗ってお茶を飲みたい気分だ。


 ……あ、これか。

 緊張感が途切れるってやつは。

 これは確かに緩んでしまう……。


「……ふぬっ!」


 ぺちん! と両頬を叩き気合を入れなおした。


 まだ鎌一本。

 反対側も残っているし、何より本格的なダメージはまだ与えられていないんだ。

 とにかく脚を潰して、胴体なり頭部なりに打撃を叩きこまないと、話にならない。

【影の剣】や【緋蜂の針】での攻撃が有効なのはわかったし、俺も十分役に立てる。


 ドアの覗き穴を覗き込むと、少し離れた位置で、カマキリの右側からアレクが【赤の盾】を背中に戻し、攻撃を仕掛けている。


 今なら出ても危険は無いな。

 第2ラウンドだな……行くぞ!


 ◇


 第2ラウンド。

 左腕の鎌の攻略中だ。


 右腕の脅威が無くなった事で、アレクは足への攻撃に専念している。

 併せて俺も右腕の時と同じく左腕に取り付いて、関節に攻撃を仕掛けているが……少しボスの行動パターンに変化が表れてきた。


 今までは身体の位置の変更したりはあったが、攻撃は鎌を振るう事だけだった。

 だが、その鎌が一本になったからか、体当たりや飛び上がってから押し潰そうとしてきたりと、今までとは異なる攻撃もするようになって来た。

 ……舐めプを止めたのかもしれない。


 もっとも、ボスは硬いし重いし身体は大きいしで、確かに脅威なのかもしれないが、それもあくまで当たりさえすればの話だ。

 結局すぐに対処できるようになった。


 このまま一気に左の鎌も……と勢い込んで仕掛けようとしたが……。


「増援! オオザル3体!」


 腕に取り付き【影の剣】を振りかぶった際に、視界の端にオオザルの姿が見えた。


 相変わらず他の魔物達は麻痺して倒れているが、おサル達には効かなかったようで、こちらに向かって駆けて来ている。

 強いもんな……おサル。

 とはいえ、この増援はちょっと厄介だ。


 ボスの対処は出来ているし、慣れて来たからか随分優位に立てている。

 それでも、ただでさえ少数での戦いなんだ。

 おサル相手に人数を割くわけにはいかない。


 直接討伐に影響のない俺ならいけるが……俺じゃ3体はおろか1体だって相手にするのは厳しいだろう。

 他のメンバーだって複数を相手取ってとなると……。


「構わん! そのまま合流させろ。纏めてやるぞ!」


 どうするべきかと迷っていると、ジグハルトが声を上げた。

 多少厄介になろうとも、このメンバーを分けるよりは、互いに援護が出来るように纏まって戦った方がいいんだろう。


「わかった! 迎え撃つぞ! セラ、お前はオオザルに専念してくれ! 鎌は後回しでいい」


「!? りょーかい!」


 アレクの指示に答えたはいいが……どうすりゃいいんだろう。

 適当に飛び回って牽制でもしておけばいいのかな?


 ◇


「セラ、今よっ!」


 連発された魔法の爆音に交じって飛ぶ、フィオーラから俺への指示。


「ほい!」


 それに従い、3体のオオザルへ突撃する。

 幸い土煙で俺の姿は見えておらず、反応は鈍い。

 一方俺はヘビ達の目で問題無く見えている。


「はぁっ!」


【緋蜂の針】を発動し、3体の頭部に正面から蹴りを入れていく。

 オオザルの核は胸部の奥にあって、【影の剣】の長さでも何とか届きはする。

 だが、その為には俺が懐に入り込む必要がある。

 最終的にはそれをやる事になるかもしれないが、今はまだ攻撃を続けて弱らせる段階だ。


「おっと……!」


 土煙が晴れる前に離脱をする。

 オオザルたちは腕を振り回しているが、既に俺はもう間合いの外だ。


 オオザルたちとの戦闘は、主に俺とフィオーラが担当している。

 方法はシンプルに、フィオーラの魔法で動きを止めて、その間に俺が蹴りを入れてちょこちょこダメージを稼ぐ……だ。


 そして、戦う場所はボスの左側。

 少々離れてはいるが、上手くタイミングが合えばオーギュストが止めを刺しに行ける配置だ。

【風の衣】で撃ち出せば、これくらいの距離なら問題無い!


 ジグハルトも一撃で決められるかもしれないが、その為には少々魔法の溜めが必要だからな……ボスとの戦闘をこなしながらだと難しいし、今彼が抜けるのも少々きつく、ここは団長様に譲ってもらおう。


「悪く無いわね。このままいきましょう」


「はいよ! ……お?」


 一旦フィオーラの下に戻ったが、その俺を追ってかオオザルたちがこちらに向けて駆け出した。

 今までとは違う行動だ。


「オーギュス……っ!?」


 想定外ではあるがチャンスに違いは無いと、フィオーラはオーギュストの名を呼ぼうとしたが、さらに想定外の出来事が。

 ボスが大きくジャンプをした。

 今までもジャンプする事はあったが、それは攻撃の為だった。

 だが、このジャンプは左側に向けてで、自身に攻撃をしているアレク達から距離を取り、オオザルたちと合流する為だ。


 宙にいる俺達のすぐ下を通り過ぎていく。

 今の隙に攻撃出来たかもしれないが、巨体が飛んでいく迫力についつい手を出し損ねてしまった。

 そして、ズゥンと重量感溢れる音をボスの間に響かせながら、オオザル達の後ろに着地した。


 何十メートル飛んだんだろう?

 本気を出してきたと思っていたが、まだまだ力を隠していたのかもしれない。


 ともあれ、これでオオザル達と合流を果たされてしまった。

 俺達もアレクを先頭に陣形を組み直そうと動き始めたのだが……。


「ほ?」


 何を思ったのか、ボスは残った一本の鎌を真横に振り抜き、自身の前に立つオオザルを切り裂いた。

 オオザルは綺麗に腹から上下に真っ二つにされている。

 なんつー切れ味……。


 そして……。


「……ぇぇぇ」


 上半身を鎌で引っ掛けると口元に持って行き、食い始めた。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】・【浮き玉】+1【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・3枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もぐもぐタイム!
[良い点] 読み返しました! 面白かったです! 主人公強くなるのが好きなので、ガチャシーンは毎回どきどきして自分がガチャ引くような気がして楽しいです! これからも頑張ってください!
[一言] これじゃ周りにいて毒で動けない雑魚モンスって回復薬みたいなもんだな。確かまだボス戦だからお片付けしてないよね。セラは暫く蛇達と掃除係かな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ