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つい先日、無事エレナとアレクの子が生まれた。
色々と万が一の備えはしていたようだが、幸いどれも不要で、母子ともに問題無かったらしい。
らしい……と言うのは、俺達は出産後のエレナと会っていなかったからだ。
さらに出産後、一週間程の間だが、エレナは別室で子供と乳母と過ごしていた。
乳母がいると言っても、何でもかんでも任せるのではなくて、母親も一緒に母乳を与えたりするらしい。
一応生まれる前にも、簡単なレクチャーはあったそうだが、実地研修みたいなものかな?
別に面会謝絶という訳じゃ無かったのだが、セリアーナは警備の問題で部屋を出ることは無く、見舞いに行こうと思えば行けたが、俺も控えていた。
そして今日、エレナは子供と一緒に、セリアーナの隣の部屋に移ってきた。
とは言え、エレナはセリアーナの侍女兼護衛でもある為、当分の間……今建設中の屋敷が出来るまでは、この部屋で過ごすことになるらしい。
子供も、昼間はこちらに一緒にいるが、夜は隣の部屋で乳母が面倒を見るそうだ。
いわば子供部屋で、もうすぐ生まれるセリアーナの子供達や、乳母の子供達もその部屋で一緒に育てられることになる。
そのため、エレナは夜はこちらで過ごすことになる。
今までと一緒だ。
そんな事を話しながら、エレナは抱いた子供をセリアーナに見せて、セリアーナも随分柔らかい表情をしている。
この二人、妊娠前より仲良くなっている気がする。
あれだな……ママ友。
母親同士がこれだけ仲が良ければ、子供達も歳はひと月しか変わらないし、仲良くなるかな?
◇
しばらくすると、部屋にフィオーラがやって来て、アレクやジグハルト達が1階の談話室にいることを聞き、俺はそちらに移った。
上では女性陣が盛り上がっている事だろう。
俺も一応女だが、同じノリの会話は出来ないし、こっちに来て正解だと思う。
「そんで、名前は決めたの?」
上ではセリアーナ主導で話が進んでいて、エレナの体調や出産の時の話ばかりで、名前はまだ聞いていなかった。
抱かれていた子供も、眠っていて黒髪の子って印象しかない。
「ああ。ルケイオスだ」
ルケイオス君……どんな意味があるのかはわからないが、中々カッコいい名前じゃないか。
「……ルケイオス隊長か?」
真剣な顔で複数の茶葉をポットに入れていたジグハルトは、手を止めて顔を上げた。
最近フィオーラに教わったそうだが、調合に通じるものがあって、はまっているそうだ。
カップは、ティーカップじゃなくてマグカップな辺り、彼っぽい。
さて、そのジグハルトは、ルケイオスという名前に心当たりがあるようだが、俺は心当たりが無いな……何者だ? ルケイオス。
「そうです」
笑って答えるアレクシオ。
「……その隊長さんは、凄い人なん?」
「俺の名前の由来は覚えているか?昔話したことがあったと思うが……」
「アレクが生まれた国の、有名な将軍さんだったっけ?」
「そうだ。俺の生まれた国は、昔は国境があやふやでしょっちゅう塗り替えられていたんだ。アレクシオ将軍はそこで国境をしっかり引いて、国の形を確立させた英雄なんだが、その将軍が何度も戦い、それでも破る事が出来なかったのが、ルケイオス隊長だ」
「東部じゃ馴染みは無いかもしれないが、傭兵として、西部のあちらこちらの戦場に顔を出しては、勝ちを収めた記録があって、向こうじゃ親しまれている名前だな。俺はいい名前だと思うぞ」
ジグハルトは、今度は湯を注いだポットを真剣な顔で見ながら、その名前を褒めている。
「ありがとうございます。いつか自分の子が生まれたらこの名前を……と考えていたもので……。幸い、エレナも理解してくれましたよ」
アレクはやや気恥ずかし気に言った。
ルケイオス君は西部のネーミングセンスなのか……。
キラキラしてるやつなのかな?
「俺やエレナを超える強い子に育って欲しいですからね……」
名前からしてアレク達を超えて欲しそうだし、中々プレッシャーがかかるな……ルケイオス君。
「まあ、お前たちの子なら大丈夫だろう。ほれ」
ポットから注いだカップをこちらに渡してきた。
「ああ、すいません」
「ありがと……む?」
「口に合わなかったか?」
「いや、美味しいよ。どうやって淹れたの?」
微かに焦げた様な香ばしい香りのする、茶色の液体。
ただ、これは紅茶と言うより、烏龍茶に近いかな?
紅茶も嫌いじゃ無いが、こっちの方が俺の好みだ。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚




