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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
13章・誕生!子供やダンジョン
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騎士団本部にあるアレクの執務室では、今日も冒険者ギルドや商業ギルドから派遣されてきた者達が、喧々囂々と相変わらず盛り上がっている。

新しく村になる東の拠点や、南北の村、そして、サイモドキとの戦闘で出来た空白地帯。

それらを上手く利用できないか? だのと、商魂たくましくて実に結構。

だが、外の報告があるでもないのにわざわざ俺がここにやって来たのは、別の用事があるからだ。


執務室を漂いながら、そんな彼等の様子を見ていると、部屋のドアを叩く音がした。


「失礼します」


アレクの入室の許可を受け部屋に入って来たのは、パリッと折り目の付いた制服を着こんだ、若い兵士だ。

屋内だから鎧を着ていないが、誰が見ても一目で騎士団の人間だとわかるだろう。


つまり、1番隊の隊員だ。


「来たか。書類は?」


「はっ! こちらになります。どうぞ、セラ副長」


「はいよ」


彼の前に降り、その書類を受け取る。


「えーと……どれどれ」


この書類の内容は既に聞かされている。

屋敷の警備体制の拡充についてだ。


ここリアーナ領の領主屋敷は、領都内南西にある広い高台の上に建てられていて、直接繋がる道は1本のみだ。

その道がある面を除けば、険しい崖になっている。


さらに、その高台自体も今ドンドン手が加えられていて、地下には複数の施設と通路が、そして外側では屋敷への道沿いにアレク達やオーギュストの屋敷が建造されている。

この高台全体が一種の城塞と言えるだろう。

とは言え、頑張ればその崖も登れないことは無く、進入が絶対不可能なわけでは無い。


もちろん、登ったら登ったで警備の兵がいるし、何よりセリアーナの加護があるから、侵入は現実的とは言えないが……それでも、守りをさらに固めるべきだという1番隊の要望で、この度屋敷の警備に犬が導入されることになった。

警護対象の筆頭でもあるセリアーナの加護を頼るってのが、そもそもおかしいのでは? って話だし、俺も賛成ではある。


ただ、それの導入にあたって、騎士団の幹部陣が連名でサインをするのだが、2番隊の副長の俺も一応幹部の一人で、それにサインをする必要があった。

屋敷では無くて、この騎士団本部でだ。


ちなみにその説明を受けたのは、リーゼルの執務室だ。

最終的にリーゼルに提出するんだし、その時サインをしていなかったのは俺だけだったから、そこに持って来てくりゃ良いじゃないか……と思ったが、それは俺とリーゼルの距離感だから言えるのであって、本来はこうするのが正しい。


サインするだけでいいが、一応書類に目を通し始めるが、書類を持って来た彼は、俺が読み終わるのをここで待つのか、ドアの脇で気を付けの姿勢で立ったままでいる。

10枚くらいあるし、やたら細かく書かれているから、ちょっと時間がかかりそうだな。



「リックは部屋にいるのか?」


俺が書類を読んでいる間、気を使ったのかアレクが彼と話をしている。


「はっ。執務室で、春からの隊の編成について検討されています。来年から生活範囲が広がりますし、人の往来も増えますから……」


「……俺達も同じことをやっているんだから、こっちに来たらいいのにな」


「はっ……、1番隊は警備する側ですので、あまり関りを持ち過ぎても良くないからと……」


彼は周りで聞き耳を立てている者達を気にしてか、やや声を落として言った。


「まあ……あいつは真面目だからな」


アレクは笑っているが、俺は頭が固いだけだと思う!


「セ……ラ……っと。はい、書いたよ」


書類全体に目を通してから、最後にサインをして渡す。

そう言えば俺だけ家名が無かったな……大丈夫だろうか?


「……はい、これで問題ありません。ありがとうございます」


問題は無かったようだ。

受け取った彼は、俺に軽く頭を下げて部屋を出て行った。


「……最後まで態度崩さなかったね。1番隊でももう少し砕けたのがいたはずだけど」


街の警備をしているおっさんたちは、勤務中でももう少しフランクに接してくるんだが……。


「そいつらは領地で採用した連中だろうな。若いのは他所から連れてきたのが多いそうだ。だからこそ領内で舐められないように厳しく指導しているんだ。騎士団らしくあれってな……」


「大変だねぇ……」


俺がそう呟くと、冒険者ギルドと商業ギルドの者達が乗っかってきて、アレコレ言っている。


「真面目なのはいいが……街のモンからはちょいととっつきにくいな」


「そうか?ウチの者からは評判がいいぞ? 外で兵士を見ても警戒しなくていいってな」


同じ領都の組織同士でもこれだけ評価が変わってしまうのか。

この街じゃ、ああいうお堅い者達はある意味異物だし、仕方が無いのかな?


しかし、この分じゃリックはさらに頑なになりそうだな……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・9枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・4枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] リーゼル相手でもなあなあで済ませる大物
[良い点] 更新乙い [一言] 警察組織みたいなもんだし、畏怖はあってもいいかなとは思うけれど まだ出来たばっかだしなあ……
[気になる点] セラの書類仕事は皆にどう見られているのだろう セリアーナ「出来て当然」、アレク達も同様だと思うが リーゼルや他の人達にとって『セラが書類の内容を理解出来ている』と思えるのかな
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