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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
12章・ついに長距離移動
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ドカドカ蹄の音を響かせながらジグハルトを乗せた馬が走り、【浮き玉】に乗った俺がそのすぐ後ろをついて行く。

30分ほどそれが続いていたのだが、ふとジグハルトが馬の足を緩めた。

理由は俺もわかる。


「……やー、早かったね」


「ああ……かかった時間は行きの半分くらいか?効果あったな」


ジグハルトは労うように、自分が乗る馬の首を撫でている。


領都への道すがら、他愛のない会話の中で何となく【祈り】を馬にもかかるか試してみたところ、効果はばっちり適用されていた。

最高速度こそチャレンジしていないからわからなかったが、かかった時間が半分という事から、巡航速度は通常の倍近い速度だったんだろう。


もっとも、言葉を交わせるわけじゃ無いし、身体能力が上がった事でどれくらい消耗が増えたのかはわからないから、多用はしない方がいいかもしれない。

場合によっては、足並みを乱すだけになるかもしれないしな……。

まぁ、オプションが一つ増えたと考えよう。



領都の門前に近づくと、入場待ちの人間の列を捌いていた兵達がこちらに気付いた様で、そのうちの一人がやって来た。

彼は確か、警備隊の班長かなんかだったかな?

要はこの場の責任者だ。


「お疲れ様です。ジグハルトさん、それにセラ副長も! ……あの、後ろに積まれているそちらは……?」


その彼が俺達への挨拶もそこそこに、ジグハルトの後ろに積まれている物は何かと聞いて来た。

彼だけじゃなく、門前で並んでいる者達も気になるようで、視線を注いでいる。


存在感あるもんな……無理もない。


「帰還途中のセラが大物を見つけてな……。たまたま近くにいた俺に倒して来いって命令して来たんだ」


後ろに浮いている俺を指して、そう言った。


それを聞いた周りの者達が、あのジグハルトが大物って言う程だし、一体何なんだ? っとどよめいている。

上手い事誘導しているな……これで何か凄いのをジグハルトが倒したってことになる。


「本部に持って行くから、詳しい話はそっちで聞いてくれ。セラ、行くぞ」


とはいえ、この場で長く話す気は無い様で、街の中に向かって馬を進めさせた。


「はいよ。そんじゃ、おつかれー」


適当に周りに挨拶をして、俺もその後ろをついて行く。


表向きには俺は3週間ぶりくらいに帰還したことになるのかな?

あちらこちらで数字を誤魔化しているから、だんだんわからなくなって来るな……!



街に入るとジグハルトは騎士団本部に遺骸を持って討伐の報告に向かった。

恐らく、冒険者ギルドにも連絡が行って、解体に回されるんだろう。


そして俺は、屋敷に戻るとすぐにリーゼルの執務室に向かい、王都で預かって来た手紙を渡したり、道中を含めての報告をしている。

もちろん魔王種の事もだ。


部屋にはリーゼルとオーギュスト、そして文官達といつもの面々だが、特に文官達が真剣に話を聞いている。

ジグハルト達と事前に決めていた通りの事を話したのだが、領都まで運ぶのに少し軽くしたいからと、俺の解体の練習も兼ねて血や内臓の一部を処分したといった時には、文官達が残念そうな声を漏らしていた。


魔王種は、血はもちろんだが糞すらも素材になるそうだ。

なんでも、貴重な薬草を育てる肥料になるんだとか……捨てるところの無い、クジラみたいな生き物だ。

もしかしたら、俺が捨ててきた本当の場所にも何か生えたりするのかもしれないな。


「失礼します。団長よろしいでしょうか」


一通りの報告を終えたタイミングで、男が部屋にやって来た。

鎧こそ身に付けていないが、オーギュスト目当ての様だし、騎士団の人間だろう。


「どうした?」


「はっ。ジグハルト殿が持ち込んだ魔王種の遺骸ですが、解体を行うので団長にも立ち会いをお願いしたいのですが……よろしいでしょうか?」


持ち込んですぐに解体を行うのか……展開が早いな。


「ふむ……。セラ副長、報告すべきことは以上か?」


「うん。もう無いかな」


「そうか……。ではリーゼル様、私は本部に向かいます」


「わかった。ああ、そうだ……もし商業ギルドからの取引の話があっても全て断っておくように」


「はっ」


オーギュストは一礼し呼びに来た男と共に出て行った。


商業ギルドか……門前でちょっと目立ってしまったからな……そっちの方にも何か話が行っているかもしれない。

目ざといもんな……彼等は。


「セラ君も王都から帰還するなりご苦労だったね。後はこちらで処理しておくから、君は休んでくれ。セリアも会いたがっていたよ」


「はーい。それじゃ、失礼します」


挨拶をして部屋を出ると、使用人が待機していた。


「お風呂の用意が出来ていますよ。奥様の下に行く前にどうぞ」


「おや、ありがと」


彼女は魔法で髪を乾かせるし、セリアーナの指示かな?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・6枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラ「やれ」 ジグさん「はい……(ズドン)」
[一言] 魔王の亡骸プライスレス 一体どの位の報酬なりが払われるんだろうか…ロハって事もあり得るのかな?
[一言] いつかセラの装備がどこぞの貴族にひっぺがされて他の強いひとに分配されないかと心配になってくるな... セラが強いのは装備のおかげだからそれが強いやつに渡ればなんやかんやって まあそんなこ…
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