表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
11章・そろそろ魔王種とアレコレと
329/2033

327

「よっ!ほっ!はっ!」


掛け声に合わせながら尻尾がぶんぶん動いているのがわかる。


「…………」


そして、動かせば動かすほど、訓練所を利用している者の視線がお尻に集まってきているが、無視する。


大きく横に振ったりグルグル回したりと準備運動は十分だ。

恩恵品の作動に準備運動が必要なのかは我ながら疑問だが、気分の問題だし、良しとしよう。


この訓練所は壁は木の板が張られているが、その壁の一画には木の板ではなく鏡が張られている場所がある。

決してポージングを決めたりする為ではなく、武器を手にした際の構えを確認したりする為の物だ。


その鏡の前に移動して、気合を込めながら尻尾に意識を集中する。


「ふぬぬぬぬ……」


ゼルキスではダンジョンに潜る事が出来ず、【蛇の尾】の戦闘面での性能テストが出来なかった。

そして一の森を始め領都周辺は、マーセナルから出張してきた職人達が、武具作成の依頼をどんどん消化し始めた事で、素材目当ての冒険者達がさらに増え、断念。


他の冒険者達の狩りが一段落した頃に試せばいいか……と後回しにしていたらあっという間に雨季に突入してしまった。

流石にこの雨の中は狩りに出たりはしないようだが、それは俺も同様だ。

帰還してからの一月近く、やったことは街の周りの警備の付き添いだけだった。


戦闘要員としてでは無いが、俺も一応魔王種との戦いに参加する事になっている。

リアーナの最精鋭で挑むわけだし、ジグハルト達は自信があるのか慣れなのか、余裕を見せているが……俺にはそんなモンは無い。

やれる事は全てやり、万全の状態で挑みたい。


と、いう訳で尻尾の訓練だ。


【影の剣】や【緋蜂の針】や【浮き玉】……俺が長く使っている恩恵品だが、どれも強力だ。

ただ、恩恵品そのものには俺の技量は関係無い。

誰が使っても同じ性能を発揮する物だ。


だが、この【蛇の尾】は巻きつけたり叩きつけたりする際の、いわば出力は決まっているが、どれだけ器用に操れるかは、使用者の技量次第だ……と思う。

セリアーナは不格好だからと使ってくれないので断言はできないが、多分そうだと思う。

つまり、この恩恵品は俺の工夫が介入できる余地があるって事だ。


今は振り回すだけでなく、木に巻き付けたり、魔物の死体に巻き付けて引きずったりは出来るが、まだまだ大雑把にしかできない。

何より、尻尾を動かすのに一々動きを止めて集中する必要がある。

もっと自然に、それこそ手足の様に操れるようになりたい。


その為の訓練だ。


「ぬぬぬぬ……!」


さらに深く集中し、尻尾をハートやクエスチョンの形にする。

この形自体に意味は無いが、ただ振り回すよりずっと神経を使うし、いい訓練になるはず……だと思いたい。


剣や槍や盾……色々な恩恵品があるが、どれも普通の武具の応用が利く物だが、これは正直どういう訓練をすればいいのかがわからない。

まぁ、始める前よりは少しは上手く動かせるようになってきているし、全く意味が無いって事は無いはずだ。


「セラ」


「うん?」


顔を真っ赤にしながら尻尾を動かしていると、セリアーナが後ろから声をかけてきた。

彼女もエレナと一緒に訓練所に来ているが、今日は剣ではなく槍を模した長い棒で型のような事を行っていた。


その棒で尻尾を突いている。


「随分苦労している様だけれど、それはサイズは変えられないの?お前の身体の倍以上あるのだし、短くなれば動かしやすくなるんじゃない?」


「……え?」


動かすのに力はいらないが、確かに長い分細かく動かすのに、動き全部をイメージするのが難しかったが……。


「お前の爪も長さを変えられるでしょう?似た様な物じゃ無い?」


と、ペシペシと叩きながら言ってきた。


「……!?」


そういや【影の剣】は長さを変えられた。

元々、最大で30センチ程度と短かったし武器として使用していたから、むしろ短いとは感じていても長さが邪魔と思うことは無く、長さを変えることは無くすっかり忘れていた。


「短く……短く……細く……細く……」


呟きながら、自分のウエストにベルトの様に巻き付く様をイメージしてみた。

すると何やら腰回りに違和感を感じ、そちらを見てみると、今までは太さ10センチ程で長さは3メートル程のニシキヘビみたいなド迫力サイズだったが、太さ2センチ長さは1メートル弱程と大分コンパクトになっている。


「ぉぉぉ……!」


「出来たじゃない」


おまけに全体が視界に収められるからか、少し試してみたが、大分イメージ通りに動かせている。

魔物相手に使うならリーチがある方がいいし、最大サイズを使うことになるだろうが、まずは使い方に慣れる方が大事だ。

これなら大分捗りそうだ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いつか尻尾で弓を引きそうね?
[一言] 尻尾生えてるロリがお尻振ってる(超意訳)してるのから見てるのかと思ってたけど、最後にバカデカイ事が分かったから何人かは尻尾の操作ミスって流れ弾が飛んでこないかビビってた様に見えてきた(笑)
[一言] 描写を想像したらにやけた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ