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打ち合わせを終えた後は、俺は昼寝に移った。
他人様のお宅で、いきなり昼寝ってのはどうなんだ?と思わなくも無いが、王都への移動に備えて、生活パターンが昼夜逆転していたし、仕方が無いと割り切って、熟睡した。
そして、熟睡する俺をよそに、四人も何かとやる事があったようだ。
俺が到着する正確な日付がわからない中、それぞれ立場のある人達だし、予定が入っていたんだろう。
そう考えると、到着したその日のうちに対応してもらえたのは、スケジュールに無理をさせたのかもしれない。
そして、各自の用事を終えた後は少々早めの夕食となった。
明日は朝からお城だし、早く食って早く寝ろって事なんだろう。
ちなみに俺の席も用意されている。
チラっと聞いた話では、夫妻には男の子供が二人いて、長男は領地で領地経営の勉強をしていて、次男は学院に通っているそうだ。
その次男の席は、普段は一緒なのに今日は無い。
……その事が地味に気まずい。
家庭内の不和の原因になったりしないだろうか?
「あまり食が進んでいないようだが、口に合わないかな?」
「む?いえいえ、そんな事ありません。美味しいですよ」
俺の食事の進み具合を気にしたジェイクさんに慌てて答える。
お貴族様の夕食は、コース料理の様に一皿ずつ出てくる。
前菜とスープは片付けたが、サラダと肉料理で手が止まってしまった……。
メノア領は王国北部に位置し、その分王都圏や東部とは少々食文化が異なっている。
具体的には、チーズやクリームがふんだんに使われていて、どの料理も味が濃く重たい。
パン一つとっても、やっぱり味が濃く、硬い。
ライ麦パンとかと近いものかもしれないな。
一応、他領や他国の者をもてなすために、少々マイルドにアレンジをしてはいるそうだが……美味しい事は美味しいんだけどね……。
元々小食なうえに、アレコレ余計な事が頭の中にある状況で、このメニューはちょっと俺にはヘビー過ぎる。
「以前よりは少しはマシになったが、相変わらず食が細いようだな……。ジェイク殿、これは元からだ。気にしなくて良い」
セリアーナが学院に通っていた頃や、結婚する際に俺だけ屋敷に滞在していた時と比べながら、じーさんはジェイクさんに気にするなと言う。
じーさんとジェイクさんは中々の健啖家っぷりを見せている。
ご婦人方も、二人ほどじゃないがしっかり食べているし……テーブルに並ぶ料理を見ただけでお腹一杯になった俺に比べて、随分パワフルだ。
飲んでいるワインが、赤だけじゃなくて白もあるのがちょっと気になる……甘口かな?
前世じゃ白派だったからな……。
今は買っても年単位で寝かせることになるし、【隠れ家】の冷蔵庫もスペースを取りたくないから、ワインにはまだ手を出していない。
うーむ……。
「あまり進まないのなら、セラさんには果物でも用意させましょうか?」
「あー……。そうですね。お願いします……」
どうにも色々思考がとっ散らかって、今一食事に集中できない。
ここはお言葉に甘えさせてもらおう。
◇
食後、俺とオリアナさんはリーリアさんの部屋に招かれ、リアーナ領の様子について簡単にだが話をした。
じーさん達は酒を飲んでいるが……まぁ、二日酔いにならない程度には抑えるだろう。
じーさんは見た目通りだが、ジェイクさんも優男風な見た目に似合わず、酒に強いらしい。
飲兵衛どもはさておき、新しくできた公爵領はここ王都でも注目されているらしい。
簡単に配下を送る事が出来る場所じゃないからな。
この機会に俺から色々聞いておきたかったのだろう。
ただ……、自分で言うのも何だが、俺はリアーナ領の事はほとんど知らない。
領都内ですら移動する場所は限られているし、聞かれている事も当たり障りの無い事だし、こちらも隠したりはぐらかしたりする気は無いのだが、如何せん、俺が話せる事が無い。
結局はリーリアさんの膝の上で、二人から王都の事を聞かせてもらうだけとなった。
王妃様から【ミラの祝福】のことを聞かされていたらしい。
姉妹と言えど、気軽に会う事は出来ないようだが、手紙のやり取りは問題無い様で、頻繁に互いに出し合っているらしい。
髪や瞳の色に顔立ちと、容姿はよく似ているが、ちょっとリーリアさんの方がプニっている気がする。
……食生活の差かな?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚