404
書籍版「聖貨を集めて、ぶん回せ!」発売中です!
まだまだ距離はあるが、王都を一周する長大な街壁が見えてきた。
白い壁が朝日に照らされて輝いている。
リアーナ領都もあそこに負けないような大きさにしたいとかセリアーナは言っていたが……大変そうだ。
土地と資材はあっても、作業要員の確保がな……領内の職人全部集めたら可能かもしれないが、それをやると他の街が止まってしまう。
セリアーナは残念がってこそいたが、その事を理解しているし、将来の目標……だな。
「見えてきましたね。……長くあそこに住んでいましたが、この様に空から眺める日が来るとは思いませんでした……」
テレサは初めて見る空からの王都に感慨深げな様子だ。
まぁ、いくら自分が住んでいる街でも、空から眺めるなんてそうそう無いし、無理も無いか?
「やはり門の前は人が多いですね。夜のうちに離れた位置で休息をとったのは正解でしたか。予定通り下に降りてこのまま入場します。入場後は貴族街側の宿に部屋を取り、ミュラー家の迎えを待ちます。よろしいでしょうか?」
王都まで1キロも無い辺りまで来ると、テレサはしっかり頭を切り替えたようだ。
王都への入場からその後の手順の確認をしてくる。
まだ夜は冷えるし移動時は大分着込んでいたが、【隠れ家】の中で事前に着替え済みで、パンツスタイルでこそあるが、貴族として恥ずかしくない恰好だ。
「うん。それでお願い」
「はい。しかし……やはり時期もあって、姫が単独で訪れた時よりも時間がかかってしまいましたね」
「そうだね……でも、こればっかりは仕方ないよ」
申し訳なさそうに言うテレサに、気にするなと伝える。
前回のリアーナ領都・王都間は4日間で踏破できたが、今回は6日かかった。
テレサが先程から口にしているように、人の往来が最も多い時期だけに、人目を避けてとなると、夜間以外の移動が難しい。
まぁ、いざとなれば4日で辿り着けるって事がわかっているし、そこまで気にする事じゃないと思う。
「そうですね……。それでは、向かいます」
「うん!」
◇
入場後は予定通りスムーズに行った。
宿でミュラー家に使いを出し、返事を待つ間にテレサは着替えていたのだが、さほど待つことなく迎えの馬車がやって来た。
相変わらず素早い……。
その後は、テレサは城へ、じーさんはルーイック家にそれぞれ面会の申請に向かった。
2人が忙しくしている間、俺はオリアナさんとお茶をしている。
「テレサさんも、もう少しゆっくりしてからでもいいのに……。休まなくていいのかしら?」
そういうオリアナさんも、セリアーナ達からの手紙を読みながら、俺から領地や子供の様子を聞いたりと、忙しない。
「片づけられる事は先に済ませておきたいんだって。一応王都の一つ前でしっかり休んではいるけど、今日はゆっくりさせてね」
「大丈夫ですよ。貴方やテレサさんの到着を知ると、面会の申請が増えますが……今回は事前に受けていたもの以外はどれも断わる予定です。貴方も領地で仕事を頑張っているようですね? セリアーナが王都ではゆっくりさせる様にと書いていますよ」
「あらま」
それは俺に言っちゃってよかったんだろうか?
セリアーナがこの場にいたら、照れ隠しにほっぺ抓ってきたりしそうだな……。
「私が言った事はあの娘には秘密ですよ?」
「りょーかい!」
手紙を置くと、オリアナさんは悪戯っぽく笑いながらそう言ってきたので、俺も笑って返す。
当初はあまり孫たちと絡む機会が無くて悩んでいたのに、上の2人と1年近く一緒に暮らしたのが効いてるのかな?
そう頻繁に会えるわけじゃ無いし、仲が良いのは良い事だね。
◇
「明後日?」
「はい。いくつか決まりごとはありますが……差し当たって姫に関係があるのは、恩恵品を持ち込まない事くらいでしょうか? 従魔の許可は得てきましたから、事前の審査は必要ありません」
あの後しばらくすると、城に行っていたテレサが帰宅し、面会の日程を教わったのだが……。
「そっか……いつも通りだね。それにしても随分早いね?」
前回は公爵の代行としてだったが、今回は私的な用事だ。
いくら王妃様に来るようにと言われていたとはいえ、到着した二日後になるとは思わなかった。
「今回は公務用ではなく王族の私的なエリアになりますから。多少の融通は利きます。そして、旦那様達から言われたように、そこで荷を受け取り【物置】に収めます。その際私達を除いて、部屋を空けるので安心して下さい」
【隠れ家】でなく【物置】の事を王妃様にも伝えるとは言われたが、城で使うのか……。
「りょーかい!」
でも、結局何を受け取るんだろう?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚




