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発売から3週間。今週も宣伝だー!
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リアーナダンジョン上層部のホール間を繋ぐ通路。
似たような構造のダンジョンはあるが、大抵その通路には魔物は出て来ず、休憩に使われているらしい。
だが、リアーナダンジョンは、そこにもしっかり魔物が出ている。
通路自体も広いし、王都ダンジョンの浅瀬奥と似た雰囲気で、出てくる魔物は……。
「はあっ!」
オオイノシシの突進をアレクが盾で受け止めた。
だが、受け止められたオオイノシシの後ろから、さらに抜けてきたコボルトたちが、アレクの脇を抜けようとしている。
「ふっ!」
だが、エレナが振るう槍の様に伸ばした【緑の牙】が、その1体1体の額を貫いていった。
「ぉぉー……。よっと!」
久々に見るエレナの腕前に感心しつつ、俺もアレクが受け止めたオオイノシシの核を、頭上から貫いた。
周りを見るが、既に他の魔物はジグハルト達が仕留めている。
戦闘後、念のためしばらく周囲をうろついていたが、新たな魔物の姿は無かった。
とりあえず、この通路での戦闘はお終いだな。
「お疲れー」
皆の集まる場所に俺も降りていき、皆に声をかける。
今日のメンバーは、アレク、ジグハルト、フィオーラに、エレナだ。
上層探索も変わらずテレサが同行していたが、今日は騎士団の方の仕事があるので、そちらに参加し、その代わりにエレナが入ってきた。
彼女がダンジョンに潜るのは、王都から帰還した後にゼルキス領都に滞在していた時以来だから、2年以上間が空いている。
急に新ダンジョンの探索にだなんて大丈夫なのかな? と思ったが、……いらん心配だった。
俺が王都に行っている間に、少し外で体を慣らしていたそうだが、【緑の牙】を器用に扱い、危なげなく魔物を倒していた。
セリアーナについている事が多く、専ら侍女としての仕事ばかりだったのに、全く衰えていない。
……幼少期からの訓練の賜物なんだろうか?
「セラもお疲れ様。周囲に魔物はいないかな?」
俺に気付いたエレナが答えた。
「うん。とりあえずこの通路にはもういないね」
それを聞き、改めて皆の空気が和らいだ気がした。
「強さ自体は大したことは無いが……、一息で蹴散らせないのは面倒だな……」
「そうですね。魔獣と妖魔種とが合わせて出て来るから、ここは少し気が抜けませんよ……」
「ああ。ここを抜けるのには、大人数か複数パーティーでの連携が前提になって行くかもな……」
休憩ついでにアレクとジグハルトが、先程までの戦闘を振り返りながら、意見を出し合い、側でフィオーラが紙に記している。
この通路はそこまで狭くはないとは言え、それでもホールとは違うからな……魔法で一気に蹴散らしたりは出来ない。
そのため地道に倒していく必要があるが、出てくる魔物が少々問題だ。
妖魔種と魔獣の混成パーティーで、どちらもそこまで強力な種類は出てこないが、数が多いし、戦闘中にそれぞれに適した戦い方に変えていかなければいけない。
俺達は、アレクという盾役がいるから各個撃破できているが、一気に押し切られて混戦になると厄介だ。
まぁ、その辺は俺達の情報を基に、今浅瀬で狩りをしている第2陣が試していく事になるんだろう。
「……こんなところか。そろそろ出発しよう」
一通り意見を出し終えたのだろう。
探索再開だ!
◇
「ほっ!」
先制で【ダンレムの糸】から真ん中目がけて矢を発射して5‐6体を纏めて倒し、その両側の魔物達にすかさずジグハルトとフィオーラが魔法で追撃を叩きこむ。
さらに討ち漏らした魔物は、逃げる場合が多いが、向かって来るものも徐々に増えて来て、そういった魔物はアレク達が仕留めている。
これの繰り返しだ。
【ダンレムの糸】が使用可能になっていない場合は、俺も接近戦側に加わるが……とりあえず、この上層での狩りは安定してきた気がするな。
やっぱり周りへの配慮をする必要が無いのは大きいんだろうか?
遠慮なく破壊できているもんなー……。
さて、このホールでの戦闘は終わった。
差し当たっての方針として、上層に踏み入ってから俺達は北を目指している。
場合によっては一つのホールに複数の通路があったりもするが、とりあえず、端まで行ってみようって事だ。
だが……。
「ここからは少し気配が違うな……」
入口から7個目か8個目のホールをクリアして、その奥にある通路手前まで来たのだが、そこからは少々今までとは違う雰囲気を感じた。
俺ですら【妖精の瞳】やヘビ達の目を通さなくてもわかるくらいだ。
皆もその手前で足を止めている。
「……オレが偵察してこようか?」
俺なら宙に浮いているし、壁なり天井なりに接触しながらなら、何かあった時にすぐに【隠れ家】に逃げ込む事が出来る。
「……いや、ここは止めておいた方がいい」
だが、ジグハルトに止められた。
「そうだな。無理をする必要は無いし、今日はここまでにして、引き返すか?」
アレクや皆もその意見に同意のようだ。
休憩もそこそこに、出口を目指すことになった。
……あの先に何があるんだろうか?
◇
ダンジョンから帰還後、俺とエレナはセリアーナの部屋に戻って、今日の探索の報告をしていた。
「ところで……お前の持っている聖貨は随分な数になったと思うのだけれど、使わないの?」
報告がひと段落したところで、俺を膝に乗せたセリアーナがガチャはしないのかと聞いて来た。
浅瀬独占によるフィーバータイムは終わってしまったが、それでも連日ガンガン狩っているし、確かに結構貯まってきた。
今まで聖貨が貯まったらすぐ使っていたから、不思議に思っているのだろう。
「ぬふふ……今40枚ちょっと。でも今回はもうちょっと貯めてから一気にやろうと思ってるんだ」
俺が本気でダンジョンで稼ぐ事に専念したらここまで貯められるようだ。
自分でビビる。
「……贅沢ね。まあ、お前の物だから好きにしなさい」
「うん!」
このペースだと、一般開放前には凄いことになりそうだな……。
楽しみだなー!
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・41枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚




