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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
11章・そろそろ魔王種とアレコレと
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325 アレクside

セラの代わりに見習達に同行して数日経つが……、一つ分かった事がある。

それは、この街出身の子供は、貴族との接し方を理解していないって事だ。


商家の子でも無ければ、一々貴族との応対の仕方を教わったりはしない。

そもそも生活区が分かれていて、街の警備をする騎士を除けば、子供のうちに貴族と接する機会が無いから必要ないのだ。


それでも親や周りの大人を見ていれば、何となくでも接し方ってやつを自然と学んでいく。

揉めたらマズい、怒らせたらマズい、関わったらマズい……こんな具合にだ。

そして徐々に大人になるにつれてそんな事は無いと知り、貴族への隔意が和らいでいく。


この国はどこもそんなもんだったが……、この街は少し違う。


今は違うが、ルトルと呼ばれていた頃のこの街は、領主の力が及ばず、代々教会や商人が顔役だった。

その為、この街出身の者は貴族との接し方を理解せず、やや軽んじているところがある。

旦那様が代官として赴任してからは多少是正されてきたが、子供にまではまだまだ浸透していない。


特に冒険者を目指す様な子供には。


「ある程度上役の言葉を聞くようにはテレサが仕込んでいるが、それ以外は危ういな。俺やジグさん達や極一部の冒険者を除けば、兵士はもちろんだが、騎士すら自分の親父達の同僚……そんな認識なんだろう。そして、あいつらにとって騎士と貴族の区別が今一ついてない様だ。流石に領主は別物だってわかってはいる様だがな……」


「それは危険ですね……セラの事はどう受け止めているんでしょう?」


「王様だな。セラが一番上で、自分達はその部下だ」


セラが複数の恩恵品を所持し、魔物を退治している事は聞かされているんだろう。

幸いあいつが舐められるような事は無いが……他の子供があいつの振る舞いの真似をするのは危険過ぎる。


「奥様の事をセラが呼ぶようにセリア様と呼んだりしていたらしい。聞いたやつがすぐに殴って指導したそうだが……。隠れて言う分には、構わないだろうが、あいつらは冒険者ギルドにも出入りするからな」


愛称ってのは身内や親しい者同士で使うもので、赤の他人が勝手に使うものじゃ無い。

そこら辺は普通は家で教わるものだと思っていたが、ここでは違ったようだ。

追々時間が解決する事ではあるが……貴族、それも領主夫人相手だ。


場合によっちゃ冗談抜きで首が飛ぶ。


それを聞いたエレナは、心底呆れた様な顔をしている。

エレナは生粋の貴族だからか、悪ガキどもの思考ってやつが理解できないのかもしれない。


「……住民の教育に口出ししようとは思いませんが、そのままにしますか?」


「とりあえずは目につく場所に出入りするそいつらが問題だからな。親は冒険者ギルドに関りのある者が多いし、支部長が近いうちに冒険者ギルドに呼び出してその辺を詰めるだろうさ」


「ああ……それは良かった。過保護かもしれませんが、折角の新しい試みなのに、それが元で処罰される様な事は避けたいですからね」


ホッとしたように表情を緩めるエレナ。


「全くだ……。しかし、子育てってのは難しいんだな」


「同感です。自分で育てたいという思いもありますが……乳母や家庭教師に任せる方がいいかもしれませんね」


親が出来ている事を子が出来るとは限らないし、子供同士で勝手に法を作ったりもする。

平民ならそれでも問題無いが、貴族となると将来の影響も考えなければいけない。


目指してはいたが、いざその立場になると中々頭を使うものだな。



深夜、眠りについていたが不意に目を覚ました。

何事かと思ったが、外が少しざわついている。


「アレク」


窓から外を見ていると、後ろから呼びかけられた。


「お前も気付いたか?」


エレナがベッドから身を起こし、上着を羽織りながらこちらに歩いて来た。


「ええ。奥様は?」


「旦那様の部屋に明かりは付いていないし、魔物の襲撃って事は無いだろう」


セリアーナ様は旦那様が付いているから、安全は確保できている。

そして、そもそもこの屋敷の誰よりも守りが硬いのはセリアーナだ。

彼女が何もしていないのなら、この事態に危険は無いのだろう。


とは言え……何か異変が起きているのに何もしないというのは……。


「恐らく隣のアリオスの街からの報告でしょう。アレク、貴方の役割は魔物が相手の時です。これは1番隊の役割ですよ」


「……そうだな」


騎士になって一年近く経つが、まだまだ冒険者の頃の癖が抜けていない様で、目の前の問題を他人に任せるって事に慣れない。

その葛藤を察したんだろうか、エレナがそう言って来た。


リックが突っかかって来るのは、対抗意識もあるのかもしれないが、向こうの領分にまで首を突っ込もうとする俺にも原因があるんだろうな。


「何か飲みますか?」


頭を使ったからすっかり目が覚めてしまった。

エレナも寝起きなのに申し訳ないが一杯用意してもらおう。


「そうだな、さ……」


「お酒は駄目ですよ」


「……茶を頼む」


一緒になって以来どうにも手厳しいな……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚

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― 新着の感想 ―
[一言] ラブラブな奴らめ…! お幸せに!
[気になる点] 自分の中じゃセラは珍獣というより猫枠だなぁ・・・ 珍獣というと手から桃出す幼女思い出すし [一言] なおその王様、現在友達〇人の模様
[一言] セラ自身初めから上手くやれてた上に色々な要因が重なっての地位と立場だからね 普段の振る舞いもそういう風に求められてる部分が多いしセラが悪い訳ではないと思いたいな。
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