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朝だー!
少し早めに起こされ、その分ゆっくりとシャワーを浴びた事で、目もパッチリ。
朝食もしっかりとり、実に清々しい気分だ。
外に出ると、先に支度を終えた男性陣が5人の兵士達と打ち合わせをしている。
戦闘こそ俺達が行うが、予定地までは馬車で行く。
俺はまだ見ていないが、その予定地までの道は既に拓かれているが、それでも魔物の襲撃に備える必要はある。
馬車の御者と、そこまでの護衛を行うのが2番隊の彼等だ。
出てきた俺達に気付いたのか、ビシッと敬礼をしている。
「来たか。それじゃあ、乗り込んでくれ。お前達、目的地までの護衛は任せるぞ」
「おうっ!」
アレクの命令に声を揃えて答えている。
気合十分じゃないか。
「ほっ!んじゃ、よろしくねー」
馬車の前に並ぶ彼等に【祈り】をかけた。
目的地まで1時間半ほど。
これは作戦に無いアドリブだが、戦闘が起こる可能性はそこまで高くないようだけれど、かけておいて損は無いだろう。
「任せろ!副長も隊長や旦那たちのサポート任せたぞ!」
「おうよ!」
シュタっと彼等に向けて手を上げ、馬車に乗り込んだ。
◇
出発してしばらくしてから、ジグハルトとフィオーラと共に【隠れ家】の中に入った。
これから戦う魔王種は随分警戒心が強いらしい。
といっても、普通の人間が近付くくらいじゃ何の反応もしないそうだが、ジグハルトクラスだとそうはいかない。
強いくせに、半端に近付くと距離を取ろうとするそうだ。
その代わり、ジグハルトが直接確かめた事だが、ある一定のラインを越えて接近すると、迎え撃とうと臨戦態勢に入る。
足を止めて威嚇をしながら、縄張り内の魔物を呼び寄せようとする。
その魔物達は先行している2部隊が既に討伐に向かっているし、後はその一定のラインまで【隠れ家】に潜んでいてもらえばばっちりだ。
「そこにおやつが入ってて、そっちがお茶ね。中の設備の使い方は大丈夫かな?」
「問題無いわ。しばらくここを借りるわね」
「うん。向こうの棚にお酒も置いてあるけど、それは飲まない様に!」
特にジグハルトに向かって言う。
「流石に飲まねぇよ……それよりなんで酒が置いてあるんだ?お前隠れて飲んでんのか?」
「飲んでないけど、珍しいお酒は買ってあるんだよ……」
俺は、この世界の薬草を使った酒を色々コレクションしていたりする。
ワインなんかはそこら辺で手に入るだろうが、薬草酒は意外と貴重だったりするそうだ。
大人になったら、飲んでみたいと思っている。
……アブサンみたいな感じなのかな?
まぁ、それはさておいて、とりあえずジグハルトとフィオーラに【隠れ家】の説明を改めて行った。
1時間半程度ではあるが、中の使い方……特にトイレとかわからなければ困るからな。
「こちらはもう大丈夫よ。到着したら教えて頂戴」
「ふぬ……」
二人を見れば、問題は無さそうだ。
これ以上は俺がいると集中の邪魔になるかもしれない。
「うん。じゃ、また後でね」
そう言い【隠れ家】を後にした。
◇
「戻ったか。二人はどうだった?」
馬車の中に戻るとアレクが様子を訊ねてきた。
「いつも通りだったね。お酒は飲まない様に言っといたけど、大丈夫そうだよ」
「そうか。念の為お前は中から【妖精の瞳】とアカメ達で警戒をしておいて欲しい。魔王種は奥にはいかないようだが、もし手前に流れて来ていたら、外の連中じゃ凌ぐのは難しいからな……」
「はいよ。【祈り】が切れた時はどうする?後30分位は保つと思うけど……」
【妖精の瞳】とアカメ達を発動しながら、【祈り】の更新をどうするか聞いた。
送迎役とは言え、この作戦に選ばれるくらいだから外の兵士達も腕は立つんだろうが、それでも何といってもここは魔境だ。
それに、馬車の護衛をしながらとなると、ちょっとどうなるかわからない。
「アレは少し特殊だからな……。魔力の流れを警戒されるかもしれないし、止めておいた方がいいんじゃないか?」
「そうだな。その時は俺とルバンが出るか。魔法も避けた方がいいし、テレサは中でセラを頼む」
「仕方ありませんね。危なくなるようなら私も出ますよ」
魔法抜きの白兵戦で片づけるのか。
俺もそっちの方はそこそこ手伝えるが、外に出ると【隠れ家】が解除されてしまう。
そうなったら、本末転倒もいい所だ。
ここは大人しく馬車の中から応援しておこう。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚