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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
11章・そろそろ魔王種とアレコレと
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見習冒険者。

正式にそんな制度があるわけでは無い。


他の場所だと、冒険者志望の者達は、ダンジョンに挑む事こそ出来ないが、街や村、農地や街道の警備などで、経験を積む事が出来るからだ。

ところがこの領都は、ベテランでも気を抜けば命を落としてしまう様な場所だ。


本来なら成人する14歳まで待たせるべきなんだろうが、今まで疎まれていた冒険者を目指す者が増えるのは良い事だと、冒険者ギルドと、騎士団の2番隊が主導となって指導をする事になった。


当初は10名前後を想定していたが、【ダンレムの糸】の試射がいいカンフル剤になったようで、秋冬の指導をほとんど脱落することなく乗り越えた。

その結果が20数名のガキンチョ共だ。


春になったら4~5人ずつ位で森に行き、俺が魔物の警戒をしながら薬草採集を行わせる予定だったが、ちょっと人数が多過ぎる。

全部を俺が見るとなると、何もできなくなってしまうからな……。

どうしたもんかと悩んでいたところ、猟師ギルド側が協力を申し出てくれて解決できた。


この薬草採集の目的は、あくまで森の歩き方を学ぶ為で、魔物との戦闘をする事では無い。

それならむしろ猟師の方が専門ともいえる。

彼等にしても、今後冒険者になった時に、森を不必要に荒らさないように躾ける事が出来るから、丁度良かったと言ってくれた。

おかげで俺が引率するのは週に1~2回だけで、残りの時間は好きに出来る。


さて、そんな訳で今日は栄えある第1回なのだが……、一体どんな指導をしたんだろうか?

今日は4人組と一緒なのだが、ものすごく慎重だ。


俺が魔物の警戒をしているとはいえ、彼等ももちろんしているのだが、一言も喋らず、ずっと視線を巡らせている。

薬草を採集する際も、1人が採集し残りの3人が、絶えず辺りをキョロキョロと……。


森を入ってすぐの浅い所を、1時間程探索するのだが、こんなんで彼ら持つんだろうか?


「あのさ……君達大丈夫?ここまで浅い所だと、冬に群れから追い出されたの位しか来ないし、そこまで辺りを探るのに気を使わなくても……」


油断するよりはいいに決まっているが、流石に一度も魔物と遭遇していないのに、顔を強張らせ、春とはいえまだ肌寒い中、額に汗を浮かべる程緊張しているのはどうなんだろう?

草や枝を踏んだ際の自分達の立てた音にも、いちいち反応している。

もし魔物と出くわしてしまったら、戦う前に心臓が止まりそうだ。


俺は冒険者として、何かを教えられる程の技量を持っているわけじゃ無いし、基本的に助言はしない様にと考えていたのだが、思わず声をかけてしまった。


「っ!?はっ……はい!」


カチコチに固まっている。

駄目そうだな……。


まぁ、今日が初日だし、この組じゃ第1陣って事で他の組から情報も得られないし、無理も無いのかな?

ペースは遅いけれど、一応採集は出来ているし、今は余計な事は言わずに自分達の事に専念させておくか。



何事も……本当に何事もなく採集が終わり、街へ帰還し冒険者ギルドに向かった。

ゴブリンの1体も出やしねぇ……。


彼等はこれから採集した薬草の査定が行われるため、受付で待つ事になる。

そして、査定が終わった時にきっとがっかりするだろう……。

慎重過ぎて、ペースが遅かったからな……量が全然採れていなかったし、あれじゃ大した額にはならない。


そんな彼等はさておき、俺は俺で今日の報告に支部長の部屋にやって来ている。

そして、部屋の中では支部長や幹部達が俺の報告を聞いている。

春になって冒険者達が探索を開始して、忙しい中わざわざ集まっているあたり、この見習の育成システムを重要視しているんだろう。


「話は分かった。ガキ共の緊張をどう解すかが問題だな……」


「元々親にも森には近付くなって教わっていただろうが、座学の際に更にそれを煽ったからな……。戦闘に参加させて、倒す事が出来る存在だってわからせるのが手っ取り早いが……それじゃ意味が無いか」


報告を終えると、やはり子供達の緊張具合を問題視している様だ。

あれじゃあなぁ……俺はやらないけど、他の引率が何かアドバイスとかしても、聞き漏らしそうだ。


目的は小遣い稼ぎじゃ無く訓練だから、そんなんだとやる意味が無い。


「とりあえず残りの連中も終わらせて、それから考えてみるか?問題があるようなら組み合わせを変えてみたりすればいいだろう」


「そうだな」


最終的に、その無難な意見に、皆賛同している。

実際初めての事だし、やってみないとわからない事もある。


ただ、皆気が長いなぁ。

この街じゃ、冒険者ってのは日陰の存在だった時期が長いからかな?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・9枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 慎重なのはいいこと ただ慎重すぎただけ
[良い点] 更新乙い [一言] この辺りの地域はやべーやべーと散々言われてますからね。 戦えない一般人なら、そのぐらい緊張感出してても良いのかもしれないけれども……
[一言] 大丈夫なんだろうか
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